おもてなしと人間力を学ぶ旅。沖縄で出会った素晴らしき人たち
世界観コーディネーター&&地球を楽しむ旅人ライターのJAMYです。
「おもてなし」という言葉がオリンピックを機に日本の文化として大事にされて長いですが、実際他の国を旅すると特に日本のサービスの手厚さや正確さは右に出るものはいないと感じるものです。
日頃から日本のサービスはやりすぎと思うこともあったのですが、先日訪れた沖縄での経験が「これこそ、真のおもてなし!」と感じる時間で人間活動の最上級を見させてもらったのです。やりすぎるからこそ一生忘れられない思い出になる。そして人を動かす力になると感じる旅でした。
誰かに向けてサービスを提供している方や、なにかにチャレンジしたい方は是非ご覧いただきたいですし、沖縄に行く予定の方は是非このまま読み進めていただけるといつもと違う沖縄の旅を楽しめると思います。
今回の沖縄滞在は私が主宰する「地球クラブ(※)」での旅の中でたまたま出会った方々のお話しです。一期一会の出会いの中で心から感動するサービスやエピソードを伺うことができました。偶然出会えた3名のおもてなしオーナーをご紹介します。
諦めない心を形にした亜熱帯サウナ・オーナー坂本さん
参加メンバー8名と主宰の私、オーガナイザーのしょうこさんと沖縄を北上すること数時間。初日のサプライズイベントとして予約制の亜熱帯サウナにお邪魔しました。
こんなところにいったい何があるんだろう…と思わせる本気のジャングルを抜けると突然現れるのが楽園のような亜熱帯サウナ。オーナーがタイで感動したスパをいつか日本でも作りたいと何年も夢見ながら、コロナをきっかけに作ることを決断。従業員と共に1年をかけて手作りして行ったそうです。
何も知らなければ業者に頼んで作り上げたと思えるほど完成度の高いサウナや外浴施設。フロントの建物以外は何もない木々が生茂るジャングルを開拓していったオーナーは、森にも神様がいるからと感謝を込めて切り落とした枝など全てを捨てずに施設内で利用しています。
サウナでは毎週土曜日に、プロのハンドパン奏者の方がが心地よい音色の演奏をしてくださるそうですが、私たちが訪れたのは日曜日。残念ながらハンドパンは聞けないものと思っていると美しい音色がサウナに入っていても聞こえてきました。実はオーナーの坂本さんがたまたま外のスペースで演奏されていたのです。音色に導かれるように参加者みんなで坂本さんのもとへ。
ハンドパンには楽譜もなく感覚で演奏されるそうで、「まだ僕も練習中の身なんです」と謙遜しながらも奏でてくださる曲たちは十分すぎるほどうっとりするものでした。
演奏が終わって、サウナを作ろうと思ったきっかけや沖縄に移住するまでの話、人生観など興味深いお話ばかりが飛び出してきました。人気店として軌道に乗っていた経営するレストランがコロナ渦でこの先見通しがつかないとなったタイミングでサウナをやろうと決定されたとのこと。
「怖いものはほとんどないです」
そうおっしゃる坂本さんは幼少期から波乱万丈なエピーソードをお持ちで乗り越えてきた数が人並みを超えていました。20代の頃にバックパッカーで旅をする中であったタイのスパリゾート。日本にスパブームが来る何年も前の話です。その際に感動した体験を日本でも!と国内のスパ立ち上げにも関わりその後沖縄に移住。様々な苦労を経て、念願の楽園を作られたとのことでした。まだサウナ施設の完成度でいくと6割程度。「これからまだまだ進化していきます」と嬉しそうにお話ししてくださったのも印象的で、ここぞというタイミングでで一か八かの判断ができるのも人生経験の豊富さが故と感じる時間でした。
私たちがサウナに滞在している際に演出家の宮本亜門さんもサウナを見学されていたりと様々な奇跡が生み出した時間は沖縄滞在初日にしては豪華な思い出に変わりました。沖縄に行ったら必ず訪れたいスポットの一つです。
山原の魅力を語り尽くせる島袋さん
沖縄滞在2日目のメインイベントはマングローブカヌーでした。実は沖縄滞在3日のうち2日が雨天の滞在となった今回。マングローブカヌーも大雨の中の体験となりました。
私たちのカヌーが2人1組の4台と、別のご夫婦1組の計5台のカヌーを先導してくれたのが、マングローブカヌーを運営するやんばる自然塾代表取締役社長の島袋さんでした。あいにくの天候の中、様子を見ながら私たちのテンションを最大限上げるために試行錯誤しながら盛り上げてくださる島袋さんのおもてなし姿に、カヌーに乗ることを不安がっていた70代の参加メンバーも「楽しい!」と言えるまでになりました。
なんとなくしか知らないマングローブの生態や、河を進んでいくと見えてくる生物や植物の解説を5台全体に聞こえるように声を張り上げながらわかりやすく話をしてくださり、時にはうまく漕ぐことができないカヌーの先導をしつつも何枚も写真を撮ってくださる姿勢がとにかく感動的。
