![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/9262067/rectangle_large_type_2_6738e664481880c07e799328751d3f8c.jpg?width=1200)
喫茶ランドリーから見える理想の「まちのにぎわい」を読む
都市計画協会の機関誌「新都市」平成30年12月号(Vol.72 No.12)に(株)グランドレベル代表取締役社長の田中元子さんの記事が掲載されていた。
まず、驚いたのが喫茶ランドリーができたのが昨年2018年1月という驚きである。
私も昨年、現地を訪問した。
席は満員だったので相席だった。初めて訪れたのに、常連らしき相席の方は快く招き入れてくれて、店員さんかと思ったが、お客さんだった。
新しいお店に訪れたというよりも、知らないところでどこか繋がっている「親戚の家」にお邪魔したときの感覚に近かった。
これだけ自分の中で感じる良い空間の1つとして定着しているのに、まだ1年しか経っていない。
地域に長く愛され続けることは、愛されはじめる第一印象も強烈だったのかもしれないし、地域にとって待ち望んでいた形だったからスピード感があったのかもしれない。
以下、各章ごとに良い文を抜粋した。
1.人の居場所のないまちに
"ある年代層にだけ受けるのではなく、誰にとっても居心地の良い場所"
"コペンハーゲンのランドロマットカフェ"
"ターゲティングやマーケティングなどフィルター越しには見ることのできない「とあるまちの断片」"
"ひとつの空間にさまざまな人が居合わせ、それぞれ自分なりのくつろぎを満喫し、互いの存在を視認し、そのふるまいを許容し合っている"
2.目指すのは、私設の公民館
まちの家事室/補助線/緊張させないデザイン
"ランドロマットカフェに習い、多様な人々が多様な目的でひとつの空間を使うキッカケとして、洗濯機を置くことにした"
"みんなで使う「まちの家事室」にする"
"人を引き寄せる理由は、カフェだけでも洗濯機だけでもな…ふたつがあることで多様な人々か訪れるキッカケにはなる。しかし、それ以上に大人にも子どもにもどうぞご自由にお過ごしくださいと言うかのように違和感なくリラックスできるインテリアデザインの影響は大きい"
"自由に描きなさいと言われても、殆どのひとは戸惑うだけ。それぞれが自由に過ごすために今回の場所にできるデザインとは何か。壁も床も白く塗りつぶし、プレーンな箱にすることではなかった"
"うっすらと「補助線」を引かれると、ひとは何かをひらめいたり何かに見立てたり、自分の自由を発見し、そこからいきいきと描いていく"
"補助線の存在は忘れ、一から自分の力だけで描いたかのような、そんな気持ちになれる補助線だったら、最高じゃないか"
"見たことのないもの、立派すぎるもの、ダサすぎるものはここには要らない"
"どこかで見かけた「既視感」のほうが、リラックスさせるためには、余程、大事だ"
"街のあまねく人々が自然と居合わせてしまう場、小さな「やりたい」が簡単に実現するような場をつくる。要は私設の公民館だ。"
3.市民の能動性を発露させるために
自由なくつろぎ/許可ではなく応援/
"どんなひとも自由なくつろぎ"
"私たちは、自分たちでイベントを企画し、賑わいをつくることをあえてやらない"
"もしよかったら何かに使ってください"
"こんな使い方できますか?に対して、許可ではなく、全力で応援していくことにした"
"コーヒー屋のチェーン店では、こういうことができない。確かに、禁止されていないのに、コーヒー屋には、パソコンで仕事している人は居るのに、編み物やカードゲーム、ものづくりをやってる人がいないのか。喫茶ランドリーには、そのような人が普通に居る"
4.本質的なまちのにぎわいに必要なこと
"喫茶ランドリーを見ながら気づいたこと。これは理想的なまちであり、都市の姿そのものだ"
"日本にはまちづくりと称して味気のない街並みに、名所や名物、特定のターゲットやコミュニティがよる擬似的なまちのにぎわいをつくろうとするが、そのようなものには一様な楽しい気持ちの人間しか受け入れてくれない気持ち悪さがある。"
"まちのにぎわいは、一過性のものではなく日常としてあるもの"
5.日本のまちづくりが目指すべきこと
日本のまちづくりの世界を外から眺めて
"制度や手法によって、にぎわいが生まれればみんな幸せだと単純に考えている人は少なくない。"
"都市やまちをつくる計画をする際に、企画書には「にぎわい」という文字が飛び交う。しかし、都市のグランドビジョンを調べてみると、そんな稚拙なレベルで「にぎわい」という言葉を乱用する国は日本以外に見当たらない。"
"まちのにぎわいに必要なこと。「日常」を目指したデザイン。これまでデザインという言葉は、やたら洗練させていくことや華美であることを想像させた。喫茶ランドリーで実践させたデザインは、目には見えにくいけど、人の心にら届きやすい、仕込んだり、仕掛けたりするタイプのものだ"
"どんな存在となることを目指すのかというヴィジョンとそれを実現するためのデザイン。このふたつを精密にチューニングすることで、本当の意味で人間らしく輝きはじめる。そこにまちのにぎわいは、自ずと生じるものである。"
"そこで起こるふとした出来事が、人ひとりの人生を変える"
#喫茶ランドリー
#まちのにぎわい
#私設の公民館
#ランドロマットカフェ
#コペンハーゲン
#補助線の計画