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ボードゲーム教育を実践するボドゲ先生の教室に行ってみた
我が家は息子が3歳の頃からボードゲームで遊びはじめました。しばらくすると計算やコミュニケーションなど子どもの成長にも影響を感じることが増え、ボードゲームって教育にもいいのかも!思うように。
今回はそんなボードゲームと教育の可能性について、ボードゲーム教育を実践されている「ボドゲ先生」のボードゲーム教室1098(以下ボードゲーム教室)の訪問を通して探求していきます。
【この記事にオススメな方】
・子どもの教育や習い事に関心がある方
・ちょっと変わった習い事に興味がある方
・ボードゲーム教室を開きたいと思っている方
・学校や習い事にボードゲーム教育を導入したいと思っている方
お勉強だけじゃない力を育むためのボードゲーム教育
我が家がボードゲーム教育という言葉を知ったのは、2年ほど前。ボードゲーム教育概論Ⅰの存在を知ったことがきっかけでした。
「ボードゲーム教育」とは、多種多様なボードゲームを楽しく遊んだり作ったりする経験を通じて、計算力などの認知能力のほか、忍耐力や自制心などの非認知能力、ルールに対する態度(ルールコンピテンシー)などを高める教育手法です。
例えば、ボードゲームの遊び方を工夫して「思いきり遊びながら思考錯誤する場を作る」その結果、お勉強だけでは伸ばせない能力や生きる力を養うことができるのがボードゲーム教育なんですね。ただ…
お家でボードゲームで遊ぶのと実際何が違うの?
という疑問が浮かびませんか。
そこで、今日は実際にボードゲーム教室を訪問させていただき、どんなことが行われているのかをレポートしたいと思います。
1. ボードゲーム教室1098の基本情報
どんな場所?
ボドゲ先生のいるボードゲーム教室は豊田市西岡町にあります。刈谷のハイウエイオアシスから車で6分ほど。
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そして、学習塾と同じ空間でボードゲーム教室が行われています。一つの広い空間になっていて、本棚でパーテーションされています。(写真は塾エリア)
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対象年齢や通っている生徒さんの属性
ボードゲーム教室には現在3つのクラスがあり、
キッズクラス:年中〜年長
ジュニアクラス:小1〜小3
ティーン:小4〜小6
(近々中学生以降のユースクラスもできるそうです)
近隣の生徒さんだけでなく3割以上が市外から通っています。
カリキュラム
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月4回+定期イベントの構成で、毎月テーマに合わせたボードゲームを1つ選定。同じボードゲームを2週連続プレイすることで前回はこれで負けたから今回はこうしてみよう、といった試行錯誤を経験できます。
さらに、保護者参加も可能な週があり、自由にボードゲームを楽しめる機会があることも特徴です。
ポイント!
ボードゲーム会などは自由にボードゲームを選ぶスタイルが多い(または将棋やカタンなど特定のボードゲームに絞られた会が多い)ですが、ボドゲ先生のボードゲーム教室では生徒さんの成長段階や特性からテーマを絞り50分で1つのボードゲームをプレイしています。
2. 教室の運営方法
ここでは私たちが訪問して興味深かった教室運営ポイントを7つ紹介したいと思います。
-1 生徒の笑顔と発言が飛び交う
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塾やピアノや運動も、習い事って一人で行うものが多いです。基本コミュニケーションも先生と生徒だけになりがちですよね。
でも、ボードゲーム教室では生徒同士が協力して目的を達成する経験ができます。ボドゲ先生はタイムキープやルール説明に徹し、ゲームのシステムになりきっていて、「オレが主人公だ」と言わんばかりに活発に意見を出し合う子どもたちの様子が新鮮でした。
-2 「対話」が中心のコミュニケーション
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ボードゲーム教室も塾でも、ボドゲ先生は子どもたちに自主性を求める姿勢を貫きます。
・ゲームのルールや難易度はどれがいい?
・どうしたらみんなが楽しくプレイできる?
ボドゲ先生の中に答えをいくつか持っていても、それを押し付けるようなコミュニケーションを取らないのが印象的でした。それは子どもたちが自分で考えたアイデアの方が良いこともあると知っているからかもしれません。
(私なら我慢できずに「こうしなよ!」とか言ってしまうかも)
-3 「ちゃんと見てくれてる」と感じる仕組み
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ボドゲ先生のボードゲーム教室でプレイする生徒さんたちを見ていると、活発だけど規律があって、自立もしていると感じる子が多いこと!
