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歳が理由だと言ってよ、ハニー

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映画「マイ・インターン」(主演 ロバート・デ・ニーロ アン・ハサウェイ)

インターンとして雇ったジイ様はとてもよく出来た、それでいて出過ぎた真似もしない分相応をわきまえたジイ様だった、という話である。

欧米では、雇用の場などで年齢を理由に不採用にしたりするのはいけないのだそうだ(エイジ・ハラスメント──エイハラと言うそうな)。あくまでも能力で判断すると言う。本邦でもそんなことが言われるようになってきているが、果たして定着するのだろうか──。

米国だって次期大統領を選ぶ際には年齢が考慮される。事実、今秋の米大統領選では、御年82歳を迎えるバイデン現大統領の最大のアキレス腱は年齢だと言われている。つまり任期中の年齢による健康不安は当然、大統領選の判断材料になる。

一般企業の雇用も同じはずだ。大統領のような要職と一緒にするなと言うなかれ。どんな仕事だろうが、雇用して仕事を任せる以上、健康リスクひいては年齢を考慮するのは仕方ないではないか。

実際、雇用の現場でもそうしていると思う。しかし、エイハラに当たらぬように、それを理由にしていないだけだ。もちろん多くの場合、不採用の理由は明らかにされないわけだが、エイハラをしていないとすれば、それは年齢じゃなくて能力が理由ということになる。

たとえば、一人の中途採用枠に二人の応募者が来たとする。一人はその職種の経験豊富な65歳で、もう一人は未経験だがフレッシュな25歳。仮に後者を採用するとなった場合、前者は年齢が理由じゃないとしたら納得するのだろうか。

これは、高齢の男が若い女のコを口説いたときに、

「あなたの歳は問題じゃないわ。あなたの人間性が嫌なの」

と言われるのに等しい。

私は昨年、高齢者の仲間入りを果たした。体力には比較的自信があるがしかし、それでもやはり日々衰えを感じている。おそらく多くの高齢者がそうだろうと思う。そうした中では年齢という客観的事実を理由にしてくれた方がよほど納得できる。能力や人間性が問題だと言われたら私は深く傷つくだろう。

要するに、年齢を問題にしないなどというのは無理がある(年寄りに口説かれた女のコもまず男の歳を考えるはず。人間性云々より)。つまりは、まやかし、嘘である。嘘は社会に定着しないし、浸透もしないというのが私の見立てである。

これに対し、「生活が苦しいのに年齢を理由に職を得られない人もいるのだぞ。その人の身にもなってみろ!」というお叱りを受けるかもしれない。私とていつそういう身になるか分からないから、切実な問題だという認識はある。

しかしエイハラとか言って、上辺だけ「人にやさしい社会」を装ったところで、実際は年齢を問題視するのだから結局、何の解決にもなっていない。むしろ解決した気になるだけ罪深いと思うのである。

(今回も映画とは関係ない話でスミマセヌ)

画像引用元 映画.com

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