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木村喜由のマーケット通信【週2回配信】

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NPO日本個人投資家協会理事 テクニカルアナリストである木村喜由による 週二回発行のマーケット通信 株式市場や世界情勢に関するマーケット情報を配信します。
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記事一覧

ウクライナ不在の停戦交渉、トランプは愚か、プーチンはどん詰まり?

ウクライナ不在の停戦交渉、トランプは愚か、プーチンはどん詰まり?

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2225

欧州株は復興需要期待で上げ、日本株は防衛費増を見込んで上げる

株式市場が投資家の勝手な思惑で動き、話題先行で銘柄が選択されるのは毎度のことだが、これほど空虚な理屈で動くのでは開いた口が塞がらない。
もちろんウクライナ停戦交渉の話である。
停戦交渉とは戦争当事国同士が話し合うのが当然のことで、今回の米ロ外相会談のように、同盟国でもなく、支援の軍隊も

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10―12月期決算は良好な着地、無視できないインバウンド効果

10―12月期決算は良好な着地、無視できないインバウンド効果

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2224

純利益は前年同期比10%増益、SBGを除くと16.5%前後に

225銘柄の10―12月決算発表はあと2社を残すだけ。
純利益合計は現時点で12兆8719億円・10.2%増。
最終では200億円上乗せ。
前年同期が225社で11兆7051億円と、過去最高の水準だったが、それをかなり上回った。
しかも大きな振れがあるSBGが、前年の9500億円黒字に

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ホンダ・日産の破談、あまりの安値提示に大株主ルノーが激怒

ホンダ・日産の破談、あまりの安値提示に大株主ルノーが激怒

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2223

本気で資本参加を望んだホンハイ、
驚いた経産省がホンダに統合をせかした

「思い出はモノクローム、色を付けてくれ」といえば大瀧詠一の名曲『君は天然色』の一節。
日産とルノーの関係は、長い目で見れば成功の部類で、10年前にカルロス・ゴーンがアジア全域での生産増強・開発投資削減の急ハンドルを切るまでは、経営史の教科書に載るほどの事例だった。しかしその後

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自分の足元に銃弾を撃つトランプ

自分の足元に銃弾を撃つトランプ

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2222

隣国への高関税、自分の支持者にも中間選挙にも大打撃

トランプは有言実行の人物である。
発言を100%実行するとは限らないが、よほどのことがない限り、発言に即した行動を取る。
その意味では信頼できるともいえる人物だ。
なので、今回の関税引き上げ発表にも、延期の発表にも驚いていない。
とはいえ20年に自分で結んだカナダ・メキシコに対する非課税協定UC

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火星の逆行―今回は意味が重い

火星の逆行―今回は意味が重い

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2221

シリアの革命、米国の山火事、DeepSeekショックなど事件が連発

筆者は基本的には科学的・論理的な考え方が好きなのだが、実際問題として世界はまったくその枠に収まっていない。
天災や突発的な大事件とか、権力者やカリスマ的人物の気まぐれ的行為、あるいは一国民の感情や嗜好に起因する爆発的な出来事に満ち満ちており、予想は不可能だ。
だが、これらにより大

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データセンター投資、大手ITにも減損処理懸念

データセンター投資、大手ITにも減損処理懸念

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2220

DeepSeekショック、生成AI投資額に大幅減額観測

最近生成AI関連の題材でコメントをしてきたので、昨日以来のDeepSeekショックには驚いていない。
むしろ市場がこの種の情報に反応するのが遅すぎたという思いである。

筆者の見るところ、生成AI関連の下げはまだ序盤である。
徹底的に買い上げられた。
将来の成功を過大評価し、人気化した関連株

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AIに78兆円投資だって?孫さん、大損するぞ

AIに78兆円投資だって?孫さん、大損するぞ

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2219

トランプになって唯一日本によかったことは自動車のEV化へのブレーキ

2217号でNVIDIAのGPUビジネスに未来がないことを指摘したが、早速今朝の日経朝刊がこのテーマで大きく報じている。
同社1強を打ち崩す有望ベンチャーとして4社が掲載されているが、共通認識としてテンストレントCEOのジム・ケラー氏が述べている「GPUはAIの最適解からほど遠い

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巨大な風車がグルグル回り、大嵐を生み出す第2期トランプ政権

巨大な風車がグルグル回り、大嵐を生み出す第2期トランプ政権

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2218

合理的でなく大多数が反対する思い付きの政策が増加

筆者が大学時代に一番感銘を受けた本は77年刊中公新書、高橋康也『道化の文学』である。
経済学原論で、人が生きていく上では、一見無駄な娯楽やお笑いも必要で、社会構造の細部に盛り込まれていると教わった。娯楽を排除しようとしたソ連でもアネクトードという冗談小話が頻繁に語られた。
この頃はサザンやYMOが

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テスラが火の車だから、マスクはトランプに近付いた

テスラが火の車だから、マスクはトランプに近付いた

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2216

トランプ発言、ハードル多く額面通りには実現しない

来週の月曜日がトランプ2期目の就任式だ。
本人は就任初日から大統領令を連発すると息巻いているが、一応は法案の形にする必要があり、就任前から法務当局が準備しているとは思えないので、まあ早いものでも法案にするまで2-3週間、それから実施準備に掛かるので、現場で実施されるのは3月以降ではなかろうか。

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渋滞学でマーケットを読むと

渋滞学でマーケットを読むと

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2215

株価の天井、大底の前後に特徴的な出来高パターン

連休シーズンになると道路の渋滞が話題になるが、最近それでよくテレビに呼ばれているのが「渋滞学」が専門の西成活裕氏。
メガネで禿頭、気さくで人当たりもよく、人気者になってしまった。
昨年末日経夕刊の人物紹介コラムに連載されたのを見た方も多いだろう。
58歳になったばかりだが09年東京大学先端科学技術研

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自動車業界再編のカギは車載OS

自動車業界再編のカギは車載OS

木村 喜由の『マーケット通信』Vol.2214

統合のメリットは車台や部品統合など川上部分が大半

ホンダと日産の統合は、数兆円もかかる車載ソフト開発を単独で行うことの馬鹿らしさを思えば必然の結果である。
前にも書いたが自動車は非常に個別性、地域性が強いため、スマホのように同じタイプの製品を全世界に向けて超大量生産して一気に売り切るようなものではない。
多様な市場に多様な車を提供し最低10年間の

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2025年は春にかけて大荒れとなる公算大

2025年は春にかけて大荒れとなる公算大

木村 喜由来の『マーケット通信』Vol.2213

生成AIでノーベル賞を受けるべきだったのは2人の日本人研究者

歴史というものは、微妙なポイントにおける運不運とか、リーダーの気まぐれなど偶然の要素が大きく関わっている。
株式市場でいえば、過去2年間猛烈な生成AIブームが席巻しているが、まぐれ的要素が重なったことが非常に大きい。
今の状況を正確に言うなら、生成AIブームというよりも、「生成AI投

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