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日本のポスターが変更されたのはオリンピックのせい?(ワイルド・スピード/ジェットブレイク)

タイトルの通りなのだが、まずは日本版と国際版のポスターを見比べてほしい。

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どちらが日本版なのかはタイトルロゴを見ればわかっていただけると思う。

日本版は主人公サイドの7名なのに対して、インターナショナル版は悪役サイドの2名を追加して9名になっているのだ。マーベルのヒーロー映画のポスターでは悪の親玉が一番大きく描かれることがお約束になっているが、インターナショナル版では主人公のドミニクが誰よりも大きくどっしりと仁王立ちしているのが印象的である。完全にサノスのポジションである。笑

しかしポイントはそこではない。

私が注目するのは、煙幕の色だ。

日本版では「黄、ピンク、緑、赤、黒」の配色。

国際版では「黄、青、緑、赤、黒」の配色。

日本版だけわざわざ青をピンクに変えたことになる。

この違いはなぜ生まれたのか?

あ。

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もしかして、

煙幕のカラーがオリンピックのマークと一致してると、オリンピック反対派から難癖つけられるのが嫌で青をピンクに変えたんじゃね?

なんだか日本版のピンクと黒の境界線を拡大してよく見ると、黒がうっすら青になっているようにも見える。

ジェットブレイクの公開日は米国が6月25日で日本が8月6日。日本公開日はちょうど東京オリンピック開催期間にあたり、つまり公開前に一番広告を打つ必要があった時期(または世間の状況をよく見て劇場公開をGOするのか最終的に検討していた時期)はオリンピック直前で、連日のようにオリンピック関係者のスキャンダルが勃発し、オリンピック反対派の言論が激しさを加熱していた。そんな時期に日本の配給元としては、要らぬ刺激を与えて余計な炎上だけは是が非でも御免蒙りたい所だったろう。

▼過去作との比較:

ちなみに過去のワイルドスピードのポスターを見ても、青色または橙色のモノトーンを基調としたシリアスなものが多く、ここまでカラフルだった事例はない。つまりジェットブレイクのポスターはシリーズの中でも異例の色づかいであることが分かる。

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そもそもこの煙幕は何なのか?

私は本作を劇場で観たが、このようなカラフルな煙幕は特に使用されなかった。つまり映画の本編とは関係なくて、あくまで広告宣伝用のポスターのオリジナル要素であると言える。

これも過去作が何かしら劇中に出てくるものを使ってポスターを構成していた慣例から逸脱している。明らかに宣伝サイドは何かの意図を持ってこの5色の煙を持ち出している。

このことからアメリカ本国ではオリンピックの盛り上がりにあやかってオリンピックカラーの煙幕を雰囲気がある感じに配置してアピールしようとしたと考えて良いのではないだろうか。

▼反論を検討する:

仮説検証のために反論を検討する。つまり煙幕の色に何か別の意味が込められている可能性を探る。

ここで公式ウェブサイトを見てみる。日本版で以下のように各キャラクターごとにテーマカラーが設定されているらしきページが確認できた。

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あれ?青がない?

いいえ、安心してください。青もありますよ。(とにかく明るいう安村)

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これらは公式Wikiで画像が確認できる。

ちなみに海外の公式サイトはこんな感じ。

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さて。

ここで、もう一度日本版のポスターを見てみよう。

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どうして7人いるのに煙幕は5色なのだろうか。ジェイコブが不在だから青は抜くことがあるとしても、ラムジーの紫とハンの橙が無い説明がつかないし、そもそもメンバーカラーが決まっているのにキャラクターと煙幕の並び順序が一致しないのナンセンスである。

つまり日本版で採用された5色には特に意味がなく、ただバランス的にかっこいい並びで、各キャラクターのイメージカラーを適当に(かつ米国版になんとなく寄せて)ピックアップしただけだと思われる。

そして、よく見ると黄色とピンクと黒色で、煙幕の形状が非常に似通っていて面白みがないことがお分かりいただけるだろうか。

これらの事実から分かるのは、日本版のポスターは、おそらく日本の広告制作会社が本国から送られた素材と日本で入手できる煙幕の素材を用いて安価で短時間に制作した可能性が高いということだ。

特に煙幕の素材をこのように安直に使うというのは、米国ユニバーサルほどの超大手の主力コンテンツではおよそ考えられない、プロとしては恥ずかしい行為に思える。日本版ポスターにはクリエイターとしての気概やプライドの欠如や詰めの甘さが、そういう細かい所に表れてしまったと言える。

そして逆に言えば日本側はそれほど追い込まれていたというか、インターナショナル版のポスターがそのまま使えない理由が急にできてしまって、時間がない中で急ごしらえで日本版ポスターを作る必要に迫られていたことが想像できる。

そしてここまで見てきた通り、日本のために変更されたのは事実上配色だけであり、色に関して2021年にこれほどの破壊力を持つ懸念材料といったら、それはオリンピックのロゴをおいて他にはないでしょうという話になるのである。

了。

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まいるず
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