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「好き」を軸に就活して大失敗した話

はじめに

私はいわゆる「22卒」という代にあたる大学4年生です。通っているのは早慶の次くらいに有名な私大で、正直就職活動では有利な方でしょう。しかしながら、私は大学卒業後に就職という道に進まないことを決めました。今からお話しするのは、その決定に至るまでの経緯であり、私のちゃらんぽらん就活記です。

就活軸とは

就活を経験している多くの方が聞いた経験をお持ちなのではないでしょうか。就活における「軸」とは、働く企業を選ぶときに最も重視するポイントのことです。

自分が興味のある職種であること、社内の人間関係が良いこと、給料が良いこと、結婚出産しても働きやすいところ、社会貢献度が高いところ・・・

挙げればキリがないですし、本当に人によって様々だと思います。欲張る人もいれば、そもそもそこまで気にしない、入れればどこでもいいという人もいるかと思います。

そんな中で、私が決定した軸は「好き」でした。

その会社を好きかどうか。スフレパンケーキのような軽さと甘ったるさですね。そもそも注釈を入れておくと、私は計4社しかエントリーしていません。50社100社受ける人がごまんといる社会では、かなり狂った数字です。ただこれには言い訳があって、私の姉が1社しか受けないで決めたのを前例にしてしまったのです。また、高校、大学と推薦入試で入ったので、たくさんエントリーするという行為に違和感があったのだと、供述しておきます。

話を戻しましょう。「好き」という軸を決めたきっかけは、就活を始めて間もなく参加したオファー型イベントです。企業から声をかけてもらえるので楽だなと思って参加して、なんと全社からオファーを頂きました。(そういう場での猫かぶりは得意でした。)そこで出会ったある企業の1次面接で、面接担当者にこう言われたのです。

「何か良いものを持ってるのは分かるんだけど、うちの会社とマッチする感じが見えない」

当たり前です。だってとりあえず受けてみただけですし。でも、それまでぼんやり「とりあえず就活するか~」くらいだった頭は、「入りたい企業を探さないと」という考えに変わりました。ついでにこの時期、そこそこ働いたら自分で何かお店を開こうという夢ができます。

(ちなみにその面接は「1次はとりあえず合格にするから、2次までに固めといて」ということで通ったのですが、固まらなかったので「院に行く」と大嘘ついて辞退しました。※良い子は真似しないように。)

私の軸の決定

さて、入りたい企業。色々考えて、結果的に「パソコンカタカタ系の仕事は嫌だな」という考えが膨らみました。お洒落で素敵で人と接する仕事がしたい・・・そこで行き着いたのが「接客業」です。

それまで接客業は、何となくアルバイトのイメージがありました。でも実際アパレルや飲食店で正社員として働いている人はたくさんいますし、ブラックとも聞きますが、私は拘束時間や給料よりも、業務内容に軸が寄ってきていたんですね。

でも、接客できればいいわけでもありませんでした。いくらお客さんと話ができても、その店に愛着が無ければ楽しくないと思ったんです。つまり、「好きなブランドや好きなお店で働くのがベストじゃね?」という考えに落ち着いたわけです。

はい、「好き」という就活軸が爆誕しました。

あらかじめ、「好き」軸のデメリットをお伝えしておきます。

・視野が狭まる
・その視野は客側の視点から成る
・「好き」にも大小がある
・落ちたときのダメージが大きい

ひとつずつ、見ていきましょう。

・視野が狭まる

「好きなブランドを挙げてください」と言われて、何個挙げられるでしょうか。50、100挙げるのはほぼ不可能だと思います。また、頑張って20挙げたとして、その中にはただ名前を知っているだけのブランドもありそうです。

さらに私の場合、アパレル・家具・雑貨のブランドが多く上がったのですが、コロナ禍で業績を落とした小売店・企業が数多くあり、そもそも新卒採用を行っていないところもありました。

業界を軸にすれば、もっと多くの選択肢があったと思います。でもそこに「好き」というエッセンスをちょんと垂らしただけで、一気に候補が絞られてしまいました。働くうちに好きになることや、今まで知らなかっただけで好きな雰囲気の会社は山ほどあったでしょう。後悔先に立たずです。


・その視野は客側の視点から成る

私の「好き」は、とどのつまり「欲しい」の「好き」です。そのブランドの商品が好き。そのお店で買い物がしたい。客側、消費者視点でしかありません。もちろんそこで働いている人が素敵、とか同僚とも話が合うだろう、という考えもありましたが、二の次でした。

