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#023国大 千葉大学 国語(古典)

(情報は河合塾HP等を参照。適宜加除訂正していきます)

【国際教養・文・法政経】〔80分〕
 ・3題(現代文1題+古文1題+漢文1題)
★古文
 ・記述・論述問題出題、空欄補充・知識問題〔慣用表現など〕出題
 ・時代は、中世・近世に偏る傾向が見られる。
 ・ジャンルとしては、バランスよく出題されている。
 ・分量は約900字(昨年より増加)、難易度は標準。
 ・時間的な余裕や全体構成は共通テストと同様。独自色は薄く、共通テストを記述形式で練習するのがよい。
 ・21・22年と連続して和歌やそれに準じたものの出題はなかった。
 ・出題される記述問題は国立大によく見られるオーソドックスな形式。
 ・国立大学の中では珍しく知識問題の割合が多いので注意。文学史や古文常識の学習も必要。
 ◆22年設問分析と難易度
 大問二
  問一 選択 文法問題(助動詞) 易
  問二 記述 主体判定      易
  問三 記述 傍線部の現代語訳  標準
  問四 記述 抜き出し      標準
  問五 記述 傍線部の理由説明  標準
  問六 記述 傍線部の解釈    標準
  問七 記述 傍線部の理由説明  標準
 ◆出典一覧
 10『大和物語』(中古・歌物語)
 11『鉢かづき』(中世・御伽草子)
 12『伽婢子』(近世・仮名草子)
 13『十訓抄』(中世・説話)
 14『更級日記』(中古・日記)
 15『大鏡』(中古・歴史物語)
 16『梁塵秘抄口伝集』(中古・歌論)
 17『枕草子』(中古・随筆)
 18『藤簍冊子』(近世・歌集)
 19『栄花物語』(中古・歴史物語)
 20『紫の一本』(近世・地誌)
 21『徒然草』(中世・随筆)
 22『今鏡』(中古・歴史物語)
 
★漢文
 ・記述・論述問題出題、空欄補充・知識問題〔慣用表現など〕出題
 ・傍線部説明・ひらがなの書き下し・現代語訳の3問の出題。
 ・本文の長さは180字前後、設問数は3問、難易度は標準。
 ・ジャンルについてはバランスよく出題されているが、近年は論説や随筆など、筆者や登場人物の考えが述べられている文章が頻出。
・長らく出題形式は安定しており、対策は国公立大向け問題集と過去問の演習が有効。
 ・出題される設問は国立大によく見られるオーソドックスな形式。
 ・現代語訳や書き下し文の傍線部は白文での出題や、送り仮名が省略される年が多い。
 ◆22年設問分析と難易度
 大問三
  問一 記述 傍線部の書き下し  標準
  問二 記述 傍線部の現代語訳  標準
  問三 記述 傍線部の内容説明  標準
 ◆出典一覧
 10『子不語』(小説)129字
 11『堅瓠』(小説)164字
 12『典故紀聞』(史伝)139字
 13『新序』(説話)207字
 14『図画見聞誌』(随筆)140字
 15『近世叢談』(小説)230字
 16『履園叢話』(随筆)
 17『童子問』(日本漢文・思想)
 18『閲微草堂筆記』(小説)
 19『郁離子』(寓話)186字
 20『淮南子』(思想)172字
 21『五雑組』(随筆)181字
 22『小倉山房文集』(随筆)
 
