【考察】コスパがいいという罠
こんにちは。
コーヒーを1週間ぶりに飲んで、さらに立て続けに2杯飲み干して、カフェイン中毒を取り戻しつつあるZAKIさんです。
#コーヒー関連の人だと間違われる率95%
さて。
今日は『コスパがいい』っていうワードには注意が必要だよね、というお話です。
●コスパがいい飲食店とは
お店探しによく使われますよね、この言葉。
『コスパがいい』って普段僕たちがどういう意味で使っているのか、分析してみます。
例:飲食店を指す時
コスパがいい
↓
値段の割には美味しい
↓
元は期待値が高くなかったが、そのハードルを超えてきた
↓
味と値段を天秤にかけている
↓
お店自体やスタッフさんや提供している空間のファンになったわけではない
↓
ヘビーなリピーターにはなりにくい
こんな感じでしょうか。
コスパをきちんと言うと、コストパフォーマンス。字の如く、『値段』について言及しています。味や接客などが値段と比べてお得!となったときに、コスパがいいお店認定されます。
現代でコスパがいいお店代表といえばどこでしょう?
1000円でベロベロになれる立ち飲み屋さん。
夜は高いコース料理だけど、ランチは手が届くお値段で提供してくれるビストロ。
希少な部位を格安で食べられる焼き鳥屋さん。
簡単に例を挙げましたが、最強にコスパがいいお店って、ファストフードだと思いません?
吉野家は牛丼が380円でお腹いっぱい食べられるし、マクドナルドはセットでも他のグルメバーガー屋さんの単品とほぼ同額。
味は「めっちゃ美味しい!」とはならないけど、合格点は超えているし、特に不満もないし、そりゃ週に2回は食べちゃうよ。
#月の食費は自炊よりも毎食牛丼食べる方が一人暮らしでは安いよね
#自炊ってコスパ悪い?
#でもビール片手に自炊しちゃう
ファストフードが事実上コスパがいいお店ランク上位ということは、個人商店が『コスパがいい』お店を目指してしまうと、結局は価格競争に巻き込まれて、大手に飲み込まれる結末に。
個人の飲食店はそれ以外で勝負できるお店作りをしなければいけないわけで、簡単に言ってしまえば、どうやってファンを増やせるかを検討しなきゃいけない。飲食店の皆さんが必ず考える、『リピーターをどう増やすか』会議ですね!
安さで集客するのではなく、スタッフさんとの距離であったり、居心地のいい空間であったり、大手では決して手が出せない、『応援される土俵作り』に時間を割かなければいけない。
ではこれを自分の業界・仕事に置き換えてみたらどうだろう?
●コスパがいい外注とは
フリーランスとしてまずは気にするのは、仕事が途切れるのが怖い。だから依頼を何でも受けてしまう。
これ、結構危ない傾向だと思っていまして。
どうして”危ない”のか。
自分が外注する側の立場として考えてみます。
例えばイメージパースを発注するとして、まずパースを描ける人をどう探すのか。会社勤めの方は、おそらくネットで探すのではなく、上司やチームメンバーからおすすめされた外注業者を指名すると思います。
先にイメージパースとはどういうものか説明が必要でしたね。
イメージパースとは、店舗設計をする上で、施主に内装デザインを分かりやすく絵にしたものです。今はほとんどが専用ソフトで仕上げますが、住宅業界では手書きもまだまだ現役です。
▽イメージパースとは
ここでざっくりとイメージパースの単価を言うと、¥50,000〜60,000/1カットが一般的です。これはイメージパースの中に人や商品を入れたり、レタッチ(画像加工ソフトなどで光と影を調整)することで単価が上がります。
さて、では早速イメージパースを発注してみましょう。
まずはイメージパースの外注費用を簡単に計算します。後の修正費用なども諸々踏まえて、¥100,000〜¥150,000程度としましょう。費用がこのくらいかけられるのであれば、有名なパース製作会社に発注しても大丈夫だと思います。
次にクオリティ面から考えます。
コンペに出すならある一定以上のレベルが必要ですが、施主確認のみならクオリティよりもアングル(画角)の数が必要です。
ファサード(入り口)を正面、左、右からそれぞれ見た場合、店内の主要な売り場をそれぞれ分かりやすいアングルで見た場合、最低でも2カットは提出することになります(ファサードと店内1カットずつ)。
もちろん、コンペでなければ説明するのは自分自身なので、アングルの数は調整可能ですが、後ほど施主との認識の差を生まないためにも、アングルはあって困ることはないでしょう。
大雑把にパースのことを説明しましたが、ここからが考察の本番です。
#前提が長いよ
先ほどパース製作を頼む際、選ぶポイントとして『周りからの推薦』が多いと言いましたよね?
つまりはリピーター。
これって飲食店でいう『常連客』ですよね。
そうなんです。パース業界って、飲食店以上に新規参入が難しいんです。実際に僕の知り合いでも、クオリティはむちゃくちゃ高いのに、仕事をとってこれなくて困っています。
「パースはクオリティが命」
綺麗なパースを見ると、「うわぁ、これだけ描けるんだから、仕事も入ってくるよ」という甘言を真に受けてしまいがちですが、これはパース製作を仕事とする人が陥りがちな罠です。
はっきり言います。罠です。
パースは基本的に知り合い同士でで仕事を回しています。
作図も同じです。
ある一定レベルのクオリティがあれば、仕事が進めやすい、ストレスが少ない、1を言って10を汲み取ってくれる、そんな人に頼みます。
#クオリティが高いのは大前提
はい、結局は人間関係ですね。
どれだけ腕を磨こうが、営業しなければ仕事は入ってこない。
どれだけネット上で営業しようが、大手の広告には叶わない。
でも営業したところで大手ほど宣伝に費用をかけられない。
じゃあ大手に勝つにはどうしたらいいか。
『仲間内で経済を回せるようにコミュニティ形成に力を入れる』
大手の長所はお金をかけて全世界に自分たちを宣伝することができる。
僕たちフリーランスなど弱小規模チームは、大手ほどの競争力が無いのならば、わざわざ向こうの得意な土俵に上がらずに、大手が介入できないコミュニティを作り、仲間で仕事を共有しちゃおう、というのが僕の結論です。
●まとめ
図面やイメージパースは安請け合いをしてしまうと、その後に単価を上げずらい(価格で仕事をとっているので、顧客が離れてしまう)し、業界全体の地位向上にも繋がりません。
皆さんは友達に仕事を依頼するとき、「安くして!お願い!」と頼みますか?
僕は逆です。
友達だからこそ儲けて欲しいし、余った資金はその後の活動費に当てて欲しいし、美味しいものを食べて欲しい。
そこに『コスパ』なんて考える余地なんて無くて、コミュニティ内ではむしろ多く支払うこともあるよ、というお話でした。
では、また!