マガジンのカバー画像

まいるずエンタメを議論する

115
すこし踏み込んだ話題を扱います。映画とあまり関係ない話題も此処に集めます。
運営しているクリエイター

#日本

【石丸伸二】ガチ恋勢の『洗脳』は解けるのか

取材不足氏が公開した一本の対談動画がかなり面白かった。 タイトルのおふざけ感とは裏腹に対談の内容はマジメで、よく考察してみる価値があるから、ここで紹介したい。 ▼背景:取材不足YouTubeチャンネルでは最近、多数の対談動画が公開されている。 興味深いのは対談相手が石丸アンチから石丸支持者まで幅広いことだ。アンチ同士の会話はある意味で私と考えが似てる人同士の会話なので新しい発見は少なめだが、石丸支持者やいわゆる『石丸信者』と呼ばれる人達との対談では、信者による斜め上すぎ

【ゴジラ-1.0】ブルーレイの日米価格差

日本版:9,680円(ヨドバシ新品) 米国版:35.57ドル(現時点で約5,300円) 価格だけ見ると米国版が安く感じるが、中身にはかなり差があります。 💿ゴジラマイナスワン米国版ブルーレイ仕様💿 マイナスカラー:なし 特典映像:なし(たぶん) 各種付属品:なし 英語字幕:あり 4K:あり 日本版の4Kパッケージは特典ブルーレイだけでなく物理的なおまけグッズも多く付いています。 もともと日本と米国では4Kブルーレイの値段に格差があるのですが、普段は米国マーケットで日

【映画館マナー】ポップコーンって迷惑?

私は、隣でポップコーンを食べられるのが苦手でして。 一人で映画館に行くことが多いから、というのもあると思うんですけど。 いやね、気を配りつつ食べてくれる人なら良いんです。 そもそも劇場が販売してるフードですから。 飲食が売れないと劇場経営が厳しいというのも知ってます。 でも、時々いるじゃないですか… 派手にガサガサかき回す人。 静かな場面でも構わずボリボリ音を立てる人。 そういうのは、嫌ですねえ。 ▼ポップコーンは時代遅れ:20世紀の初めに大衆向けの映画館が

【文字起こし】アメリカで大学教授に昇り詰めた日本人から見たオッペンハイマー

昨年ぐらいからネットで売れっ子になった理論物理学者・野村泰紀(カリフォルニア大学バークレー校教授)が出演しているYouTube番組(相対性理論!6歳にわかるように説明してみよう!【ReHacQvsUCバークレー】)で、映画オッペンハイマーへの言及があったので抜粋して書き起こしました。 39分ごろE=mc^2の話題から少し脱線して核分裂と核融合の解説に移り、そこから映画オッペンハイマーにつながります。 以下、書き起こし。 野村泰紀:最初は残念なことに、ポジティブなものじゃ

ミス日本(ニッポン)にみる日本らしさとは?

令和6年の第56回ミス日本(※ニホンではなくてニッポンと読みます)では、ウクライナ人の父母を持つ元ウクライナ人女性の椎野カロリーナさん(令和4年に日本国籍を取得済み)がグランプリを受賞しました。 他の候補者を見ても、または昨年までの受賞者を見ても、彼女の典型的なヨーロッパ人の容姿は異彩を放っています。 日本らしさを競う大会で、ヨーロッパ人が優勝。 私は強い違和感を持ちました。 この違和感について率直にXで投稿したところ、そこそこ大物のツイッタラー(思想強め)に拡散され

オーストラリアまで『オッペンハイマー』を観てきた話

「ちょっとウナギを食べに浜松まで。😉」 人生で一度は言ってみたい言葉ですね。 私はこれを映画でやりました。 「ちょっとオッペンハイマーを観にオーストラリアまで。😉」 クゥーッ! 言ってしもうたで!(笑) このnoteでは最初になぜオーストラリアなのか、次に映画の感想を書きます。そして最後に日本の一部で問題視されている本作の日本ディスについて私見を述べます。 ▼なぜこのタイミングなのか:私も当初は日本公開を待つつもりでした。 しかし、待てども待てども決まりません

