悪魔の手先
27年間生きてきて、今まで大して困ってもいなかったのに、自分にある力が備わっていないことに気づき、危機に直面した。
手先が信じられないくらい不器用なのだ。
具体的には、包装紙のセロテープを紙を破くことなく剥がすのがとても苦手だ。待てよ、ならシール剥がしも苦手か?と考えたが、シールに関しては爪で広範囲に少しずつ剥がしていくことで粘着面との剥離を強引に防ぐことができる。そういう力技ではなんともならない「テープ剥がし」がどうも苦手なようなのだ。
たまに誕生日などにプレゼントを貰うと、必ずと言っていいほど包装紙をビリビリに破いていた。
「プレゼントが嬉しくてすぐ開けたいねん、アメリカ人のスタイルやねん」
と口では言っていたし、自分でもそう思っていた。しかし実は、そう思い込もうとしていただけだった。
僕は本当は包装紙を綺麗に開けるのが苦手で、そして心の底では綺麗に開けたいと思っていたんだ。でも剥がすのに手間取って「あれっ、ちょっと待ってなwおっかしいなぁ…」とやっている時間の長さが気まずくて、回避したかっただけだったんだ。だから豪傑を装って紙をビリビリ破いて、それを嬉しいからという理由にすげ替えた。
自分の悪魔レベルに不器用な手先と向き合わない時が来ている。理由は、今の仕事で綺麗に、かつ素早くテープを剥がさねばならない作業が多いからだ。
手先って後天的に器用になるものなのだろうか。
僕は、苦手なものも超頑張って凡人レベルにする努力の力が好きだ。凡人レベルにすらならなくても、1の力が2や3になることはよくある。そしてたまに奇跡が起こって5になることすらある。そういう時に才能が10の人のコンディションが悪ければ、ジャイアントキリングが起こる。(何の話やねん、って感じだけど、スポーツをイメージしてます。そして武井壮さんが話していた内容を一部引用してます。)
才能がないことをいったん認めて、あとはコツコツ伸ばしていく人生だな、何するにしても。