5年生だからということがあっても、その様子は大人顔負けで驚きました。
もちろん本人の資質や努力もあると思いますが、無法地帯にならないための工夫もちゃんとありました。
例えばこのファイル。プレイ中の様子やゲームごとのレベルや能力が一覧になっていて、良いプレイ態度にはスタンプが押されるようになっています。
子どもの気になる行動の多くは注目されたい、人と差別化したい欲求が表面化していることが多いですが、言葉にしなくても「見てるからね」という態度や仕組みがあるだけでも本来のパフォーマンスが発揮されやすくなるのは発見でした。
他にも…
-4 保護者向けの図書コーナーがある
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こうして本が並んでいるのを見るだけで教室の方針や思想が伝わってきます。保護者としては、難しい理念や口だけのいいことだけの案内を聞くよりも安心できます。
-6 タイムキープ文化
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さらに、ゲーム中はタイマーを多用します。タイムキープがあることで、集中力が高まったり、テンポよくゲームが進むため飽きを感じる暇もありません。これは私たちのボードゲーム会にも採用すると決めました。笑
-7 没頭できる仕掛け
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私たちもボードゲーム会をする時、ボードゲームの「楽しい!」を作るのにテンポややりやすさ、没頭できる仕掛けは結構重要と感じています。
界隈用語ではマジックサークルとも言いますね。
ゲームの世界観に没頭できる仕掛けは集中力を上げ、結果参加者の満足度を上げます。
3.保護者から見て感じたボードゲーム教室の魅力
子どもたちのコミット度が違う
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教室がはじまってまず驚いたのは子どもたちの顔がキラキラと輝いていたこと。これはなかなか学校や家庭でもすぐに見られない姿です。
普段、習い事がはじまるころの保護者の心境は複雑です。
「続けてくれるかな…」「真剣にやってくれるかな…」
だからこそ、最低限楽しんでくれるならOK!と送り出している方も多いのではないでしょうか。
その点、ボードゲーム教室には楽しむことと真剣に取り組むことが両立できます。
まず、楽しいと感じやすい点は常にはじめてがあることだと感じます。
例えば、学校の授業でつまらない瞬間があるとすれば
すでにわかっていることを繰り返しやる
ルールがきつく柔軟性がない
いつも同じメンバーでコミュニケーションが停滞する
ことになりやすいこと。
その点、ボードゲーム教室は
はじめてやるゲームを攻略する
勝てるようになったゲームもルールを変えてプレイする
一緒にプレイするメンバーもはじめてにする
だから、いつもワクワクしながら真剣にプレイする子の姿を見ることができるのではないでしょうか。
子どもたちの活発な意見交換の様子は、退屈な会議をこなすビジネスマンにも刺さるものがあるのでは。
学校では学べないことを学んでいる
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ボードゲーム教室で取り組むゲームは単なる遊びや暇つぶしではなく、「目的を達成するためのプロセスそのもの」です。つまり、子どもたちはボードゲームを通して誰かと(競ったり協力しながら)何かを達成することを学びます。仕事みたいですねー
自然界で子が遊びながら狩りの方法を身につけていくことに似ています。だから本能から楽しんでいるのかもしれません。
学校の共同生活ではどうしても集団が大きいので協力や競争が限られてしまう。本当は思っていることを言いたいけど30人が全員それをやってしまったら授業にならないこともある。
ボードゲーム教室はそんな子どもたちの発散の場であり、社会活動の準備になっている気がしてなりませんでした。
まとめ
1日訪問させていただき、ボードゲーム教室は家庭でなんとなく遊ぶボードゲームとは全く違った「社会体験ゲーム教室」だったことがわかりました。
ちなみに今回見学させていただいた教室のメンバーは全員違う学校に所属する子たちだそう!周りに臆せず自分の意見を話す様子が印象的でした。
勉強や知識をつけるのも大切ですが、ボードゲーム教室を活用して「人と何かを達成したり取り組んだりする経験」も身につけられたら、より生きやすくなりそう!と感じました。
通っている生徒さんが羨ましい。(私が小学生で近くに住んでいたら間違いなく通いたい教室でした。)
このような貴重な体験をさせていただき、またお忙しいのに対応くださいましたボドゲ先生をはじめとしたご家族のみなさま、本当にありがとうございました!!