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【TENET】逆行銃弾のメカニズム解説【テネット】
時間が逆行するビジュアルが刺激的で面白い映画テネット。ここで重要なアイテムである《逆行銃弾》について、その仕組みを整理したいと思います。
▼使用方法:
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ざっくり言うと、逆行銃弾は《念じれば撃てる》ものです。
(ざっくりしすぎですかね;笑)
ターンスタイル(回転ドア)で逆行させた物質は、普通の私達(時間順行する人)からは《原因と結果が逆の順番で起きる》ように見えます。
映画の途中で、主人公が逆行してる銃弾や物質を「落とす」シーンが複数ありましたよね。あれも「私はこれを落とす(落とした)」と念じると、物体が重力と反対方向に落下(つまり上昇)します。
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だから、ピストルで撃つ時にも同じやり方ができるのです。
ピストルを持つ人が、「私はこの銃弾を撃つ(撃った)」と念じると、すでに撃たれた後(結果)の銃弾がピストルの中(原因)に戻ってきます。
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なお、普通の感覚の人間であれば、これはいくら説明されてもよく理解できません。
ここでバーバラ博士のアドバイスは…
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これは主人公を観客に見立てて、ノーラン監督からのメッセージをバーバラ博士に言わせているものです。ここは映画内世界のルールなのだとして、素直に受け入れることにしましょう。
補足)これと似たようなことは最新の量子物理学でもよく起きる現象です。現在の量子物理学では宇宙の未知を解明するために、原子よりも小さいミクロの世界をメインで研究している人が多いのですが、物理学の法則に当てはめて計算すると、人間の感覚では全く理解できないデタラメに見える結果が示されます。しかし、実際に観測するとそのように振る舞うので、世界とはそういう不思議なものなのだと思って済ませた方が良い。…という感じです。
ちなみに本作の逆行現象の物理的な解説として「核融合によって生じた逆行放射線の一種で対象物質が時間を逆行しているらしい」とバーバラ博士は説明しますが、実際のところは彼女自身もまだ解明できていないようです。
▼逆行ピストルじゃなくても撃てる:
映画テネットの逆行銃弾は、逆行ピストルじゃなくて普通の順行ピストルでも撃つことができます。
これはバーバラのセリフから読み取れます。
A bullet may not seem like much, but it's a simple machine. Lead bullet, brass casing, gunpowder.
弾丸は大したことではないように思えるかもしれませんが、単純な機械です。鉛の弾丸、真鍮の薬莢、火薬です。
つまり銃弾それ単体で完結した機械なのです。銃弾は一つにまとまった状態から破裂してバラバラになる機械です。これを同じ時間の流れの人から見るとそのまま破裂したように見えるし、逆行している立場の人から見るとバラバラから一つにまとまったように見えるのです。
なので、ピストルと銃弾が同じ方向に時間が流れる必要はありません。
実は、ここは厳密に考えていくと、どこかで必ず論理に不整合が起きる点が出てきます。つまり、ピストルの撃鉄が銃弾を叩いて着火させるわけですが、逆行銃弾と順行ピストルでこれが可能なのか疑問が生じます。
補足)これは、逆行していたハイウェイで車ごと爆破炎上させられた主人公が、エントロピーが逆行して氷づけになったときの違和感とも似ています。なんか一見正しそうなことを言ってるけど、突き詰めて考えていくと、どこで熱が逆転したのか説明がつくか怪しいです。本当のところは燃えながら凍っていくというビジュアルが面白いからそういうことにしてみた、くらいのノリと勢いだけでやってるような気がします。(これまでノーラン監督作品で時々挟まれるケレン味重視の演出スタイルから考えて;笑)
しかし、映画テネットでは順行する主人公が逆行するアウディのブレーキペダルを手で押して止める場面があります。このとき、主人公はブレーキペダルを素手で押しますが、仮に間に例えば何か棒のような道具を挟んでペダルを押し込んでも同じようにアウディは止まると考えられるので、順行の物体は逆行する物体に働きかけることができると考えられます。となれば、順行ピストルの撃鉄で逆行銃弾の雷管に作用することも可能です。それがこの映画の中でのリアリティのルールということになるのです。
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また、もっと単純に、主人公がピストルとマガジンを素手で持っていることが、このピストルは時間順行であることの決定的な証拠になります。
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上述したように本作の時間逆行する物体は、正体不明の放射線を放っています。このためTENETチームの人達は原則として、逆行物体を素手で触らないようにしています。
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バーバラ博士もゴム手袋を付けているのは銃弾に触れるときだけです。このシーンから、マガジンと銃弾では明らかに扱いが異なることが判ります。
これらの情報から、本作の逆行銃弾は順行ピストルで発射可能だと結論づけることができます。
補足)実はこのピストルの時間方向の話題は少し前にTwitterで熱心に議論したことがあって、その時は私が一切退かないもんだから嫌気がさしたのか相手が途中で私へのフォローを外しました。それでも私は話を自説の解説を止めなくて、最終的には相手も私の説明を理解してくれたのですが、結局再度フォローはしてくれなかったので、少なくとも一人ネット友達を失ってしまいました。もしかしたら、発言はせずとも、傍観しててフォローを外した人も居たかもしれませんが、そこまでは判別できません。いずれにせよ、空想科学の話をしていただけなのに、残念です。(泣)
▼逆行銃弾の来し方:
逆行銃弾がどこから来たのか、銃弾の目線で見てみます。
1)まず、銃弾は最初に順行の普通の銃弾として製造されます。インドの工場で製造されたので、独特な金属配合になっています。流通させていた武器商人はサンジェイ・シンです。
2)その銃弾が市場に流通します。もちろんセイターも購入者の一人でしたが、CIAも購入した可能性が高いです。
3)そして遠い未来で、銃弾を誰かが逆行させます。おそらく未来にTENETチームの誰かがターンスタイルを通したのでしょう。
4)そして銃弾はそのままTENET施設で保管されて、現代まで戻ってきました。そしてマガジンに1発だけ装填されます。
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5)マガジンに1発だけ入った状態で主人公に手渡されて、そのまま主人公がピストルにセットして、テスト発砲します。弾頭は壁に飛んでいってめり込み、薬莢は飛び散って箱の中に入ります。
6)弾頭は壁にめり込んだまま放置されます。
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映画テネットでは、5と6の場面だけ、時間順行で描いています。だから最初に銃弾がめり込んだ壁があって(6)、そこから主人公の持っているピストルに飛んできて弾頭と薬莢が集まる(つまり逆発砲)現象(5)が描かれます。
銃弾から見ると主人公が1発だけ装填したマガジンを差し込んだのですが、主人公から見ると主人公が1発だけ装填したマガジンをピストルから抜いたように見えるのも、時間の方向が逆だからです。
▼逆行銃弾の行く末:
では、6のあとは、壁にめり込んだ銃弾はどうなるのか?
長くなったし、もはや銃弾に限った話でもなくなってくるので、別記事にしたいと思います。気になる方はフォローなどしてお待ちいただければ幸いです。
(了)
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