茶道
学生時代から数年間、茶道を習っていました。 とても魅力的な老齢の先生で、その先生に会うためだけに通っていて、 お茶のお点前事態は二の次、三の次だったように思います。 お茶室の設えとお茶道具の美しさや、亭主の登場と居住まい、お湯の沸く音。。。 それが深い時間芸術であることは認識していましたが、 風炉の灰形(景)をつくっても、それが易の卦であるとは理解せず、 五行棚の前でお茶を点てても、その宇宙観もよくわからずにいました。 手順を覚えて、習った通りに再現して、楽しいお話を聞き、お菓子とお茶をいただいて帰る。というのが私の茶道でした。 そんな薄い関わりでしたので、日本の美とか、伝統とか、多分知っておく方が良いことぐらいにしかとらえていずに 老先生が亡くなってからは足も遠のき、お茶との縁も途絶えてしまいました。 それが、東洋哲学や気学、易を学ぶ中で、お点前とは「そういうことだったのか!」と目から鱗。 お茶は陰陽五行の世界観を空間と時間と五感を使って再現するものだったのだと理解できました。 茶道の中には、華道、書道、香道、能の美学が禅の哲学が詰まっていますが、 それらを統合した総合芸術ではなくて、五行の調和を表すのに 其々もまた陰陽五行の世界観のもとに発展していった華道や香道を取り入れていたのだと改めて気がつきました。 確かに気学や易に親しみを覚える私の視点から見たお茶ではありますが、 この私にとっての新発見は茶道やその他の日本の伝統文化をとても身近に引き寄るキッカケとなったのです。 茶室が陰陽五行の宇宙観ならば、その場に身を置いてお茶を一服いただきたいと思いました。 茶室のつくりも五行に従い、床は北にして、にじり口は東南隅と方位が決まっています。 日本料理同様、どこまでいっても、どこを切ても陰陽五行の世界なのです。