初めての融資も安心!融資の基本と進め方を解説
この記事の筆者 若林和哉
初めて融資を検討する際、「どんな準備が必要なのか」「どう進めればいいのか」といった疑問や不安を感じる方が多いのではないでしょうか。この記事では、融資を受ける際に知っておきたい基礎知識や、具体的な準備方法、審査を突破するためのポイントをわかりやすく解説します。
融資を受ける前に知っておきたい基礎知識
初めて融資を検討する際には、融資の基本的なポイントを押さえておくことが大切です。融資には大きく日本政策金融公庫からの融資と信用金庫等の金融機関からの融資という2つの主な選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った制度を選びましょう。
日本政策金融公庫
創業間もない事業者や初めて融資を受ける人にも門戸が開かれています。また、融資を受けるまでのスピードが速いのが特徴です。特に「新創業融資制度」は、無担保・無保証人で申し込める点が大きな魅力です。比較的融資を受けやすいですが、利率は金融機関からの融資と比較するとやや高いケースが多いです。
民間融資
信用金庫や信用組合などが提供する融資です。利率は日本政策金融公庫より低いですが、審査基準が厳しい傾向があり、信用保証協会の保証付き融資や地方自治体が金融機関と連携して提供する「制度融資」の場合は、融資までに時間がかかる傾向にあります。また、売上や借入額によって相談すべき金融機関も変わります。いわゆるメガバンクからの融資は一定の売上が求められるので、創業者や初めての融資の場合は、信用金庫や信用組合がお勧めです。
融資を受けるために必要な資金計画とは?
融資を成功させるためには、まず「資金計画」を立てることが重要です。資金計画とは、事業運営に必要な費用を明確にし、それをどう調達し、どのように使うのかを整理することを指します。
例えば、店舗の開業を考えている場合、店舗の内装費や設備投資が初期費用として必要です。一方、商品の仕入れや人件費、家賃といった運転資金も忘れてはいけません。運転資金をどれくらい見ておくかは金融機関によりますが、3か月分であれば認められるケースが多いです。これらを明確にしておくことで、融資の必要金額を具体的に算出することができます。
また、金融機関からの信頼を得るために、自己資金の割合を高めることが重要です。日本政策金融公庫の新創業融資制度では自己資金要件は廃止されており、金融機関の融資要件にも自己資金は1割程度からなどの表記があることもありますが、一般的には、全体の30%以上を自己資金で賄うのが理想とされており、この割合が高いほど、金融機関から「計画性のある経営者」と見なされやすくなります。
初めての融資申請の基本的な流れ
融資を受けるには、いくつかのステップがあります。初めて融資を検討する方でも安心して進められるよう、基本的な流れを押さえておきましょう。
まず、融資の目的を明確にします。設備投資のためなのか、運転資金を確保するためなのかを具体的に整理しましょう。その上で、金融機関や公的融資制度を比較し、自分に合った選択肢を見つけます。
次に、必要書類を準備します。事業計画書や収支計画書は特に重要で、融資審査の際に審査官が注目するポイントです。事業計画書には、事業の概要や成長見込み、収益の根拠などを具体的に記載します。収支計画書には、どれだけの収益が見込めるか、返済能力があるかを示します。
融資の申請後は、書類審査や面談が行われます。面談では事業内容や収支計画の詳細について質問されるため、事前に回答を準備しておくとスムーズです。審査に通過すれば融資が実行され、資金が振り込まれます。
審査を通過するためのポイントと失敗を防ぐコツ
初めて融資を受ける際、多くの人が気になるのが「審査を通過できるか」です。審査を通過するためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
まず重要なのが、事業計画書の具体性です。審査官は、計画が現実的かどうかを厳しくチェックします。そのため、収益の根拠や市場分析、競合との差別化ポイントを明確に記載しましょう。
創業時の融資の場合、代表者の経歴も重要なポイントです。特に、事業に対する経験の有無を見ており、新しい事業に関する5年以上の経験がある場合は高評価となります。逆に経験がない場合は、そこを補ってくれる存在(共同創業者や従業員、取引先やパートナー企業など)についてもコメントしましょう。
自己資金に関しては説明しましたが、信用情報も審査対象になるため、過去の借入履歴や返済状況を確認し、問題があれば解決しておきましょう。
失敗を防ぐためには、専門家に相談するのも一つの方法です。中小企業診断士や税理士に事業計画を見てもらうことで、計画の精度を高められます。
①自己資金
・コツコツ貯めた実績が預金通帳から見えると好印象。
・開業資金の一定割合は自己資金(法人は資本金)が必要。
できれば1/3以上は欲しい。
②経験
・開業する業種と同じ仕事に対する経験は重視される。6年程度から高評価。
・経験がなくても協力者や外部の協力などがあれば加味される。
③返済能力
・借りたお金を、金利を付けて返せる計画か。計画に説得力があるか。
・収支計画の説得力などで判断される。
④信用情報
・税金滞納はアウト。個人で支払遅延や債務整理があるとマイナス。
例)クレジットカード、カードローン、水道光熱費、携帯電話、家賃など
⑤お金の使い道
・設備投資の見積書や請求書、賃貸借契約書が必要。減額されることもある。
・運転資金のみの融資は借入に限度がある場合がある
⑥面談など
・絶対に遅刻しない。遅くとも5分前には受付をする。
・清潔感のある服装や身だしなみを心がける。
・忘れ物をしない。持参物のチェックを入念に。
・自分の言葉で計画を説明できるか。特に、売上部分を納得させられるか。
融資を受けた後の注意点と資金の活用方法
融資を受けることがゴールではなく、その後の資金管理が事業成功の鍵を握ります。融資を受けたら、まず資金の使い道を明確にし、計画的に運用することが大切です。
例えば、初期費用が大きい場合でも、運転資金を確保するための余裕を残しておくべきです。事業開始後は収入が安定するまで時間がかかることが多いため、資金不足に陥らないよう慎重に管理しましょう。
また、定期的に収支計画を見直し、計画から外れている部分があれば早めに修正を加えることが重要です。さらに、必要に応じて追加の融資を検討する際には、実績を積み重ねて信用力を高めておくと、次回の審査がスムーズになります。
初めての融資は不安が多いかもしれませんが、適切な準備と計画があれば問題なく進められます。この記事で紹介したポイントを押さえ、自分に合った融資を見つけ、計画的に資金を運用してください。必要であれば、専門家や金融機関に相談しながら進めることで、よりスムーズに融資を受けることができるでしょう。
融資を通じて、あなたの目指す事業の第一歩を踏み出してください!