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人間のコモディティ化

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書籍「君に友だちはいらない」(滝本哲史)

私の平日の仕事を一言で言うのは難しい――。前職が建築設計事務所に勤めていたことから、

「建築屋さんですか?」

とよく聞かれます。

「いや、建築設計は出来ないのです。一応、専門は都市計画なのですが……」

「行政から委託されるお仕事ですね」

「いや、私のやっているのは、お行儀の悪い都市計画でして……」

「はい? 行儀がどうしたんですか?」

てな具合で、会話にならないのです。

しかし、個人的にはそれで良いと思っています。いや、だからこそ価値があり、顧客に評価して頂いているのだと勝手に思っています。

世の中、一言で「〇〇屋さん」とカテゴライズされ、レッテルを貼られた途端に廉価販売のコモディティになってしまいます。そこは、競合ひしめくレッドオーシャン。ゆめゆめカテゴライズされるような仕事をしてはならないと自戒しています。

「コモディティ」とは本来は日用品を意味する言葉ですが昨今では、どのメーカーの商品であっても大した差のない汎用品、といった意味合いが強いでしょう。本書では、グローバル資本主義の進展により商品のみならず「人間のコモディティ化」が進むとしています。そして、それを乗り越えるためには友達同士の仲良しクラブではなく、武器として使えるチーム作りが不可欠だと言います。さらに、そのチームは少数の異能集団(相互の能力を補完する)で構成すべきで、目的に応じて離合集散する緩やかな繋がりでよいのだとも……。

私の平日の仕事はまさにそれを実践している――つもりです。不動産開発事業を企図する顧客の開発利益を最大化するという目的のために、建築士や技術士はもちろん、弁護士、税理士、不動産鑑定士等とチームを組むのですが、私自身は都市計画という枠を大きく(行儀悪く?)はみ出すので、一言で何をやっているのかを非常に説明しづらいのです。

本書のタイトル「君に友だちはいらない」は些かショッキングなタイトルですし、内容も漫画「ワンピース」の仲間すら否定したりするので、抵抗を覚える人もいるかもしれませんが、私は共感に次ぐ共感でした。是非多くの人(特に若い世代)に読んで欲しい一冊です。

著者の滝本哲史氏は、数々の業績・名著を残しながら、2019年に47歳にして他界してしまいました。とても残念です。

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