【教育】〔80分〕
 ☆20年から古漢融合問題。類似問題が少ないので過去問演習がカギ
★古文・漢文
 ・2題(現代文1題+古漢融合1題)
 ・(かつては)3~4題(現代文1題+古文1題+漢文1題)
 ・記述・論述問題出題・知識問題〔慣用表現など〕出題
 ・20年から「複数テキスト」「古漢融合」の形式での出題に変わり、その形式が続いている。この傾向は続くとみてよい。
 ・古文の中で漢文の知識を問うたり、漢詩・漢文の中で古文の知識を問うたりする設問が出題される。両分野の知識も偏りなく学習する必要あり。
 ・22年は漢文の書き下し文の一節が引用されたのと、文学史で教科書レベルの知識が問われたのみにとどまるなど、漢文の割合がかなり減った。
 ・類似する他大学の問題が少ないため、過去問演習がカギとなる。ただし、形式が変わる前の教育の過去問も大いに有効。
 ・問題形式が変わっていたとしても、古文・漢文のそれぞれの基本的知識があれば解答は可能。
 ◆22年設問分析
 大問二
  問一  記述 空欄補充(内容説明・40字)  現
  問二a 選択 空欄補充(助動詞)       古
    b 選択 空欄補充(助動詞)       古
  問三  記述 傍線部の内容説明        現・漢
  問四① 記述 傍線部の表現の効果       現
    ② 記述 傍線部の表現の効果       現
  問五c 記述 空欄補充(漢字1字)      現
    d 記述 空欄補充(漢字1字)      現
  問六  記述 和歌の翻案の際の工夫      現・古
  問七  選択 文学史(時代区分)       古・漢
 ◆出典一覧(古文・古漢融合)
 10『堤中納言物語』(中世・物語)
 11『更級日記』(中古・日記)
 12『枕草子』(中古・随筆)
 13『大和物語』(中古・歌物語)
 14『無名抄』(中世・歌論)
 15『和泉式部日記』(中古・日記)
 16『蜻蛉日記』(中古・日記)
 17『源氏物語』(中古・作り物語)
 18『発心集』(中世・説話)
 19『源氏物語』(中古・作り物語)
 20「漢文」(白居易)・「古文にまつわる随筆」(久保田淳)
 21『平家物語』(中世・軍記物語)・「古文にまつわる随筆」(出口久徳)
 22『土佐日記』(中古・日記)・「小説」(小池昌代)
 ◆出典一覧(漢文)
 10『鼠説』(随筆)
 11『鮫魚説』(評論)
 12『北史』(史伝)
 13『漫論』(評論)
 14『猫虎説』(随筆)
 15『漢書』(史伝)
 16『世説箋本』(説話)
 17『一笑』(笑話)
 18『墨子』(思想)
 19『菅家後集』(漢詩)
 
 ◆教育学部国語科教授一覧とその専門領域
 寺井正憲 教授  国語教育学
 鈴木宏子 教授  日本古典文学、平安文学(中古)、和歌文学
 安部朋世 教授  国語学
 森田真吾 教授  国語教育学
 佐藤元紀 准教授 日本近代文学、日本近現代詩
→基本的にはこの教授陣が、教育学部の入試問題を作成する。当然その教授の専門領域からの出題が大いに想定される。
 例えば、鈴木教授の専門領域の平安文学や和歌文学から、「中古」の時代の「和歌」を絡めた古文が出題されることは容易に想像がつく。一方、漢文は専任の教授が不在のため、あまりに高難易度の漢文は出されにくいと考えられる。これらのことから、どこを重点的に対策すべきか…?


個人的な感想を…
 かつて千葉大学教育学部には、加藤敏教授がいらした。元結の研究をはじめ、手広く中国古典学の研究をなさっている。半年ほど前に連絡を取る機会があり、そのときは私大の非常勤をなさっているとの話であった。加藤先生の講義はどれも面白く、単位を取り切った後も演習科目には足繁く通った。先生の定年までに修了できないため、大学院への進学は諦めてそのまま教員になったものの、漢文がさほど得意でない私をも惹きつける講義・演習をしてくださった。現在自宅には『太平広記』と『大漢和辞典』が本棚に並んでいる。講義の内容をどうにか日々の授業に生かせないものか…考えてはいるものの、まだ実現には至っていない。
 加藤先生が大学を去り、現在千葉大学教育学部には漢文学・中国古典学の専任の教授はいない。非常勤はいるようだが、国語科の中に専門(常勤)の教授がいないことは、残念である。ここ数年の古漢融合問題を見ても、かなり漢文の割合は減り、「細かな採点ができる人がいないから、基本的な設問しか出さない」というスタイルになった。ここまできたら、教育学部独立の出題はやめて、他学部と同じ問題を解かせるほうがはるかによいのではないか…と思う次第である。余談だが、文学部には内山教授という中国哲学の教授がおり、この先生の授業も面白かった。
 総合大学は、教授の数の多さもウリであろうから、是非国語科に漢文学の教授を採用してほしいものである。


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