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【ツイスターズ】を三幕構成で読み解く
結論としては、伝説の作品の30年ぶりの続編として最高クラスの極上エンタメ映画だと思います。
映画館で上映しているうちに観ておくことを強くオススメします!
このnoteでは結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。
登場人物
ケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ):気象を読む天才
タイラー(グレン・パウエル):人気の竜巻チェイスYouTuber
ハビ(アンソニー・ラモス):ケイトの大学時代の仲間
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一幕
1)
竜巻を薬剤で無効化する研究をしていた大学生5人組が巨大竜巻に巻き込まれて3人が命を落とす事故を起こす。ケイトはこの時に恋人も亡くす。
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2)
5年後、気象予報士の仕事をしているケイトに、軍役を経て現在は竜巻分析のビジネスを始めたハビにスカウトされる。一方で同じく竜巻を求めてオクラホマに来たタイラーはケイトの才能を一瞬で見抜く。
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二幕
3)
ケイトは心の傷が癒えておらず竜巻を目前にして逃げてしまう。翌日はケイトは恐怖を克服したが、今回は機材の不調で完全なデータ取得に失敗する。竜巻が直撃した地域での救助活動を通して、タイラーのチームが慈善活動をしていることと、ハビの資金提供者が被災地の不動産売買で営利を上げている企業であることを、ケイトは知る。
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4)
ケイトがタイラーに誘われてロデオのナイトショーを観覧していると竜巻が発生して、なんとか生き延びる。そしてケイトはハビの資金工面の考えを巡って意見衝突して、ハビのチームから去る。
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5)
実家に帰って落ち込むケイトをタイラーが訪問して、ケイトに過去の研究を完成させることを決意させる。ケイトはタイラーと竜巻に無効化薬剤を投入するが無効化には失敗する。ケイトは謝罪しに現れたハビから竜巻の観測データを受け取って研究を改良する。
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6)
エルリノの近くに発生した竜巻に向かうケイトとタイラーのチームとハビのチームだったが、竜巻が工場に引火して火柱のようになり、九死に一生を得たハビは会社を辞めて人命救助を優先するようになる。
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三幕
7)
ケイトとタイラーのチームはエルリノで避難支援を行い、ハビも遅れて合流する。地下シェルターが足りないので住民を古い映画館に避難させるが竜巻がFE5を超えるほど巨大に成長したので、ケイトは一人で無効化薬剤を投入すべく竜巻に立ち向かう。無効化は成功して、映画館とエルリノの被害を止めることに成功し、ケイトも奇跡的に生還する。
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8)
ニューヨークに帰ろうとするケイトをタイラーは引き止めて、ハビも加わって竜巻の制御活動に従事するようになり、タイラーを密着取材していたベンは主人公をケイトに変更して記事を書く。
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FIN
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原題:Twisters
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2024年8月1日
▼解説・感想:
典型的な三幕構成であり、基本プロットも「主人公が行って帰ってくる物語」という定番ですね。表向きにはケイトの物語であり全てがケイト視点で進行しますが、ハビの物語としても同じ三幕構造で語れる形式になっています。
ハビもまた、一幕で過去の傷と現在の目的が語られて、二幕で大きなものを失って考えが変わる経験をして、三幕で巨大な試練を乗り越えています。
一幕
一場:状況説明
二場:目的の設定
二幕
三場:一番低い障害
四場:二番目に低い障害
五場:状況の再整備
六場:一番高い障害
三幕
七場:真のクライマックス
八場:すべての結末
●技術の進化は凄い
同じテーマで、同じVFXスタジオで、同じようなディザスター映画を作る…ただし技術だけは30年進化している。こんな技術比較の点で楽しめる映画も稀でしょう。私はDolbyCinemaで観覧しましたが、非常に高レベルな映像で、存分に楽しめました。
音響も素晴らしかったです。特に映画の中で人々が部屋や自動車の中などで竜巻の轟音に怯えているシーンは、ドルビーシネマの天井スピーカーから届く音の臨場感が最高でした!
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●ストーリーが良い
原案は『トップガン:マーヴェリック』のジョセフ・コジンスキーで、もうこれはグレン・パウエルとセットで30年ぶりの名作続編請負人としてこのまま伝説を永遠に継続してほしいです。
監督は『ミナリ』のリー・アイザック・チョンなので、アクションシーンだけでなくドラマシーンの演出が手堅くて、それが映画の完成度に大いに貢献していたと思います。
そして何と言っても主演のデイジー・エドガー=ジョーンズ(ザリガニの鳴くところ)ですよね!綺麗で可愛いくて、それでいて演技力があって、彼女を配役できたことこそが、この映画を《よくあるディザスター映画》から一歩抜け出したエモーショナルな作品にできた秘訣だと言えるでしょう。
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●ドロシーの背景もう少し欲しかった
前作を視聴済みの人なら説明不要なのですが、ドロシーについてはもう少し説明があっても良かったような気はしました。
もちろん初心者向けの単純な「どんな機材なのか」という側面もありますけど、前作履修済みの常連客に対しても、30年前にドロシー4号が飛躍的な成果を上げて、普通ならその後にもドロシーを使った科学調査がされそうなものですが、それが全くされずに30年が経過して、なぜか現在は大学生のグループが使っていて、それがドロシー5号というのは、空白の30年に何があったのか、なぜケイトやハビはドロシーを入手するに至ったのか、という部分が全く語られなかったので気になります。
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ドロシー13号くらいにするのが良かったと思います。別に本作では詳しく語らなくても良かったのですが、むしろ後からスピンオフで中間をつなぐドラマも作りやすくなります。(笑)
「なんで13なの?」
「不吉な数字だよな」
「アポロは全員帰還できたろ」
みたいな、大学生同士がアイハブアバッドフィーリング的な会話してるのも見たかったなーと思ったりしました。
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●映画館にしたのは上手い
最後に逃げ込む施設を映画館にしたのは上手いなーと感心しました。まさに今劇場のスクリーンを観ている観客が同じ気分になりますからね。ゴジラが日劇をぶっ壊すのと同じ楽しさがあります。
●コレンスウェット悪役似合う
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事実上の悪役を務めたデヴィッド・コレンスウェットが良かったです。
しかし、この人は来年には同じワーナーでスーパーマンを演じるのに、その前からこんな悪印象なキャラを演じていて良いのでしょうか?まあスナイダーバースが潰されて良い思いをしてない私からすれば、彼の顔を見るだけでムカつく(とまでは言わずとも嫌な気分になることはある)のは確かなので、感情移入がしやすくて良いのですが。。。(笑)
そういえばコレンスウェットはあんな竜巻がいつ来るか判らない場所で車から降ろされて、その後はどうなったのか一切語られませんでしたけど、どうなったんでしょうねー?(笑)
●仕事への向き合い方がアメリカらしい?
ケイトもハビも、割と衝動的に仕事を投げ出して、会社の資産(自動車)を奪って勝手に仕事を辞めます。ここらへんは私が日本人だからなのかもしれませんけど、少し無責任すぎるように見えました。(笑)一応ハビが経営者の立場だから問題にはならないのかしら?あの後でパトロンかコレンスウェットのどちらかからそれなりに大きな金額で賠償請求されて訴訟されそうな気がするんですけど。
▼まとめ:
ということで、多少は気になることも書きましたけど、全体としては伝説の作品の30年ぶりの続編としては最高クラスの極上エンタメ映画だったと思います。
映画館で上映しているうちに観ておくことを強くオススメします!
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(了)
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