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実録:典型的底辺の一日の模様(後編)

続きです。

「前編」はコチラから。

これまでも週末だけはパートさんに手伝ってもらったのですが、今週から平日も(週末とは別の方に)来てもらうようにしています。

特に仕事が忙しくなったからではありません。

僕がまともな接客が出来なくなってしまったからです。

僕の仕事は、お客さんとの雑談なども大事にしないと実際に商品の購入にまでは至らない職種です。

しかしここのところ、本当に「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」の他はごく事務的な連絡事項(ポイントカードの仕組み等)しか出来なくなってしまったのです。

これはもう本当に「出来なくなった」としか言いようがありません。

僕はこの状態にかなり危機感を感じました。

お店なんて評判が全てです。

「あの店・・・感じが悪い」とか「愛想が悪い」とか思われたらもうお客さんは来てくれません。

なんたって同じものを買える店は他にいくらでもあるのです。

しかしどうにも出来ない・・・・少しでも商品説明意外の会話を求められると心が悲鳴を上げるのです。

そんなある日のことです。

もう20年以上も前にウチの店でアルバイトをしてくれていた女性がフラッと遊びに来てくれました。

本当にその日、何か用事があったわけでなくフラッと寄ってくれたのです。

彼女はその昔、短大を卒業した21歳の時から7年半ウチでアルバイトをしいてくれていました。

当時僕は28歳くらいだったと思います。

お互いまだ若かった頃、本当に毎日毎日、7年半も朝から晩まで顔を合わせて一緒に仕事をした仲でした。

喧嘩もよくしましたけど、誰よりも気心が知れています。

そんな彼女が遊びに来た時、いらっしゃったお客さんと自然に雑談しているのを見て「ああ・・・今のオレの店に全く足りてないのはこれだ」と思い立ち「なあ?またアルバイトしてくれない?」と頼んだのです。

幸い、彼女(Kさんとしておきます)は、今のパートをそろそろやめようかと思っていたタイミングらしく快諾してくれ、早速翌週から働いてもらうことにしました。

そして僕の予想と期待通り、彼女の接客は素晴らしく、お客さんの反応も上々です。

僕の今の状態は「僕の職業で求められる最低限の能力と役割」を大幅に下回ることしか出来ません。

そんな時、昔の縁でこうやって助けてくれる人が現れる・・・・

この縁と周囲の人には感謝しかありません。

そしてこの3か月、僕はどれだけの人に助けられてるんだろう?と思うと、感謝と情けなさで涙が出そうになってきます。

たかが失恋で。たかが失恋で人はここまで堕ちてしまうものなんだろうか・・

この日は入荷商品が多く、その整理と陳列でもKさんには大いに助けられました。

僕一人だったら梱包を解くことすら出来なかったでしょう。

商品整理や接客の合い間にも色々話を聞いてもらえるのはとても気が紛れます。

Kさんは人に寄り添うのが上手ですので、僕の話も、時折自分なりの意見や感想をさしはさみながらもよく聞いてくれます。

しかしアルバイトさんに失恋の愚痴なんかを聞かせてる自分のダメさにまた自己嫌悪です。

この日は割と慌ただしく、Kさんの勤務時間終了の16時になりました。
Kさんもその後1時間くらい雑談に付き合ってくれました。

よく言われてることですが、うつ症状というのは朝が最悪で、その後徐々に持ち直してきます。

持ち直すと言ってももちろんプラスになるわけではありません。

マイナス10がマイナス7になる程度です。

Kさんが帰って一人になっても、それほど鬱々とはしないで済む程度の心理状態にはなれます。

しかしこの時間になると(薬の副作用か)眠気が襲ってきます。

僕はお客さんがいない時間を見計らって、(内容は関係なく)解説系のYouTubeチャンネルを音を絞って垂れ流しながらしばしウツラウツラしました。

ウチのお店は19:30に閉店ですので、そのまま定刻通り閉店して家に帰れば20時過ぎには家に着いてしまいます。

しかしそんな宵の口に帰宅しても、夜が長いだけです。

何度も書いていますが、一人の家で長い夜を過ごすほど憂鬱なことはありません。

そこで職場であえてダラダラと過ごし21過ぎに店を閉めました。

同じ一人でも、自宅よりもまだ職場の方が孤独感が軽減される気がするのです。

自宅に帰ったのが21:40。

この日は何とか晩ご飯も作れました。

冷蔵庫に野菜が結構残っていましたので、翌日のお弁当の分も含めて、中華丼を二食分作ります。

22:10。報道ステーションを見ながら晩ご飯を食べます。

中華丼は割と得意メニューですので我ながら美味しくは出来ました。

食後にトリンテリックス錠を飲みます。

ここからが勝負です。

早めに寝てしまうとまた中途半端な時間に目が覚めてしまいますので、なんとか心穏やかに就寝の24:30~1:00までの2時間あまりを過ごさなくてはいけません。

しかし以前の日記にも書きましたよう、ここのところ全くお酒を受け付けなくなってしまいましたので飲んで過ごすことも出来ません。

これは僕の想像ではあるのですが、薬の量が増えるにつれ、(お酒も薬もどちらも分解する)肝臓が悲鳴を上げてお酒を拒否してるのではないか?と思っています。

かといって2時間近く腰を据えて映画を観る気力もありません。

しかたなく、ここのところはブックオフで買いだめしてきた「はじめの一歩」を一日2~3冊程度読みながら寝るまでの時間を過ごしています。

昔から「はじめの一歩」は大好きなのですが、昔一度読んで薄っすら記憶が残ってる程度のものならすんなりと読めるのです。

就寝時間から逆算して、23:30くらいに睡眠薬を飲みます。

TVの音を小さく絞って流しっぱなしにしながら「はじめの一歩」を読んでいると、24:30くらいにうまい具合に眠気がやってきました。

ここを逃さずに歯を磨いてベッドに入り、漫画の続きを読みます。

割と健康的な眠りは、5分と経たずにやってきて、僕は枕元の照明を消しました。

明日の朝こそこの憂鬱が1%でも軽くなっていてくれ・・・そう願いながら・・・

これが僕の「ここ最近の底辺な一日」です。

文字にしてしまうと、淡々とした一日に思えるかもしれませんが、ほぼ丸一日胸の錘に胸を塞がれ、残像に胸を引き裂かれ、朝から昼過ぎくらいにはそれが特に酷く、時々胸に手を置いて深呼吸しなければ呼吸もままならない状態ではあるのです。

いつか心が健康を取り戻した時、「そういえばあの頃は毎日こんなだったっけ?なんだかもうあんまり憶えてねぇや・・」と実感なく思い返せるようにこの日記を綴りました。

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