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まいるずエンタメを議論する

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すこし踏み込んだ話題を扱います。映画とあまり関係ない話題も此処に集めます。
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#ネタバレ

【掟】石丸伸二の事実上の宣伝映画が何やら揉めてそうな雰囲気;そこには、クリエイターの命をかけた戦いが存在した

石丸伸二をモデルにして書かれた戯曲『掟』が今年2月から舞台演劇として上演された。そして今、それを映画化して8月末に公開された作品が、上映形式をめぐって騒動を起こしている。 複数の映画館で上記のような案内をしている。文中の「この映画を戯曲の映画化として観て欲しい、そして何よりもテーマを正確に伝えたい」という部分はどの映画館でも共通しており、中津留監督または制作会社から正式に文書で依頼されたものだと思われる。 もとより私は、石丸伸二の薄ら笑いを見ても不快になるだけなので、Yo

なぜアメリカの怪獣映画はあんなに残忍になれるのか?【ゴジラxコング新たなる帝国】

#ネタバレ あるキャラクターが非常に残虐な方法で殺されてしまうので、その理由について考察してみます。 このnoteには『ゴジラxコング 新たなる帝国』および過去のレジェンダリー制作ゴジラ映画のネタバレを含みます。 ▼あるふせったーにて:公開初日から絶賛ムードだった本作について苦言を呈したネタバレ感想がありました。 要点をまとめましょう。 0)楽しんでる人を貶す意図はないが… 1)大きなゴリラばかりで怪獣に見えない。 2)スカーキングの倒し方がエゲツない。 3)メカア

【哀れなるものたち】は児童ポルノか?

#ネタバレ 本作から無意識的に感じる禁忌について考察する。 いつもの記事より少し過激な内容なので、苦手な方はブラウザバックを推奨する。 #R18 相当です。警告はしたからね。 ▼ベラは母親?それとも胎児?私が個人的に強く、常々感じている違和感として、本作(特に映画版)における紹介文の【胎児の脳を移植されて蘇生した女性】という表現がある。私は人格は脳に宿るものである(心臓ではない)という認識なので、むしろ本作の主人公は【女性の体に移植された胎児】と表現するのが正しいと思

【オッペンハイマー】日本語字幕批評:ラストのセリフ

#ネタバレ オッペンハイマーの最後のセリフに関して、石田泰子氏の日本語字幕を批評します。 ネタバレになるので映画を観てない人は読まないでください。 ▼文脈からのアプローチ:セリフ原文:I believe we did. 直訳:私達はそれをした、と私は信じています。 字幕:我々は破壊した。 まず字幕では「I believe」の部分をゴッソリ削除していますが、これは「私は〜だと信じている」という、言っても言わなくても意味が変わらない部分(脚注*1)なので、削除してOKだ

【TENET】オペラハウス襲撃シーンを読み解く【テネット】

この映画で、もしかしたら最も難解なパートだと思うのですが、日本語(と英語)では満足できる記事が見つからなかったので自分で書くことにしました。かなり詳しく書いたつもりなので、ぜひ吟味してくださいませ。 ▼登場人物:▼場所:ウクライナのキエフにある国立オペラハウス (ただし実際の撮影場所はエストニアのタリンにあるリーナホール) ▼映画の流れ整理:まず全体の見通しをよくしておきましょう。

バービーのスナイダーカット発言について

ということで、映画『バービー』のスナイダーカット・ジョークについて解説していきます! ▼ネタバレレベル1:まずはシンプルに台詞の直訳だけしてみます。 原文 It's like being in a dream where I've somehow been really invested in the Zack Snyder cut of Justice League. 直訳 それはまるで夢の中に居るようだった。まるでザック・スナイダーのジャスティス・リーグに放り込まれ

【バットマン死亡説】99%の人が気づかないダークナイトライジングがバッドエンドである理由【オッペンハイマー】

ノーランの新作が『オッペンハイマー』であることを考慮すれば、『ダークナイトライジング』はただのハッピーエンドではないことが見えてきます。 *本稿はかなりシリアスな解釈をしていますので閲覧にはご注意ください。 #ネタバレ ▼あらすじ(99%の一般論):ベインがゴッサムシティで中性子爆弾を起動します。バットマンはゴードンやキャットウーマンと協力してベインとタリアを倒し、中性子爆弾を入手しますがもう爆発は止められません。起爆装置を単体で解除できるパヴェル博士をベインが殺害して

映画大好きポンポさんで一点だけ納得できなかったこと

Netflixで『映画大好きポンポさん』を観ました。 基本的には楽しく感動しながら観ました。 クリエイティブな現場としてのリアリティとパッションにこだわった描写で、映画作りの喜びと苦しみと狂気が詰まってて、ちょくちょく感涙しました。 日本語タイトルは『映画大好きポンポさん』で、英語タイトルは『ポンポ・ザ・シネフィル』です。シネフィルはフランス語で「映画狂い」という意味ですが、まさに映画への狂気を描いた作品として適格だと思います。 しかしながら、一点だけ納得できなかった

【日本語訳】シャザム2の監督がリーク動画について語った件

監督のツイートが素敵だったのでまとめて日本語訳。 (このnoteの中では明確にネタバレはしません) ▼監督のお気持ち日本語訳:▼解説・考察:劇場公開前作品ですし、一応サプライズの扱いなので画像は貼りません。 先日すでに日本版トレイラーで姿がチラ見えしてしまったサプライズ出演の人が話題になりましたが、今回のWBD公式によるリーク()ではガッツリ映ってるTV用CMが米国で流れてしまったそうです。 ネタバレ平気な人向けにTwitterのリンクを貼っておきます。(私には「そこ

洋画を日本語字幕なしで観たい理由;フレンチ・ディスパッチの画家と看守の会話を例として

この記事は、掲題映画の「電気椅子で死にたいと懇願する画家を女性看守が説得(説教)する場面」を用いて、本作を字幕なしで視聴する効用について解説していきます。後半では補足として解説を綴ります。 途中で離脱してしまった人も、面白いと感じたら高評価やコメントを残していってくれると嬉しいです。笑。 = = = ▼事例:画家と看守の会話を用いたケーススタディ:ある日、スランプに陥った画家は自殺を図るも自分では死ねず、刑務所の電気椅子に自ら座って、後から処刑室に来た看守にスイッチを押