これまでのDCEU映画を格付けしてみた
これまでに公開されたDCEU映画を
私の基準で採点して、6段階で格付けしました。
兎にも角にも、まずはその結果をお見せしましょう。こちらです。
どどん。
▼採点基準:
私はもともと映画が好きで、ヒーロー映画以外も大作アメリカ映画は結構観ている方で、自分が生まれる前のいわゆる「名作」と語り継がれている作品もそれなりに多く観てきた方だと思っています。そういう多種多様な作品群と同じ基準でA〜Fまでの6段階で絶対評価しています。(相対評価ではありません)
私は「好き」を理由に高評価にしませんし、逆に「嫌い」だから低評価にすることもありません。よって評価と好みの順序が逆転することもあります。あくまで物語・脚本・撮影・音楽・照明・俳優・演技・構図・調和性・整合性・作家性などの技術的あるいは芸術的な観点で評価を付けました。逆にエンタメ性・好き嫌い・キャラへの想い入れ・思い出補正などはあまり点に結びつかない、ということをお断りしておきます。
A評価は最高ランクです。これは牛肉にたとえるならA5ランクみたいなものです。つまり最もレベルが高いです。(進次郎構文みたいになっとるw)
なお、最高ランクのAの中でも特に素晴らしい作品には特別措置として『A+』を与えます。これは「work of God」と書きましたが、少し前に流行った言い方では「神ってる」作品ということになります。私の場合は1年に1本見つかるか否かというレベルで「ごくまれ」に付けます。これがDCEUに関しては2本も出ているので異例なことです。というかスナイダー監督作品はこれに『ウォッチメン』を合わせて3本も出しているので、スナイダーがクリエイターとして超絶ヤバイということになります。こんな監督は他にいません。それだけ「私が尊重する部分」に強い監督であるとご理解ください。
6段階もあるので分かりにくいかもしれませんが、C評価でも「普通に面白かった!」と満足して、他人にオススメできるレベルです。だって「good」なんですから。損はしていません。私はあまり低い点はつけないので多くの作品がBとCになります。ただし、超高得点は厳しめなのでAは少ないです。
D評価は「わるい」と書きましたが、別に全部がダメだった訳ではなくて、中には良い部分もありましたが、しかし悪い部分がいくつか重なって「総合的に良い部分を上回ってしまった」とか、「1800円のお金を払って視聴するのは損だった」と思ったような作品です。
E評価は「最低」と書きましたが、A評価の「最高」とは鏡の関係になります。つまり悪い部分がとにかく目立って嫌な気分になったり落胆したりしたものです。このランクになってくるとお金と時間を無駄に使ったことを後悔しています。ただし、こんな点数をつける映画は殆どなくて(特に最近は予告編を見るだけでそこらへんを回避できるようになってきました)、よほど酷いと感じたものだけ付けています。次にこういう作品に出会う前に察知できるようになるための勉強料として甘んじて受け入れています。ある意味で「最低」と書いた通りで、E評価は事実上の一番下です。A〜Eの5段階評価と考えてください。
しかし、更にその下にF評価を設けています。こちらは「not a film」とも書きましたが、いわゆる「落第点」であり、大学のレポートだったら単位を与えません。まさに不合格。こんなの映画じゃありません。他の作品と比べるのも失礼です。映画として成立していると認められない時のみこの評価を与えますが、私はこれまでの人生でおそらく10本も出会っていません。
その点で、DCEUはA+とFが混在するという、ある意味でとんでもなく幅が広いフランチャイズだと思います。