島袋さんは一時期、沖縄を離れて静岡でも同じようなお仕事をされていた時期もあるそうです。その時にマングローブの生態や沖縄にしかない場所の魅力をもっと語ろうと地元で事業展開をされていて、「外をみたからわかることがある」とおっしゃっていたのが説得力を感じました。
実際、晴れていたら問題ないものの大雨の中での解説や誘導も大変だったと思いますが、雨でないと生まれない海の波乗り体験をすることもでき最後の最後まで楽しむことができました。
カヌーがおわって着替え終わる頃には撮影した写真をデータ転送してくださいます。その作業をするために数十分間に濡れた体のまま進めてくださる姿勢にまた人格を感じる。
しかも帰り際にはこちらが「どうか傘をさしてください」と言っても、「
もう濡れているので大丈夫です」と笑顔で私たちの車が出発し見えなくなるまで見送ってくださいました。全力で遊び、全力でおもてなしをする姿勢に心が打たれたことは言うまでもありません。
沖縄ならではのマングローブのカヌー体験。年齢制限もあまりなく気軽に挑戦できるアクティビティーの一つです。検討される方はやんばる自然塾で体験してみてください。
今世、人間活動の最終章をされている宿のオーナー宮本さん
この記事最後のおもてなし人は、私たちが宿泊していた宿のオーナー宮本さん(以後、オーナー)です。今回の旅の目的が途中から「オーナーに会いにいくため」に変わってしまうほど旅前から感じられるおもてなし人で、元の出会いはたまたま民泊で見つけた情報の少ない宿の口コミがあまりに素晴らしかったことでした。
場所や宿泊可能人数も申し分なかったのでキャンセル期間もまだ十分あったため宿を予約し、地球クラブとして下見をさせてほしいという連絡からおもてなしが始まりました。
その日以来、オーナーが私たちのために最上級のおもてなしをプランニングしてくださることになり私たちの予想を遥かに超える沖縄旅行を提供してくれたのです。エピソードはいくつかに絞らせてもらいますが心から人をもてなすとはこういうことなのかと感じさせてもらえる時間でした。
例えば先ほどマングローブカヌーの後はこんな出来事がありました。沖縄といえど冬は冬。水に入っている時は感じなかった寒さがカヌーが終わると一気に押し寄せます。暖かいシャワーを浴びるも2時間以上水上にいたので冷え切っていて体を震わせながら車に戻ると、待っていたオーナーは車を暖房で温め、車内後部には湯の沸いたポットとスターバックスの粉末コーヒーやチャイなどが並んだミニコーヒーショップを用意してくださっていました。冷え切った体が暖かいカフェラテで溶けていきオーナーの先読みするおもてなしに感動したものです。
また亜熱帯サウナでも、必要になるだろうバスタオル、フェイスタオル、ビーチサンダルや飲み物など事前に用意してくださり、自分たちで用意すべきものまで先回りして手配してくれていました。しかもすべてオーナーの負担です。こんな神様のような人がいるのか…と正直人間を超える存在にも見える逸話だらけで別の記事でもお届けしたいと思いますが、ご本人も自分のことを変人と呼ばれるだけある凄まじいご配慮をいたる場面で繰り広げてくれました。
オーナーとは「今回の人生で人間活動が最終章ですね」なんていう話をするほど次のステージは人間を超えることを想像できるほど3日間ずっと私たちの旅が最高の時間になるようドライバーとして、BBQ職人として、ガイドとしてもてなしてくださいました。宿を見つけた時にみた数々の素晴らしい口コミにも納得です。
「観光って、光を観ると書きますよね。観光客の方が楽しんで光っていないと成り立たないんです。だから自分はそのお手伝いを全力でするだけです。お客様は何も心配しなくて良いし何も準備しなくて良い。とにかく旅に集中して楽しんでもらいたい」
そうおっしゃるオーナーとの出会いのおかげで日頃から自分のできることはもっとあるのではないかと考えさせられる時間となりました。
日頃の生活だけでは、なかなか会うことのない人に出会えるのも旅の醍醐味です。今回たまたま出会えた自分のサービスに意志を持って取り組んでいるオーナー様たち。
どの方も、また必ず訪れたい!と思わせる場所作りをされていました。心に響くお話を通してそんな方々のつくる世界は優しく強く人を魅了していく。何度も心に響く感動を味わせてもらいました。
そんなオーナー様方の人間力やおもてなしの精神を受けた私たち受け手がまた誰かにそれを引き継いでいくこと。それが旅ならではの循環へと変わっていくと信じています。沖縄行きの飛行機を帰宅早々眺めながら、私もペイフォワードしていこうと思う次第です。こんな旅を体験できる「地球クラブ」は2024年もさらに拡大していきます。是非、みなさんも地球のどこかで待ち合わせしましょう。