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毎年ゴールデンウイークに想うこと

ゴールデンウイーク真っ只中です。好天続きで、全国さまざまな行楽地が賑わっている様子がメディアから流れてきます。そこには、家族連れ、親子連れ、カップル、仲間同士……。たくさんの人の笑顔が映し出されています。みんな楽しそうで、幸せそうで、こっちまでウキウキした気分を分けてもらえるような気がします。

私の場合は仕事柄、GWに限らず、土日も祝日も連休も関係ない生活を送っています。例年この時期には、なぜかエンディングに立ち会う機会が多いのですが、今年の場合は、現時点で訃報は届いていません。

それでもやはり、世間の人たちが楽しい時間を過ごしているあいだにも、悲しい状況、つらい状況にある人たちからSOSが入ってきます。

・親や配偶者の介護をしている人
・入院先から退院勧告を受け、転院先を確保しなければならない人
・親を入所させるための、予算に合致する施設を探し回っている人たち
・兄弟姉妹間で争族に陥っている人たち
・親子関係が崩壊した状況下で、親が倒れたという連絡を受けた人
・入院中の親の延命措置を受け入れるかどうか、決断を迫られている人

ちょっと話が変わりますが…、

・入社一ヶ月が経過して、五月病にハマッてしまった人たち
・転職を考え始めた人たち
・就職した会社がブラック確定で落ち込んでいる人たち

テレビ越しに見る楽しそうな人たちはみな同じように見えますが、ネガティブな状況下の人たちは、みなそれぞれ固有の苦しみに苛まれています。

特に、自分自身のことではなく、家族の問題で芳しくない状況にある人たちのことを想うと、他人事とは言え、重たい気分になるものです。そんな人たちのこれからの仕事や家庭や人生が、一日も早く、少しでもベターになるよう願うしかありません。
 
私は20年近く、社会福祉士として多くの相談に対応してきました。医療や介護のこと、財産まわりのこと、親子関係のこと、エンディングのこと等々。いつしかその数は、電話相談は累計1万件を超えました。実務代行等の個別支援は約2千件になります。
 
さまざまな案件に携わるなかで、今の世の中でいちばん大変で過酷な状況にあるのは、認知症や精神疾患の身内をケアしている人だと思っています。それは例えれば、出口のない真っ暗なトンネルを黙々と歩いているようなもので、患者本人よりも介護する側のほうがおかしくなってしまいかねません。にもかかわらず、来る日も来る日もケアを続けざるを得ない人たち。その心の痛みや哀しみを少しでも軽くして差し上げたいと思いながら活動してきました。
 
私の活動理念の基本は、「相談者第一」です。医療や福祉や法律といった世の中の基本スタンスは当事者第一ですから、そこが大きな違いです。なので、もしも今、本当につらい状況にある人たちがいたとしたら、こんな言葉をかけて差し上げたいと思っています。
 
「もう十分に頑張ったでしょう?施設に預けましょう。おカネがない?大丈夫。予算内で賄える施設を見つけてあげますから。そして一日も早く、自分の人生を生きてほしいと心の底から願っています」と。
 
読者のみなさんも、ちょっと冷静になって考えてみてください。何年か先に、もしもあなたが認知症や精神疾患に罹患してしまったとします。その時あなたは、自分の娘さんや息子さんに自分のケアをしてほしいと思いますか?
 
おそらく、答えはNOではないでしょうか。まちがっても、わが子にケアしてほしいなどと、私は思いません。だから、今みなさんがケアしている親御さんにしても同じはずです。その人がまだ元気だった頃、自分の病気のことで、かけがえのないわが子に負担をかけるようなことは決して望んだりしていなかったと思うのです。
 
ましてや、自分のことでわが子の仕事や家庭に支障が及んでしまうような事態を望んでいたわけがないじゃありませんか。職場や学校を休んで介護してほしいなんて、願ったはずがありません。

むしろ逆で、あなたには自分の人生を自由に生きてほしいと願っていたはずです。だから、施設に預けることに引け目や後ろめたさを感じる必要は一切ありません。親御さんのためにも、ためらうことなく施設さがしを始めるべきです。
 
そうすれば、たまに見舞いに行ったときに、今以上にやさしい気持ちで接することができるようになります。穏やかな時間を共有することができるようになります。最終的に、親御さんとのいい思い出だけが残るはずです。


だから……。
老親問題に限らず、いま本当に過酷な状況にあって、自分の人生がどうにかなってしまいそうだと苦悩している人がこの記事を目にしたとしたら、ためらうことなくコンタクトしてきてください。

もう十分に頑張ったんじゃありませんか?
少しは誰かに甘えていいんですよ。
甘える相手を思いつかない人は、もしも私でよければ遠慮なくどうぞ。お力になれるかもしれません。少しでも早く状況が改善するよう、一緒に考えたいと思っていますので。


ゴールデンウイーク中とは思えない重たい内容になってしまいましたが、毎年この季節に想っていることなので、ありのままの気持ちを書かせてもらいました…。

【ご参考】
2022年11月13日 | ウィークエンド・ケアタイム『ひだまりハウス』~うつ病・認知症について語ろう | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93
 
2022年11月20日 | ウィークエンド・ケアタイム『ひだまりハウス』~うつ病・認知症について語ろう | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93

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