ほんの一部を真似するだけで……
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書籍「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」(カーマイン・ガロ)
新年早々突然ではありますが、皆さんは人前で話をするのは得意でしょうか? 私は苦手です。若い頃からそう公言しているのに、前職では年に1~2回程度、街づくりに関する講習会の講師を務める機会がありました。主に自治体の関係部署からの依頼が多かったので、北は青森から南は鹿児島まで、新宿区や横浜市などのメジャーな役所から、その存在を初めて知ったような東北の小さな町役場まで行きましたっけ……。
最初の頃は、伝えたい情報をパワポのテンプレートに促されるままに箇条書きにして(文字をびっしり書き込んで)、それを読み進めるような講義をしていたのですが、何回かやるうちに、これだったらスライドを印刷物にして参加者に配ればよいだけのことで、自分がしゃべる意味はないなあと思えてきました。
そこで次にスライドはそのままにして、なるべくスライドには書いていないことをしゃべるようにしました。しかしこの場合、参加者はスライドの方ばかりを読んで、私の話を聞いている人がほとんどいないことに気付きました。どうしたら、聴衆の耳や目をこちらに向かせることが出来るか――と悩んでいる頃に出会ったのがこの本でした。
「箇条書きは諸悪の根源。スティーブ・ジョブズのプレゼンには文字がほとんどない」。
たしかに! これは本当に目から鱗でした。スライドにするのは、伝えたいことをビジュアル的に示したいときだけ。こうするだけで、聴衆はスライドのビジュアル情報(写真、イラスト、模式図、チャート等)を見つつも、耳は私の話に傾けているという実感が沸きました。
もちろん、iPhoneなどの商品を紹介するプレゼンと、講習会等の講義では目的が違うじゃないかというご指摘もあるでしょう。事実、参加者の中には「ノートを取るべき文字がスライドにない」と不満を漏らした方も居たようです。
しかし一方で、「面白かった!」、「最後まで眠くならなかった」と言ってくれる聴衆も多かったのです。商品を紹介するプレゼンも知識やノウハウを教える講習会の講義も究極の目的は伝えたいことを伝える――、それだけのはず。本書にはその目的に適うエッセンスが詰まっています。プロローグにあるようにほんの一部を真似するだけで、それまでとは一味違うプレゼンや講義ができるようになると、実践者としてお約束します。
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