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カナダの(英語圏の?)処世術

カナダのローカル企業で働き始めて半年以上が経過し、周りの同僚などを見ていて思ったこと、気づいたこと、そしてカナダでの過去の経験などから、働く上で気を付けた方がいいことなどを書いてみたいと思います。サンプル数めっちゃ少ないので、ほぼ個人の感想ですが…

というか… のっけからタイトルをひっくり返すようなことを書くと、もしかしたらこれ、日本と差はないかもしれない…
まあ、いってみましょう。


なんでも対等に、率直に、が正解でもない

欧米の職場環境というと、上司や先輩後輩といった上下関係が日本ほど厳しくなく、名前で呼び合ったり、なんでも対等にフランクに話せるから楽!というイメージがあると思います。
まあ確かに、お互いファーストネームで呼びあうし、若いからどうとか、年配者を敬えとか、男だから女だからどうの、というのはほぼない。
似たような話で、「英語には敬語がない」みたいな話も時々聞くことがある。メールの文面なんかも非常に簡素で、例えば弊社の普通おじがサプライヤーに送るメールとか、「ええ、それだけでいいの…?」みたいに衝撃を受けることもある。

しかしである。

やはり、お互いに何でもかんでもダイレクトに言ってOKというわけでもないようです。
特に、弊社のイケオジを見ていて思ったのですが、彼はかなり、日本のサラリーマン気質というかなんというか、カナダ人のわりに結構、繊細に立ち回っているなあと。(ちなみにイケオジは実は弊社の正式な社員ではなく、フリーランスというか個人事業主というか、契約で働いている立場なので、半分外部の人、という立ち位置)
まず、余計なことは言わない。シャッチョの指示や判断に対して、「ええ… もっとこうした方がいいのに」みたいに思ったとしても、一応意見としては言うとしても、それを無理にゴリ押ししないとか。明らかに不合理やろ… ということでも、「彼がボスだから」と受け入れて、粛々と従う。(そしてその不合理な作業が、下っ端の私に流れてくる…)

なんか、アメリカ映画とかドラマ見てると、自分の上司に対してもガンガン意見言って、ケンケンガクガクの議論を戦わせる!みたいなシーンが多い印象だったんですが、やっぱああいうのは稀なのかもなーと。
まあ、ああいうのって主人公が「破天荒」とか「熱血ルーキー」みたいな設定が多いからなのかな。そう考えると、やっぱリアルでああいうことをするのは結構ヤバい奴というか、ノーマルではない状況なんですかねー… 分からんけど…

ついでに「英語には敬語がない」説ですが、いろんな人が指摘してる通り、「そんなこたーない」と私も思ってます。
まー弊社は僻地の零細建設会社ということもあって、スタッフとかサプライヤー、協力会社なんかも、おおざっぱというかなんというか、そんなかしこまった雰囲気はないので、私みたいなバカ英語でもなんとかなってますが、やっぱそれなりの会社とか業界行ったら、相応の言葉遣いは必要だろうなと思います。
(さらについでに書くと、↑ の、「余計なことを言わない」という点においては、英語力の欠如が逆にうまく作用している気がする… 雑談にもあんまり参加しない(できない)し… 涙)

Work smart, not hard

これはですね。最初にこの言葉を聞いたのは、例の3日で辞めた仕事のジョブインタビューの時でしたね。その後、たまーに聞くことがあるので、こちら(北米?)ではわりと一般的なフレーズっぽい。
(Work smarter, not harder とも言うようです。むしろこの方が主流かも)

これ、初めて聞いたときはかなり衝撃だったんですよ。
だって日本だと、「とにかく一生懸命がむしゃらに働け!」っていうのが一般的な考え方じゃないですか。それを否定して「賢く、要領良く働け」って、マネージャークラスの人が言うんですもの。
でもこの間、イケオジと話してた時にもこのフレーズが出て、あー、やっぱりこっちではその考え方が一般的なんだなーとしみじみしたんです。

日本だと例えば、新入りはスキルや経験がない分、朝誰よりも早く出勤してやる気アピール!とか、毎日残業してる人が仕事熱心で、定時で帰る人はやる気ないダメな人、みたいな雰囲気があるかもしれないんですが、そういうのとは真逆な考え方だなあと。
多分こっちだと、毎日一人だけ長時間労働している人がいたら、周りから「どうした?」って思われるし、上司から「ちょっと話聞こか」ってなると思うんですよね。

ただがむしゃらに長時間労働したり、手間をかけて作業するよりも、いかに効率よく短時間で結果を出せるか、そっちを追求しなさいよ、という風潮は、日本とはだいぶ違うなあと。(今は変わってきてるとは思うけど)
英語が完璧じゃないからとか、スキルが足りないからと、時間や工数でカバーしようとしても、それが必ずしも功を奏するとは限らない、ということですね…

