【フュリオサ】のストーリーはこうするべきだった!【脚本修正】
フュリオサのストーリーが駄目だったと偉そうなことを先日書いてしまったので、ここには代替案となるストーリーを書きます。(*この記事の最後にリンクをまとめて記載)
▼概要:
フュリオサのオリジンとして片腕の戦士になるまでの成長譚であると共に、時系列では次の物語となる『怒りのデスロード』(以下MMFRと表記)でのフュリオサの2つの重要なセリフ「Remember me?(私を覚えてる?)」と「Redemption(過去を精算する)」の元になった出来事を描くことをゴールとする。
リメンバー・ミー?(Remember me?)
MMFRでフュリオサがイモータンジョーの呼吸器をタイヤに巻き込んで殺す直前に放った言葉。フュリオサはイモータンジョーを過去の何かで自分を認識されなかったことについて恨んでいる。つまり人間として扱われなかった、もしくは無視された出来事が必要である。
本案ではフュリオサが盗賊から売られる時にジョーを睨みつける場面を追加する。
リデンプション(Redemption)
MMFRでフュリオサは脱走の理由を一言だけRedemptionと語る。日本語字幕では「過去を精算する」と書かれていたが、本来のRedemptionとは《贖罪》(=①金品を出したり,善行を積んだりして,犯した罪をつぐなうこと。また,刑罰を免れること。②キリスト教で,人々の罪をあがない,人類を救うために,イエス-キリストが十字架にかかったとする教義。)なので「罪ほろぼし」と翻訳するのが正しい。率直に言って、日本語字幕はひどい誤訳である。
本案では、シタデルの母を救えなかったことや、同じくシタデルで幽閉されたワイヴスを放置して自分はイモータンジョーの大隊長まで出世したことについて、フュリオサが罪悪感を持つ場面を追加する。
▼主要人物:
フュリオサ:主人公。グリーンプレイスで生まれた少女。盗賊に誘拐されてディメンタスに売られる。ディメンタスに高い運動能力を認められて戦士として育成される。ディメンタスがシタデルを攻めた時にあっさり見捨てられて、イモータンジョーの部下に寝返る。ワイヴスの存在を知るも自分とは違う世界だと見て見ぬ振りをする。しかし実は母ジャバサも過去にワイヴスで今はもう死んだことを親友メリンダから聞かされて後悔する。二人への罪ほろぼしとして、ワイヴスをグリーンプレイスに連れていく決意をする。
メリンダ:フュリオサの親友。グリーンプレイスで生まれた少女。フュリオサと同時に盗賊に誘拐されてイモータンジョーに売られる。
ジャバサ:フュリオサの母。グリーンプレイスで暮らす鉄馬の女の戦士。フュリオサとメリンダを追う途中で捕らえられて、ディメンタスに拷問にかけられるが瀕死のところをウォーボーイに回収されてシタデルでワイヴスになる。しかし出産に体が耐えられず死んでしまう。なおジョーはジャバサがフュリオサの母だとは知らない。(メリンダが説明しようとしてもジョーは聞く耳を持たなかった)
ディメンタス:バイク軍団の長。奴隷市場でフュリオサを買う。過去に娘を亡くしている。フュリオサを戦士として育てるが、フュリオサが大人になって部下の一人と恋に落ちると、新しい少女の奴隷を買って、フュリオサをシタデル攻略の捨て駒にする。
ジャック:ディメンタスの部下。フュリオサと恋仲になる。シタデル攻略の捨て駒にされる。
イモータンジョー:シタデルの長。奴隷市場でメリンダを買う。メリンダをワイヴスとして育てる。ディメンタスが見捨てたフュリオサを自軍にスカウトする。
▼脚本プロット:
以下、ハリウッド式三幕構成に沿ってプロットを提案する。
第一幕1場(状況説明)
フュリオサとメリンダは盗賊団に誘拐される。ジャバサはフュリオサの救出に向かい出発する。ジャバサはディメンタス一味に見つかり拷問されるが最後まで口を割らずに気絶する。興味を無くしたディメンタスはジャバサを放置する。
