似たもの夫婦っているよね
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小説「異類婚姻譚」(本谷有希子)
六〇を過ぎたある日のことだ。朝、寝ぼけ眼で洗顔を終え、ふと鏡を見ると自分の顔が父親に似てきたことに気が付いた。
親子だから当たり前だろう、と言うなかれ。私は子供の頃からずっと父には似ていなかったのだ。死んだ人──父は亡くなって久しい──に対し、こんなことを言うのは気が引けるが生前の父とはあまり仲が良くなかったので、自分の顔が父に似てきたと認識したときは少なからずショックだった。
ちなみに私には兄がいるが