読書日記『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』橘玲著
なぜあの人はこうしてくれないのだろう。
なぜ私は評価されないのだろう。
時々、自分は他人とは違うと知っていながらも、自分と同じようにならないことに憤ります。
それもそのはず、人のパーソナリティは一人一人違うからだということがわかりました。
パーソナリティを構成する要素はたったの5つ(この本では8つに拡大)ですが、その要素が強い方から弱い方までのどこかに寄っているだけで、両極端だけで説明できるものではありません。ですから、自ずとバラエティは富む、それどころか一つとしてまったく同じのパーソナリティはないことになります。
そのパーソナリティを決定づける5つの要素をビッグファイブといいます。
①外交的/内向的
②神経症傾向(楽観的/悲観的)
③協調性(同調性/共感力)
④堅実性(自制力)
⑤経験への解放性(新奇性)
これに独自の試みとして、協調性を同調性と共感力にわけ、さらに外見と知能を加えたのが8つの要素となります。
同調と共感は別のものというのは、言われてみれば確かにそうでした。相手に合わせるのが同調で、相手の気持ちがわかるのが共感です。
なぜこの5つで決まるかというと、人格とはあなたの内部にあるのではなく、身近な他者の評価がフィードバックされたものだからだ。これは、「すべてのひとが人生という舞台で主役を演じている」と考えれば当然のことでもある。
さて、巻末に10の質問に答えるという簡易なパーソナリティ診断がついていました。
私はどちらかというと内向的で、悲観的傾向があり、協調性は低め、堅実性は少しあるものの、経験への解放性がとても高いという結果でした。
協調性の中でも同調性が低いことはよくわかっていたので納得の結果です。
ちなみにQの尻尾は右に書いていましたので、セルフモニタリング能力は低いらしいです。でも、この部分は矯正の余地があるのでは?とも思いました。
本当は無意識の能力という言葉に惹かれて読み始めたのですが、あまり多くは書かれていませんでしたので、ファスト&スローをもう一回読んでみることにしようと思います。
どうも、子供の頃から授業が面白くなくて窓の外の景色の変化を見てばかりでした。直感で何を問うているかわかってしまうので特に成績に問題はなく(特別いいわけでもないですが)先生にも、「理解しているのはわかるけどもう少し授業に集中しましょう」と言われていました。なんと、息子たちも同様で、個人懇談で同じことを言われるとは、遺伝だから仕方ないのでしょうか。
これは、努力ではなくて無意識の能力の為せる技だったのだろうと気がつきました。
この本で著者は心理学のパラダイムシフトを企んでいるといいます。
「わたし」のほとんどは無意識で、意識はその一部でしかないというデータが積み上がっています。わたしを形成する無意識と魂を合わせたところの「スピリチュアル」の分析が心理学を今後大きく転換させるだろうというのです。パーソナリティの分析が精密になり、他者からの評価に影響する部分を矯正でき、より成功者に近づくプロファイリングを作る。
そればかりが望みではないと思いますが、なんだかしんみり怖い気もしました。
スピリチュアルというと「神」や「魂」について語っているのかと心配しましたが、深い思考(哲学)と研究による新知見(科学)に基づいておりました。
読後の疲労感、まさに読書はスポーツでした。