少女達は奴隷市場に出品される。敵対していたディメンタスとイモータンジョーが同時に現れて緊張が走るが、そこは市場のルールに従いカーレースで勝負して互角だったので一人ずつ買うことにする。フュリオサはディメンタスに、メリンダはジョーに買われる。別離を拒んで泣き喚く少女2人。
第一幕2場(目的設定)
ジョーは帰路途中でジャバサを見つけて回収する。シタデルでオーガニックが治療する。ジャバサとメリンダはワイヴスとして暮らし始める。
フュリオサはディメンタスを殺して逃げ出そうとするも失敗する。ディメンタスは一層喜んで戦士として育てる。
「いつか強くなって俺を殺して出ていくんだな。笑」
フュリオサはいつか自立して、メリンダを救い、共にグリーンプレイスに帰ることを誓う。
第二幕3場(障害その1)
誘拐から15年の月日が流れた。
ディメンタスがジョーに戦争を仕掛ける。
フュリオサは戦士として参加する。
ディメンタス軍団がガスタウンを武力制圧する。
ディメンタスはフュリオサとジャックの恋に気づく。
ディメンタスは新しい少女の奴隷を購入してそちらを溺愛する。
第二幕4場(障害その2)
ディメンタス軍団がシタデルに侵攻する。
ジャックが戦死する。
フュリオサは左腕を負傷する。
ディメンタス軍団はフュリオサを囮にして撤退する。
フュリオサはディメンタスの裏切りに激怒する。
第二幕5場(状況の再整備)
ジョーはフュリオサの強さを見込んで味方につける。
ジョーはフュリオサにロボットアームを与える。
フュリオサは正体を隠すために『鉤爪の悪魔』を名乗る。
ディメンタス軍団との小競り合いの日々。
フュリオサはジョーの部下としてどんどん出世する。
イモータンジョー軍団はガスタウンを奪還する。
シタデルは最強の車としてウォーリグの開発を始める。
ディメンタス軍団がバレットタウンを武力制圧する。
ジョーはフュリオサをバレットタウン攻略隊長に任命する。
第二幕6場(障害その3)
フュリオサはメリンダと再会するが、そこでワイヴスの扱いを知って絶句する。更にメリンダから、ジャバサは10年前にジョーの子供を産んで死んでいたことを聞かされる。強い罪悪感と後悔に苦しむフュリオサ。その時にフュリオサを暗殺しにきたディメンタスの部下が襲ってくる。フュリオサを庇ったメリンダが致命傷を負う。メリンダはワイヴスを奪うことがジョーへの最大の復讐になるし、今ジョーが敗れてもディメンタスの支配に変わるだけだから、今は耐えて戦争を終わらせろと説いて絶命する。
第三幕7場(真のクライマックス)
ジョーが攻撃を命令する。フュリオサ部隊はバレットタウンでディメンタス軍団と大激戦。フュリオサは逃亡するディメンタスを砂漠で追い詰める。お前はまさか?そう、私はフュリオサだ!(マスクを取って見栄を切る)フュリオサはディメンタスを殺す。
第三幕8場(すべての結末)
イモータンジョーはフュリオサに焼印を与えて、大隊長(インペレイター)に任命する。シタデルで盛大なパレード。
忠誠を誓うふりをして、復讐のタイミングを図るフュリオサ。
FIN
(MMFRに続く)
どうでしょうか?
絶対にこっちの脚本の方が面白くなるというか、物語に感情移入しやすいし、イモータンジョーのキャラ崩壊も起きないし、MMFRに綺麗につながると思うんですけど。(笑)
私が現行の映画『フュリオサ』で一番納得できないのは、少女から大人にかけてフュリオサが成長する場面です。明らかに栄養が足りないですし、強くなるためには体を鍛えることも必須です。女であることを隠し通すことも難しいです。これらの問題点を解決するために、彼女はディメンタスの配下で大事に育てられて、戦闘訓練も受けたという設定にした方が良かったと思います。
▼過去記事:
以下は、私が映画『フュリオサ』を評価した記事です。
【フュリオサ】は本当に怒りのデスロードの前日譚と呼べるのか?
(了)
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