うまくアピれない努力は無意味かもしれない

上の話にもちょっと関連するかもなんですが、日本と違って、陰の努力とか貢献って、あんまり報われない気がします。
日本だと、そういう目立たない地味な作業とか、みんながやりたがらないようなめんどくさい仕事をひっそりとこなしてると、実は周りや上司が見ていてくれる、みたいなことがある気がするんですが、なんか多分、こっちだと、そういう繊細かつ素敵なことは起こらない… と思う。

↓ 前にここで書いたことと相反するようですが、ポイントは、「地味な作業、みんながやらないようなことをやってもムダ」ということではなくて、それをいかにうまくアピれるか、ってことなんですね。

そもそもの前提として、「自分の業務外のことを頑張っても、評価につながらない可能性が高い」というのは頭においておいた方がいい気がします。
私もたまに、職場のゴミ袋換えたりとか、キッチン拭いたりとかはしてるんですけど(誰もやらないから)、それが評価につながるとか、シャッチョのおぼえがめでたくなるとかはあんまり期待してないんですよね… (ただ、「ああ、ノム子がやってくれてるのか」とは分かっておけよ!とは思うけど)むしろ、それが私の仕事だとみんなに思われたくないので、極力やらないようにしています!

掃除とか片づけとか、やるなとまでは思わないんですが、そういうことをするなら、自分の業務にフォーカスした方がいいし、場合によっては「あいつなんであんなことやってんの?」「仕事してんの?」って思われるリスクもありそう。

あと、直属の上司とか同僚とかの仕事を手伝ったりしたときに、さりげなくでも自分の名前がちゃんと出るように手回しするのが大事かなと。
日本だとそういうとき、あんまりしゃしゃってアピールするのは美しくない、みたいな考え方があるかもですが、こっちの世界だと、アピらないことには、やっぱり評価につながらないと思うんです。ただ、それもやり方が重要で、あんまり「オレがオレが σ(゚∀゚ )」だと、「なんやあいつ…」ってなるし、匙加減がむつかしい。
一番いいのは、その上司や同僚が「〇〇のおかげです!」って言ってくれることですな。そのためには、日頃から周りと良い関係を作っておくことが重要かと。

意外と協調性だいじ

ということで、職場で評価されるための重要なファクターの一つとして、協調性というのが、意外にあります。
なんとなく欧米の職場って、基本、個人プレーで、どんどん自分で仕事を進めて有能さをアピール!他の奴らなんて蹴落とせ!弱肉強食じゃ!みたいなイメージがあったんですが(私だけ?)、実際のところは、チームワークがかなり大事です。
求人広告とか見てても、絶対書いてあると思う。ジョブインタビュー等でも、チームワークで成功した経験を聞かれることもあるかと。
どんなに有能で仕事ができても、周りとうまくやれないとダメ。コミュ力大事。

これ、私がこの間、probation period (いわゆる試用期間)が終わって、シャッチョと少し話したときに、仕事の評価とは別に、「他のおじたちや、ツッマとか、みんなともうまくやれてるし」と言われてハッとなったんですよね。あー、そういうところも見られとったんかーと。
まあ私の場合はオフィスで唯一のアジア人、てか移民だし、英語も大丈夫かこいつ、と思われてたので、コミュニケーションについても結構心配されてたんだなあと。だけどまあ、変なトラブルも特になく(一度、おじ二人にキレたことはあったが…)、それなりにやってこられたので、無事、首の皮がつながったといいますか。

分からんけど、普段メインで一緒に仕事をしている普通おじとイケオジが、うまく言ってくれたんだなーと想像。カナダ人って、結構日本人と似てるところがあって、表面では「いいよいいよー、素晴らしいねー」と言って、本人にはあんまりネガティブなこと言ってくれないところがあるんで、ちょっと気にしてたんですよね。てか、普段から仕事のフィードバックとかダメ出しもなかったんで。シャッチョに「あいつダメですよ」「イマイチですね」とか言ってたらイヤだなあと。
けど、私の場合、上にも書いた通り、英語がイマイチというのが逆に功を奏して、余計なことを言わず、仕事を淡々とこなしたのが良かったのかも…

(ちなみに日本でもカナダでも、以前働いていたいくつかの職場では、わりと言いたいことをガンガン言って、それを面白がってくれる人たちもいたんだけど、今から思うと、やっぱり良く思われてなかったり、うっとうしく思われてただろうなーと。派遣とか一般職の女子、という立場もあって、そのへんの立ち回りがめちゃくちゃダメでした。)(かといって、言うべきことを言わないとならない場面というのも絶対あるので、これもまた匙加減といいますか…)


というわけで、カナダでカナダ人に囲まれて働いて感じたことや、考えたことをつらつらーと書いてみました。
日本と共通することもあれば、全然違うこともあるかな。でも、たぶん今の日本もだんだんとこっち寄りに変わってきてるのかな。
前にも書いた通り、せっかく努力しても、文化や感覚の違いで評価してもらえなかったり、ヘタすると裏目に出てしまったりすることもありそうなので、こういうことを最初に知っておくと、職場でもうまくやれるんじゃないかなーと思います。まあ、会社とかメンツによってもだいぶ変わってくるとは思いますが…

少しでも面白く読んで頂けたのなら幸いです。アデュー!