Fランクのジョスティスリーグがどれだけ酷い代物なのかは、noteに多数投稿しているので、気になる方はリンク先から飛んで読んでください。私がここまで本作を酷評するのにはそれなりに理由があります。嫌いだから叩いているのではありません。ましてやスナイダーカットを相対的に上げるために下げているのではありません。日本のメディアを観ているだけでは知ることができないウェドンの不都合な真実も知ることができますよ。
▼総評:
さて、採点基準を説明できたところで結果を再掲します。
まず先述の通り、上下に幅広いことが特徴だと言えます。
DCEUだけでは分かりにくいので、相対化のためにMCUとその他ヒーロー映画を同じ基準で採点して並べてみました。
こうやって見比べると、いかにMCUが良質な作品(C評価以上)を安定して供給しているかが見えてきます。MCUにはE評価とF評価はありません。つまり何を観ても大抵は満足できます。私はハルクとアントマンとブラックパンサーとブラックウィドウとシャンチーを未視聴ですが、おそらくC評価以上に入ってくるでしょう。
突っ込まれそうな点としては『エンドゲーム』の私の評価は低いです。この理由としては、エンドゲームは基本的に『インフィニティウォー』の焼き直しで、かつ劇中のタイムトラベルが破綻していて、作り込みの足りないCGが多くて、IMAX撮影があまり効果的ではないショットが多くて、ラストバトルが単調で、要するに「ただのファンサービス映画」になっていたのでD評価まで落ち込んでいます。辛口なことを書きますが、あれはファンでなければ楽しめない映画だと思います。ただし裏を返せば「ファンにとっては最高の作品」になるので私の採点が低くても問題ないでしょう。先述した「想い入れで加点しない」というのは、こういうことです。
さて、話をDCEUに戻します。
整理のために時系列に表現した図を貼ります。
どどん。
こちらでは同時期に公開された『JOKER』も含めました。
見るとわかるように上下の振れ幅が大きいです。こんなに当たり外れが大きいフランチャイズは、とても安定しているなんて言えません。
これを見ると、2016年にスーサイドスクワッドがスタジオの意向で八つ裂きにされてから、2021年にスナイダーカットが公開されるまでが本当に悲惨な時代だったことが分かります。なにせA+評価のポテンシャルを捨ててF評価をリリースして、その後もDやらEやらを続けてきた訳ですから。そういう意味でも2019年にJOKERが独立した世界線の作品で批評的にも興行的にも成功したことはスナイダーカットのリリースを後押ししたと見て間違いないでしょう。
この事態が発生した背景については、当時のDCエンターテイメント社のパワーゲームの舞台裏を理解すると合点がいくと思います。まとめたのでぜひ参照してください。ここまでハッキリ書いてるメディアを私は見たことがありません。
ここからは公開された順番に個々に寸評をしていきます。
▼各作品の寸評:
▼マン・オブ・スティール(A)
一言で表すならば、美しい。
スターウォーズのようにリメイクされた惑星クリプトンの描写。ヘンリー・カヴィルの美しい顔と体。ケヴィン・コスナーの格好良さ。エイミー・アダムスのイイオンナ感。カンザスの田舎町での激しい戦闘。マイケル・シャノンの怒りと悲しみの表情。自分の故郷の人々でさえも絶滅させることを選ぶ必要を迫られる難民(アイデンティティが無い人)としてのスーパーマン。光の魔術師ラリー・フォンが作り出す美しい映像。天才ハンス・ジマーが最高潮だった時期の心臓を鼓舞する大迫力の音楽。ロイスの締めの言葉。Welcome to the Planet.
