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シニアのためのワンストップサービスカウンター

前々回から、百寿コンシェルジュという認定資格について紹介しています。シニアビジネス究極のひとり起業モデルのお話です。

欧米では、ひとの幸福に関わるプロフェッショナルとして5人の専門家が必要という認識が定着しています。まず、私たちの身体的幸福をサポートする医者です。また、精神的幸福をサポートするのは牧師や神父などの聖職者とされています。同様に、弁護士がサポートするのは私たちの社会関係的幸福です。資産まわりのことはフィナンシャルプランナーがいます。

そしてもうひとつ、私たちの日常生活上の幸福をサポートしてくれる重要な国家資格。それがCertified Social Worker。「サーティファイド・ソーシャルワーカー」と称されるプロフェッショナルなのです。日本では、社会福祉士と呼ばれています。

日本には、現時点で社会福祉士が26万人います。しかしながら、医療の世界における最上位資格者である医師(30万人)と比べ、社会福祉士が人数の割りに、いかんせん目立ちません。世界に類を見ない圧倒的な超高齢王国ニッポンでありながら、いったいこの認知度の低さは何なのでしょうか。自戒の念をこめて、叫びたいくらいです。

「社会福祉士よ、一体あなたたちはどこでなにをしているのだ!」

2000年に介護保険がスタートすると決まったとき、いよいよ社会福祉士の時代が来ると先読みして、私は会社勤務をこなしながら2年間の通信教育(2ヶ月間の現場実習を含む)を経て、国家試験に臨みました。合格した私は、夢と希望に満ち満ちてライセンスを定期入れに入れて街を颯爽と歩きました。ところが、いざフタを開けてみると、いい意味でも悪い意味でも、世間の注目を集めたのは介護支援専門員(通称、ケアマネジャー)なる都道府県の認定資格者たちでした。

社会福祉士はと言えば、特定の医療機関や福祉施設で黙々とルーチンワークを続けているか、自治体色の強い社会福祉協議会で、ひたすら杓子定規なオペレーションを几帳面に反復しているかで、地域高齢社会の救世主になり損ねた感がありました。

スクーリングで出会った仲間が勤務する病院を訪ねたとき、合格して社会福祉士となった彼が、中年の看護師からヒステリックにギャアギャア言われながらアゴで使われているのを見たときのショックは、いまも忘れることができません。“福祉界の最高峰”を舐めてんのか!と思ったものです(笑)。

いま一度、福祉の分野でがんばっておられるみなさんに、ちょっと思い出してもらいたいことがあります。みなさんが福祉の世界を目指したときの動機は何だったのでしょうか。ちょっと照れくさいですが、私の場合は、運悪く社会的に弱い立場になってしまった人たちが、少しでも健やかで幸せな日々を過ごしてもらえるように、相談者それぞれに対して、必要な社会資源を確保して提供してあげたいという理想を掲げていたものです。

縦割り行政のわが国では、特に高齢者が保健・医療・福祉等のサービスを必要時に必要なだけ確保することが困難であることを、私の両親のケースで痛いほどわかっていたからです。役所の各窓口はバラバラだし、医者も弁護士も自分の専門外についてはコーディネートなんてしてくれません。

要するに、問題を抱えている利用者側があちらこちらを回って個別折衝をしなければならないのが日本という国なのです。だから、これを変えたいと思ったのです。社会福祉士になって、自分が窓口となって、相談者に必要な社会資源またはサービスを取り揃えて差し上げたいと思ったのです。ひとことで言うならば、円滑な老後を実現可能にする「ワンストップサービスカウンター」になろうと考えたわけです。

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