不登校支援への私の苛立ちー スダチ小川涼太郎さんの意見に対して
不登校支援サービスを提供するスダチの代表・小川涼太郎さんが、「無理して学校に行かなくていい論」に対して違和感を示し、見守り型支援が問題を長引かせていると主張されています。彼の昔の主張を拝読したことがありますが、かなり違った視点になっていました。不登校に対する社会の眼差しについて、問題点を考えています。
まず、小川さんのような価値観は、何も彼だけに限ったものではありません。最近聞いた話では、過去に死亡者を出し有罪判決を受けた戸塚ヨットスクールの戸塚氏を崇拝する若者がいると聞きました。戸塚氏の手法は厳しい「精神鍛錬」を重視し、問題に向き合うために「厳しく鍛える」ことが必要だという考えに基づいています。
このような価値観が支持される背景には、現代社会においても依然として「厳しさ」が教育の一環として必要だと信じる風潮があることが挙げられます。特に、子どもが問題に直面したとき、「見守る」や「寄り添う」よりも、力強く乗り越えることを期待する声が一部には根強く残っているのでしょう。
1. 「無理して学校に行かなくていい論」の背景にあること
まず、「無理して学校に行かなくていい論」が広がっている背景には、多くの子どもたちが学校環境で苦痛を感じているという現実があります。日本の学校制度は、画一的な基準や規律に基づき、そこに無理やり子どもたちを適応をさせる面が強いです。そんな環境で適応できずに不登校になる子どもたちは、単に「楽を選んでいる」のではなく、自分の心や体を守るために学校を離れる選択をしているのです。
子どもが学校から離れることを選ぶのは、自己保護の大切なステップであり、単に「楽をする」ことと見なすのは大問題だと考えています。不登校は選択肢ではなく、結果であり、決して怠けや甘えではありません。子どもが自分の感情や心の声に従って、自己防衛している結果です。こうした背景を無視し、無理に学校に戻そうとする支援は、子どもたちにさらなるプレッシャーを与え、問題を深刻化させているのです。
2. 「見守り型」の意義とその限界
小川さんが指摘する「見守り型」の支援が主流であることについては、私も同意します。ただ、見守り型の支援が「問題を長引かせる」と断定するのは違います。子どもたちはそれぞれ異なる背景や個性を持っており、一律に「問題に向き合うべき」とするアプローチは、彼らの多様性を無視することであり、そもそも論として支援する側が、本当に不登校の問題の本質がわかった上で、子どもたち、その家庭の支援にあたっているのかが疑問です。
といった意味で、見守り型の支援には限界があるでしょう。子どもが自ら一歩踏み出したいと感じた時に、それをサポートするための具体的なプログラムやリソースも社会には不足しています。なのでまずは子ども自身が安心して過ごせる場所や時間を確保し、そこから少しずつ自分のペースで本来の自分を取り戻す環境を大人たち、社会の側が整えることが重要だと思います。「見守る」という姿勢は、子どもの自発的な行動を待つことに繋がるため、それは「長引かせている」とは言えないのではないでしょうか。ほんま、なんで大人は待てないのかな…しかも環境設定しないまま、そこは棚にあげて「子どもたちが問題に取り組むように促す」って何様なんかと思う。
3. システムそのものに目を向けるべき
前述した様に、小川さんが、子どもが「問題に向き合う」ことが重要だとしている時、そもそもその「問題」は子ども自身にあるのではないのだから、前提が間違いなんです。
現代の学校制度そのものが子どもたちにとって居心地の悪い環境であり、そのシステムに適応できない子どもたちが「問題」とされているのが現実です。子どもが学校に行かない選択をしたとき、その背景にあるシステムや環境そのものを見直す必要があるのに、です。
学校が子どもたちにとって必ずしも安心できる場所ではない現状を改善するためには、学校改革がされるべきなのですが、とても闇深い理由があって、なかなか到達出来そうにない。その間に子どもたちはどんどん成長していってしまう。なので応急措置として、学校以外の選択肢や柔軟な学びの場を増やし、子どもたちが自分に合ったペースや方法で成長できる社会を作ることが必要。「見守り型」支援はその第一歩として機能し、その後の選択肢が多様であればあるほど、子どもたちは自分らしく学び、成長できるのではないでしょうか。
結びに 本当に必要な支援とは
不登校は、各々の子どもたちが自分の状況に向き合い、最善の選択をしている結果です。私たちはその選択を尊重し、同時に「なぜ子どもたちは学校に通わなければならないのか?」という根本的な問いを投げかけるべきです。学校制度がすべての子どもたちの発達や多様なニーズに対応しているのかどうか、家庭の状況に関係なく、個々の子どもたちが自分に合った学びを選べる社会やシステムを作ることこそが、私たちの使命ではないでしょうか。
子どもたちが安心して成長できる環境を整えるために、柔軟で多様な学びの選択肢を増やし、どの子どもも自分らしく過ごせる社会を作ることが、真の支援であり、未来に向けた社会の在り方だと思います。
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