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満天の星空と、下町で、はっぴー!

眼の前に広がるのは、一面の星空。
寝っ転がって、満天の星を見上げる。
……いま、わたしが全身をゆだねているのは、介護ベッドだ。

***

兵庫県は神戸・長田区にある「はっぴーの家ろっけん」の一部屋に宿泊している。
ここは、“遠くのシンセキより近くのタニン”という考えに共感する人々が、週に200人もやってくる多世代型介護付きシェアハウス。なつかし・あたらしなごちゃまぜ空間なのだ。

宿泊をさせてもらったのは、「はっぴーの家ろっけん」の102号室。冒頭の星空いっぱいの光景は、就寝時に電気を消すと、天井に浮かび上がるそれだ。
「はっぴー」の存在を知ったのは、5年前。この場所を運営する首藤義敬さんの講演を聞いたのが、きっかけだった。

「ディズニーランドって、そこにいるキャラクターはみんなディズニーじゃないですか。当たり前ですけど、鉄壁のブランド力があって、統一されている。それが夢の世界をつくりあげていますよね。それと比べるわけじゃないけど、大阪にあるユニバーサルスタジオジャパン、USJですね。ここは、ワンピースにスパイダーマンに、スヌーピー。キャラクターというキャラクターが大集合している。コラボがえげつない(笑)。こういうことをできるのが、USJの強みなんちゃうかなって。はっぴーの家ろっけんは、このUSJのごちゃまぜ感といっしょです」

……この話がいまでも印象に残っている。以来、はっぴーの家ろっけんはいつか行ってみたい場所になった。

そこに、知り合いの表現者・あっちゃんこと、宮本篤くんがはっぴーで働いていることが判明……! あっちゃんは、これまで広島・向島でチョコレート工場を立ち上げたり、大阪で焼き芋屋をしたりと、変幻自在なカメレオンのような人だなと、その動向に興味があった。
今回、関西に行く用事のついでに、足を伸ばしてはっぴーまで遊びに行こう! とあっちゃんに連絡をとった(かつてのやりとりが思い出せないくらい久しぶり、かつ唐突な連絡)。

あっちゃんは、突然の申し出をすんなりと受け入れてくれた。なんでも、この時期「下町芸術祭」というアートフェスティバルが開催中とのことで、「コテ隊」と呼ばれるサポートチームに入るといいよ、と。街と深く関わるきっかけをつくってくれた。

昼間はコテ隊として街の芸術祭をサポートし、夜ははっぴーに泊まる。という日を過ごした。

下町芸術祭パーカーを着させてもらった!
「はっぴーの家ろっけん」に帰宅する

***

ぐっすり眠った翌朝。
5時頃から起きてリビングでテレビを観る人がいる。6時頃からは「おはようさん」という、さまざまな声が重なる。7時、スタッフの方だろうか? 歌を歌っているひとがいる(オペラ風)。
102号室で仕事をしながら、朝の風景に耳をすます。8時、朝食の準備だろうか、さらに活気が出てくる。

9時、パソコンを閉じて支度をする。介護ベッドで寝たのは初めてだったけれど、めっちゃ寝心地よかったな……。
9時半、102号室を出る。はっぴーのリビングのエネルギーを感じながら、あっちゃんが教えてくれた、お隣の喫茶店「こふく」へ。
店のおかあさんが迎えてくれた。水道の調子が悪いようで、業者がすぐに来てくれないみたいだ(「ほんまあかんわ〜」と聞こえてきた情報)。ただ、ここで諦めないのが関西人! 相手を不快にさせずに、修理の時間を早めに変更することに成功していた。
ほしいのは、この話術よ……と感心しつつ、ホットドッグのモーニングをいただく。

ホットドッグはカレー味が効いていた

10時半、コテ隊の集合場所、r3(アールサン)へ。
コテヘッド(“コテ隊のカシラ”という意味、かっこいい)のソウタさんとカシさん、本日のコテ隊メンバーに挨拶。
午前中は、あちこちで行われる催し物を開催日ごとに整理して、テキスト化するという作業をお手伝い。
お昼は、コテ隊メンバーのシラちゃんとユナちゃんと近くの丸五市場の「いりちゃん」で、やきそばを食べた。車椅子ユーザーのユナちゃんもなんなく入店できた。
なんというか、ここの人は過剰じゃない。心づかいも配慮も、距離感も。「関西に定期的に来たい」と思うのは、こういうほどよさに気づく瞬間。

コテ隊仲間のシラちゃんとユナちゃん

午後は、案内マップを手にして実際に歩いてみる。下町芸術祭を堪能。

コテヘッドのソウタさんが言っていた。
「はっぴーの家だけがここにあるわけじゃなくて、六間道という商店街、長田区があることで、はっぴーの家ができたんです。だから、街全体を楽しんでくださいね」

コテヘッドのソウタさん。買い物途中のおばあさんと。

滞在中は、六間道のコインランドリーで洗濯をし、銭湯に入り、カシさんのおすすめしてくれた洋食屋に行った。あっちゃんの仕事仲間のかおりん、レイレイ・るいるい・アッシュ(かおりんの3人の子どもたち)とは、丸五市場の夜を担当する中華「めいりん」で豪遊した。
長田にどっぷり浸かった2泊3日となった。

出発の朝。あっちゃんとこふくで待ち合わせをする(好きすぎて連日行った)。
二人でモーニングを食べながら、「ギブ&ギブ」という言葉をあっちゃんは度々つかった。はっぴーでおばあちゃんの車椅子をひく彼を見ていたことと、この言葉とあっちゃんのいまがしっくりくるような気がした。

あっちゃん(中央)と、はっぴーの家ろっけんのみなさんと


▼下町芸術祭は好評開催中!
11月19日(日)まで

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