認知症ケアを勉強する価値
Dementia care(認知症ケア)のテキストを1冊読み終えました。あと2冊を読んで、しっかり復習して12月の試験に臨みます。
せっかくですから、海外受験合格者日本人第1号のポジションを取りに行きます(もしかしたらもうすでにいるかもしれませんが。。)
もちろん合格が最優先ですが、それ以外にも認知症ケアを勉強する価値は大きいです。1つ目は、認知症ケアを語るために必要な英単語を覚えられることです。
〝日本の介護を世界に届ける〟ためには、国際舞台でプレゼンを行う必要があります。私自身、日本語でのプレゼンも苦手なのに、ましてや英語なんてと躊躇しますが、これは避けては通れない道だと覚悟して少しずつ訓練をしています。
介護クラスの教師として、英語を使って授業を行うのも、その為の訓練です。自分の英語力とプレゼン力の稚拙さは十分に理解しています。それに比べて、フィリピン人のプレゼンは本当に上手です。英語力も素晴らしい。英語力とプレゼン力は日本人がフィリピン人から学ぶべきスキルだと思います。
ただ、私のように目立った学歴もなく、一流企業や国際機関に勤めた経験もない、普通のイチ介護士が、たどたどしい英語を使って国際舞台でプレゼンを行うことで、現場で頑張っている介護士の皆さんに勇気を与えられるのではないかなと、勝手に使命感をもって、訓練を続けています。
〝普通の介護士でも世界に出ていけるんだ〟といった道を作りたいです。12月までに認知症に関わる英単語をしかっりと覚えていきます。
【外国人介護士の気持ちに寄り添う】
認知症ケアを勉強する2つ目の価値は、日本の介護を学ぶ外国人介護士の気持ちに寄り添えることです。外国語をつかって介護の勉強をする。ある意味、来日を目指して勉強している外国人介護士と同じ状況です。
受け入れ施設にとっては、外国人介護士の日本語力や介護のスキルが大切なのは重々承知しています。でも、逆の立場になって勉強してみると結構大変ですよ。
もちろん、外国人が日本で働くのだから日本の条件に合わせなくてはなりません。しかし、海外から介護士が必要なのは日本人です。彼らがどのような気持ちで日々勉強しているのか、日本人も彼らと一緒になって勉強することで分かち合えるのではないでしょうか。
【認知症ケアと異文化理解力】
昨日、異文化理解力のセミナーを行いました。導入編、基礎編、実践編と3カ月にまたがって行ったセミナーもようやく完結しました。
オンラインなので視聴者の皆さまの反応がよくわかりませんが、自分としてはやり切って満足しています。願わくば、視聴していただいた皆さまに多少なりとも学びを得てもらいたいなと思いつつ、私自身にとってはプレゼン力を鍛える訓練でもありました。
そんなわけで、ここ最近は、認知症ケアと異文化理解力の勉強を交差するかたちで行っていました。すると、面白い発見がありました。
【認知症とは】
認知症には、中核症状と行動・心理症状(BPSD)があります。中核症状とは、脳の認知機能にダメージが与えられて起こった症状です。記憶障害、見当識障害などです。脳の認知機能へのダメージですので、中核症状は基本的に治りません。
一方で、行動・心理症状(BPSD)は中核症状の結果生じた症状、例えば、徘徊や攻撃的な行動などです。これらの行動・心理症状は、ケアをする人たちが、中核症状を理解し、環境を整えることで改善することが出来ます。
改善できない中核症状と、改善できる行動・心理症状をごちゃごちゃにせず、体系的に理解するのが認知症ケアの基本だと思います。
【異文化理解力とは】
異文化理解力の定義は下記になります。
〝相手の発言や行動の真意を理解すること、そして、自分の言動を相手がどう捉えているか理解すること。育った環境や価値観が異なる人と働くとき、行き違いや対立を避け、確かな信頼を築く技術〟
各国それぞれ文化背景が異なります。意識しているしていないに関わらず、人は皆、育ってきた文化背景に影響を受けて、自らの価値観を形成しています。
その人の文化背景やそこから生じた価値観は変わりませんが(たまに価値観がガラリと変わってしまう人もいるようですが)、相手の文化背景や価値観を理解することで、人間関係は劇的に改善します。日本人同士でもそうですし、文化の異なる外国人とでしたらなおさら効果は大きいです。
日本人と異なる外国人の言動1つ1つを、単体で捉えて対処しようとすると無限ループに陥ってしまいますが、その根底に流れている文化背景が理解できると、割と簡単に対処できます。
ただ、異文化理解力の場合、自分の育った文化の輪郭をしっかりと意識しないと、他国の文化と何がどのように異なるのかが分からなくなります。
結果として、文化の違いは意識されず、全てその人の個性によるところと、短絡的な判断と対処になってしまいます。
日本人であれば、まずは日本の文化の輪郭を意識して、その上で、外国人の文化背景を理解していくのが大切だと思います。
昨日のセミナーでも、〝日本の文化が世界から見て極端に偏っていることがわかり、目からうろこが落ちる思いでした〟と感想をいただきました。
【認知症ケアと異文化理解力の共通点】
認知症ケアも異文化理解力もよく似ています。自分とは異なる、認知症高齢者や外国人の言動の表面的な部分だけを見るのではなく、その言動の背景にある、認知症でいえば中核症状、外国人であれば文化背景を知ることで、より豊かな人間関係を築くことができきます。
別々の分野を同時に勉強をすることで、いろいろな発見がありますね。認知症ケアと異文化理解力について、さらに学びを深めていって、介護業界に還元していきたいと思います。頑張ります!