スマホを落としただけなのに(映画感想)
2018年の日本映画。あまり日本映画を観ない人でもこのタイトルだけは覚えている人が多いのではないでしょうか。東宝が配給だったので予告編がバンバン流れていました。
ミステリーですが軽いノリでも観られるのでオススメです。犯人当てゲームも比較的簡単な方だと思うので楽しいですよ。はずしても「そっちかー怪しいと思ったんだよねー」と笑って楽しめるタイプだと思います。
以下では #ネタバレ を含みますのでご注意ください。
ミスリードも含めて分かりやすい伏線が多くて、謎解きを楽しみやすい映画でした。調べてみると『このミステリーがすごい大賞』で特別賞に選出されていたそうです。はい、道理で。途中から2つの謎を絡めるところなどストーリーが良かったと思います。
これは日本映画あるあるなんですが、細かいツッコミどころは気になりましたけどね。特に、この映画は新米刑事を演じる千葉雄大をカッコよく見せるために作られた感じがあり、警察関連の描写が結構おかしくて何度か笑ってしまいました。例えば神奈川県警の捜査本部会議で最初は末席だったのにすぐにベテランの主力刑事とペアになって次からは最前列に座っている所とか、クライマックスで横浜から静岡までパトカーを飛ばすときになぜかベテランが運転している所です、いやいや後輩のお前が運転しろよと爆笑しました。
あとね、彼のファンには申し訳ないですが、原田泰造の演技は酷かったです。(笑)もし日本にラジー賞が存在したら絶対にノミネートされるべきだと思います。あんなに下手くそでしたっけ?というくらい下手くそに見えたのですが、どうなんでしょうか。そういえば彼が出演してるドラマや映画って私は初見でした。いやでも笑う犬の時とかもっとマトモでしたよ。対照的にバカリズムは全出演者の中でトップクラスに演技が上手かったので余計にそう感じてしまったのかもしれません。もしくは千葉雄大の滑舌の悪い大根演技を隠すために、原田泰造は意図的にわざとらしく演技した可能性もゼロではありませんね。(笑)
脚本と演出はかなり良かったと思います。映画が始まっていきなり黒髪ロングの男が犯人として描かれるので「ええええ誰?」となったら、直後の死体発見シーンで髪がバリカンされているからすぐにウィッグだと分かる所とか、途中までシステム会社の男か新米刑事の男か、どちらが犯人なのか分からない感じで進む所とか、もしかしたらアサミが殺人鬼属性発揮する展開もあるかもとか、ワクワクしながら観れました。
北川景子が真相を田中圭に告白するシーンは、ちょっと微妙だったかなあ。いくらなんでも話が長すぎるのよ。あんなことを殺されそうな間際にドワーっと説明されても普通の人間じゃ理解できんし、それ以上に普通の人間が理路整然と喋れないでしょう。あ、北川景子の役柄は「普通の人間」ではないか。(笑)
「私が殺したの」
「は?」
「だから私がアサミを殺したの!」
「ちょっと何言ってるのか分からないよアサミん」
「ごめんトミタくん、ごめん」
「どうしたんだよアサミん!」
「うわあああああ!」
という感じで、本来はここで警察が駆け付けて、田中圭はどさくさに刺されて気絶。後半は田中圭の入院中に失踪した北川景子を追跡しながら真相に辿り着く。もしくは田中圭は知らないままだが観客にだけ真実が示されて、プラネタリウムで再開した2人は愛を誓う(ただし田中圭は真実を知らない)というビターエンドで「女って怖いね」というストーリーにしてほしかったと個人的には思いました。なんというか、洋画でいう『ゴーンガール』みたいな感じに出来たと思うんですよね。まあ120分には収まりそうにないし、デート映画として扱いづらくなるから日本のプロデューサーはOK出さないか。(笑)
本作の最大のトリックについて、普通に考えると「借金を抱えてる女の人生なんか譲ってもらっても迷惑だよ」となると思うのですが、おそらくアサミはミナヨに多額の生命保険をかけていて、その上で自らの命と引き換えにミナヨの事故死を偽装したのでしょうね。それで保険金を受け取った本物のミナヨはアサミの借金を返済して整形手術を受けてアサミになりすましたのかな、とエンドロールを観ながら推理しました。原作小説ではちゃんと説明してくれているのかしら。
要潤には「あれ?アサミちゃんなんか雰囲気変わったねー」みたいな能天気なセリフの一つくらい言ってほしかったです。もしくは「なんかすごい不謹慎なんだけどさー君を見てるとミナヨを思い出すんだ」とか。いくらでも伏線を張れたのに勿体ないなーとは思いました。
了。