すべて最高なのよ。
▼バットマンVSスーパーマン:ジャスティスの夜明け(A+)
正直、映画館で鑑賞した時(劇場公開版)の感想はCでした。
後日販売されたブルーレイのアルティメットエディション版でAに格上げしました。
さらに2021年に発売されたIMAXリマスター(アップグレード版)でA+に上がりました。
少なくとも一度はアルティメットエディションでの視聴を推奨します。物語の作り込みが、まるで別物になっています。ただし映画館でリバイバル上映された時などは、あまりこだわらず迫力を堪能するためにお出掛けになるのも良いと思います。劇場公開版は短くまとまっているので便利です。
映像にこだわりを持たれている方は4Kの視聴環境を整えてアップグレード版を入手されることを強く推奨します。IMAXシーンはわざわざ左右に黒帯を出してアスペクト比4:3にしてフルサイズIMAXを再現しており、このために幾つかのシーンはまるでキャンバスに描かれた絵画のように格調高くて、監督の圧倒的な美意識を追体験することが出来ます。
▼スーサイド・スクワッド(E)
公開前はあんなに期待したのに、いざ蓋を開けてみたらスクラップでした。本当に物語が支離滅裂で、演出も意味不明で。後になってからエアー監督の意匠が完全に無視されていたと発覚して、思いっきり納得することになったのですが。
「ハーレイクインがエロかっこいい」以外の印象が残らない映画でした。実際に2016年当時の盛り上がりは半端ないものでした。アメコミ映画なんて興味なさそうな女子がスマホの待受にしていたり、ハロウィンの渋谷がハーレイコスで溢れたり、結構な社会現象になっていました。それだけに勿体ない作品です。エアーカットの公開を期待しましょう。
5年後のハロウィンにマドンナが披露した仮装は、このバージョンのハーレイこそが最高であるという主張の、有力な根拠になるでしょう。写真を見てもらいたいのですが、色んな意味でヤバイです。
あと先日、吉本興行が新スースクとタイアップした動画でも、芸人の蛙亭がハーレイのコスプレを披露したのですが、そこでも旧スースクの衣装が使われており、「やっぱ皆が欲しがってるのはコッチなんだよ」という感じです。そちらの動画もかなりの激ヤバ仕様になっていますので、運営から公開停止を喰らう前にご視聴になることをお薦めします。笑。
▼ワンダーウーマン(C)
普通に面白いです。中盤のノーマンズランドとか街での戦闘シーンは最高に格好良いのですが、ラストバトルはちょっとパンチが弱いかもしれません。
ブルーレイの特典映像で「幻のポストクレジットシーン」が視聴できます。ジャスティスリーグでマクガフィンになる「ある物」を捜索するという内容なのですが、いかにもMCUっぽい感じで次回作につなぐ感じになっており、今になって見ると可愛らしくも思えます。
▼ジャスティスリーグ(F)
これは最悪です。映画とは認められるものではありません。このゴミはクリエイターとファンの心をズタズタに引き裂きました。
巷で酷評された『ドラゴンクエストYOURSTORY』でさえ私が付けるのはE評価です。それほどの不名誉であるF評価を獲得した作品が2017年の『ジャスティスリーグ』です。
同じジョス・ウェドン監督なのに、なぜMCUではうまく行って、DCではここまで酷いことになったのか、分析したので気になる方は読んでみてください。大手メディアでは書けない記事(忖度ゼロ)で真相を解明します。
▼アクアマン(D)
なんというか、イイカンジの映像を繋げているだけで、深みがないです。モモアマンは良い奴だし大好きだから、心苦しいけどね。
▼シャザム!(C)
私は本作の主演俳優が嫌いですが、映画自体は良い出来です。そういうところはフェアに評価しているつもりです。
▼ジョーカー(A)
アメコミ映画で初のヴェネツィア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)です。クリエイターの意匠どおりに作る大切さをDCに示してくれた傑作です。
▼バーズ・オブ・プレイ(B)
ビームが打てるような超人が出てこなかったり、セクシー要素が足りなかったり、クセの強い俳優が多かったり、などが響いてあまり人気が出ませんでしたが、この作品は本当に良く出来ています。映像がトンデモなく綺麗ですし、『時計じかけのオレンジ』を意識した衣装やセットがかなり洒落ています。マーゴット・ロビー本人の優れた身体能力を活かしたアクションも見事です。この映画で興奮できない人は最近のド派手CGIでドーピングされた映像に慣れすぎて、不感症になっていると言って良いでしょう。
▼ワンダーウーマン1984(E)
これまたゴミです。
▼ジャスティスリーグ:スナイダーカット(A+)
全人類が享受すべき愛に満ちた超大作です。
とてもじゃないが寸評では語り尽くせません。
こちらの記事を参照してください。
▼ザ・スーサイド・スクワッド(B)
すごく下品で、ジェームズ・ガン監督が「やり切った」感じが出ていて良いと思います。中盤に出てくるハーレイのアクションシーンはマーゴット・ロビーの優れた身体能力もフル活用された圧巻の出来だと思います。(ガン監督のインタビューを見た限りでは大部分を本人がやっているっぽい)
= = =
▼もうすぐ公開:
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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了。