ジャニーズ騒動まわりで思ったこと雑感

▼世間の潮流から距離を置いて考える:性犯罪が決して許されるものではない。という見解までは一致しますが、だったら事務所に在籍していたタレント全員が異常な性的嗜好を持っているかのようにバッシングするのは論理の飛躍だと思います。 そこは感情に流されず、冷静に見つめたいものです。 あれは故ジャニー喜多川氏の特殊すぎるパーソナリティの問題が出発点であることは、常に念頭に置いておくべきでしょう。 ▼会見について:もしかしたら、このタイミングでジャニーズがお粗末な記者会見を開いた本当

【あらすじ感想】【バビロン】海外版は無修正ですが何か問題でも?

ネタバレなので未見の方はご注意ください。 ▼あらすじ(ネタバレ):▼感想:●素晴らしい映像! 本作を語る上で、何よりもまずは映像の完成度です。これは本当に声を大にして言いたいです。デイミアン・チャゼル監督作品の素晴らしさは字幕を消してこそ真価を発揮します。もし手元にブルーレイなどありましたら、騙されたと思って英語音声・字幕なしで視聴してください。 一度ご覧になったことがある映画なら大体のストーリーは分かっているから英語に自信がない方でも大丈夫です。それよりも緻密に計算さ

アバターWOWが日本だけ1位をとれない理由を深掘りする【歴史と文化】(アバター2:ウェイ・オブ・ウォーター)

なぜ日本だけ『アバターWOW』が1位にならなかったのかという分析記事を読んだ。筆者の栗原健也氏はマーケティングに造詣が深いようで、マーケティングの視点から深く考察された良記事だったが、私には一点不満に感じることがあった。 あまりにもマーケティングに寄りすぎなのである。 確かにマーケティング戦略で、より効果的にリーチを取ることは重要である。映画は面白かったから観に行くものではなくて、面白そうだから観に行くものである。実績よりも期待が重要な娯楽である。 しかし、それならば「

イルカショー批判騒動の真相(アバター:ウェイ・オブ・ウォーター)

Twitterなどで一部の人達を騒がせているジェームズ・キャメロン監督のイルカショー批判騒動についてです。 この記事は映画アバター2のストーリーには言及しません。 まずは何があったのか簡潔にまとめておきます。 1)ジェームズ・キャメロンがヴィーガンに目覚める。   →そこから10年近く現在までヴィーガンを続けている。   →環境団体とも仲良くなる。 2)アバター2の日本記者会見で水族館イルカショー。   →特にトラブルなくイベントは大盛況で終了。 3)海外SNSで炎上。

捕鯨描写が物議を醸している件(アバター:ウェイ・オブ・ウォーター)

Twitterなどで一部の人達を騒がせている反捕鯨描写についてです。 この記事は部分的なネタバレを含みます。 (物語全体や結末には言及しません) ▼アバターのクジラ:アバター2にはトゥルクン(タルカン;Tulkun)という鯨のような巨大生物が出てきます。 見た目やアクションは完全にクジラです。 シンプルにとても美しい映像のオンパレードです。 中身は動物というより、もはや「事実上の人間」として描かれます。 しかし、このトゥルクンの描写を巡って、日本で少し物議を醸し

すずめの戸締まりに感じた”国民的”エンタメ作品の限界

まず大前提として、とても良い作品だと思います。 私は好きな映画でした。 日本の民俗文化や伝承に根ざした世界観も。 現代的な感性にアップデートされた恋愛観も。 新海誠らしい色彩の美しい空も山も街並みも。 主人公が幼少期からの心の傷を癒す物語も。 上映直前には主にシネコンの劇場をほぼ独占するスケジュールに一部から批判も起こりましたが、蓋を開けてみれば販売率(=座席混雑度)は他のどの映画よりも高く、劇場側のマーケティングが優れていたことを証明する結果になりました。 まあ日本で