しかも先に述べたように、接客業や販売職は見た目のキラキラ度と相反して、想像以上にキツイ条件を強いられることがままありそうです。ほとんどメリットしか話されない企業説明会だけで「もしかして…?」と思ったときもありました。もちろん実際楽しく働いている方が大勢いますから、就活を辞めた今でも思いを馳せることはありますが、何より好きな店を嫌いになってしまう可能性の方が私は怖くなってしまったのです。


・「好き」にも大小がある

「好きなブランドを挙げてください」で最初に想起されたブランドと、20番目に想起されたブランドは、確実に好き度が違いますよね。私は視野を狭めるのが得意なので、「そこそこ好き」を排除してしまいました。また、好き度の大小でエントリーシートへの力の入れ具合も変わってしまいます。

さらに、給料を軸にしていたら最低年収○○○万円というように決めやすいですが、好きの下限は決定が難しい。下限に設定したブランドも、悩みまくると「ここ本当に好きって言えるのか?」みたいな状態になってしまうので、好き度=志望度は本当に危険です。


・落ちたときのダメージが大きい

これは本当にきつかったです。「落ちても好きな気持ちは変わらない」と自分や母に宣言してはいましたが、いざESで落ちたりするともう目に入れるのもしんどくなります。いまだに足を踏み入れるのが怖いところもあります。

でもちょっと考えれば当たり前なんですよね。好きな人に告白して振られたら、その人の態度がどんなに以前と変わりなくても、自分は勝手に気まずくなって避けたりしちゃう。

「好き」を軸にしていた私にとって、志望企業からお祈りメールをいただくことは、本気で振られるくらいのダメージだったんです。

他のところに軸を置いていてももちろんお祈りメールはショックだと思いますが、また恋愛に例えると、お金持ちでしっかり者のA君に振られちゃったから、ちょっと危なっかしいけど羽振りがいいB君を狙ってみよう、みたいなことができるのではないでしょうか。またそもそもBtoBの企業を志望していたら、その企業を日常生活で目にする機会もないでしょう。


以上が私の「好き」軸の決定過程と、それがいかに大きな失敗だったかの反省の記録です。次に、就活終了までの道のりと今の私についてお話ししようと思います。

就活をやめる決定

私が就活した時期は、サークルを引退した11月下旬(この時点で遅い)から翌年の5月初旬の半年弱です。この間インターンには1社も行きませんでしたし、メンター的なやつも活用していません。

もともと父がリーマンショックの時期に自殺していたり、母も非正規で働いていたり、姉も就職してからげっそりしているのを見ていたので、他の就活生より就職に対するアグレッシブさがありませんでした。

それが祟って、最後に受けた第一志望の家具メーカーの一次面接で、自己PRで頭が真っ白になるという大やらかしをします。いくら志望企業が少なくても、面接練習はしておくべきでしたね。。

ただ、前半にぬるっと書いたのですが、昔から「自分の店を持つ」という夢があり、就活の中でその思いがなぜか大きくなっていきました。そこで、「最後に受けた企業に落ちたら、就職しないで自営業者を目指そう」という考えにまとまったのです。結果、面接の1週間後に無事祈られ、就活終了となりました。

それから今日まで、「店」について考えています。ひとまず、以前から趣味でやっていたアクセサリー作りに本腰を入れて、ネットショップをオープンしました。覗いてみてください。

でも、実店舗として開きたいのは、アクセサリーショップではなくカフェです。手軽に味わえる非日常感と安らぎに、大学生になってから幾度となく救われてきたから。本当はもっと考えていることがあるのですが、またいつかお話ししたいと思います。

さいごに

私がこのnoteを書こうと思ったのは、今現在就活している人に、先人の失敗を伝えたかったから、また、就職しないという選択肢もあるということを伝えたかったからです。

大手企業に就職して心を病んでしまう人もいれば、名も知らなかったような企業に就職して楽しく働く人もいます。転職だって結構簡単にできる世の中ですし、起業する人だってわんさかいます。また、大学院に進んでそのまま研究者になったり、新規就農したり、旅に出たり、ニートになったり、環境や親に左右されることもあるかと思いますが、想像以上に選択肢はたくさんあります。80歳で絵を描き始める人だっているんだから、22歳そこらで人生が決まるわけないです。

とにかく自分が生きたいと思えるような道に、このnoteを読んでくださった方が進めることを祈っています。




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