【ウルトラマン:ライジング】あらすじを三幕構成で読み解く
一幕
ウルトラマンの息子で同じくウルトラマン変身能力を持つ米国MLB選手の日本人サトウケンジ(山田裕貴)は、読売ジャイアンツに移籍して日本に帰って来る。しかし父(小日向文世)の後を継いでウルトラマンとして秘密の活動をすることを良くは思っていない。
ある日、ケンジはウルトラマンとして活動した際に、絶滅危惧種の怪獣ジャイガントロンの卵を誤って持ち帰ってしまい、最終的には怪獣島に送るつもりだが、当面は孵化した幼獣をエミと名付けてこっそり飼うことにする。
二幕
ケンジは野球選手と子育ての両立に苦戦して、シングルマザーの記者ワキタ(早見あかり)に相談する。そんな折にエミが自宅から脱走して騒ぎになってしまい、過去に妻子を怪獣災害で亡くしたオンダ博士(立木文彦)が率いるKDF(Kaiju Defensive Force:怪獣防衛隊)に狙われて負傷する。
ケンジはエミを手当てするために父を頼る。そこで二人は和解する。ケンジは子育ても仕事も絶好調になり、充実した生活を送る。
KDFがエミを見つけて奇襲をかける。ケンジはなんとか防衛するも父が負傷する。KDFはジャイガントロンのクローンを起動してエミを騙して誘惑し、そのまま怪獣島へ案内させる。
三幕
ケンジは追跡してKDFを妨害する。最終的には戦線復帰した父とエミと洗脳を解いたジャイガントロンのクローンとで協力して、オンダ博士が操縦するKDFのロボットを倒す。
読売ジャイアンツは日本シリーズで優勝して、ケンジはワキタのインタビューで両親への感謝を語る。そしてケンジと父とエミとクローンは怪獣島を目指して海を行く。
FIN
ポストクレジット:ケンジが母からのSOSメッセージを受信する。彼女はM78星雲に居るらしい…
▼解説・感想:
ハリウッド式三幕構成を手堅く守った脚本でした。
スターウォーズのILMが制作しているだけあってアニメの品質は高いです。
最終決戦は事実上のパシフィックリムで、これも良かったです。
カラータイマーの役割が制限時間3分を示すものではなくなり、本人の精神状態が不安定になると点滅して人間の姿に戻る、という設定変更はかなり現代的で面白いと思いました。メンタルヘルスを重要視する解釈は本当に(過剰なほど)現代的だと思います。私は最近のウルトラマンシリーズを全く観ていないので、この映画のオリジナル設定なのかどうかは知りませんが。
変身する瞬間やケンジの感情が高まった時に、あのウルトラマンOPの不気味なインクが混ざるようなエフェクトがあるのも楽しいです。
後半で登場するクローン版ジャイガントロンのデザインが絶妙に1993年版のメカキングギドラを意識してて、リアルタイムに小学生で経験した私は観ていて気持ちが上がりました。
しかし…
ニッポンの描写がヘンテコです。(苦笑)
映画『ベイマックス』で出てきたサンフランソウキョウみたいな街。
まあ『ウルトラマン:ライジング』ではきちんと、東京の地名や各種企業ロゴやプロ野球チームや松井秀喜などが実名が出てくるので、ちゃんと権利者と調整して、おそらくそれなりに妥当な金額で使用料を払ったんだろうな、と評価しますけど。(笑)
ただ、主要キャラクターが二人とも強度な吊り目なのは、ちょっとステレオタイプが過ぎると正直思っちゃいますね。はっきり言って、彼らはジャパニーズではなくて、コリアンかチャイニーズに見えます。日本人は東南アジア地域との混血なので、このような顔立ちではないですから。吊り目も日本人としては異常ですし、鼻の形も日本人のものではありません。
欧米のクリエイターがヨーロッパを舞台にしたアニメを作ったら、ラテン系とゲルマン系とスラブ系はきっちり描き分けます。それが日本を舞台にすると、雑にアジアのステレオタイプで纏められるのははっきり言って不快ですねー。
世界中で高評価されたゴジラマイナスワンでは神木隆之介や浜辺美波など、欧米基準で見ても美形の人達が主演を張っているじゃないですか。三船敏郎も渡辺謙も真田広之も、あんな極端な吊り目じゃないですよね。安倍晋三も垂れ目です。海外での知名度は高くないかもですが、広瀬すずや能年玲奈も吊り目じゃないです。欧米人が本当の意味でウォーク(WOKE)するなら、彼らも正しい日本人像を理解するべきだと思います。
(了)