Noteで量子力学や相対性理論についての様々な解説記事を書いてくださっていて、確率統計・情報理論ベースからの量子力学の本も書いてくださっている
「東北大学 大学院理学研究科 物理学専攻
量子基礎物理学講座(素粒子・宇宙理論分野)
堀田 昌寛(※)」
先生のNoteの記事をまとめました(自分用のメモもかねて)(ง'̀-'́)ง
どなたかの参考になりましたら、とっても嬉しいです( *ˊᵕˋ* )
※極限宇宙(学術変革領域研究A)
C02班量子ホール系による量子宇宙の実験
・記事中の書籍のご紹介
〇確率分布と情報量・情報理論
・波動関数とは何か?
そもそも波動関数や量子状態は、単に「確率分布/確率密度関数の ”集合(束)”」に過ぎない、というお話。とっても重要( ˊᵕˋ )
状態ベクトルや、密度行列、演算子なども、単に表記方法の違いだけで、本質的には確率分布のこと。
・量子的な混合状態が現れるのは、人間の無知のせいか?
「主観」確率と、「客観」確率のお話です。
・量子ベイズ主義
「主観確率」というよりも、
「確率分布の変化(事前確率分布から事後確率分布への変化)」
という情報幾何的な解釈についてのお話。
・物理量が作用素になるのは、古典力学でも同じ。
ポワソン括弧とハミルトニアン形式のお話。
ポワソン括弧はフィッシャー情報量/フィッシャー計量/共分散行列と同じ、「計量の定義」に使われる形式によく似ていて、
ハミルトニアン形式は、シンプレクティック構造と関係しているので
超弦理論や量子計量・情報計量による情報幾何とも関係してきます。
※注:(指数型分布族、特に純虚指数関数で定義されている場合の)波動関数に対するフーリエ変換で、座標表示と運動量表示を入れ替えることができる、ということとも関連しています。
「座標」と「波数(物理量や状態変化の速度。
座標とは逆の物理次元を持つ)」の関係性ですね。
フーリエ変換によるスペクトル分解(空間座標に限らず、何らかの物理量の「座標」を変化させる要因・原因・因子としての波数)と、量子調和振動子、複素平面波の「集合」としての、確率分布・確率密度行列、という解釈です。
指数関数の「肩に乗せる」という操作をすると、
「指数型分布族として特徴づけられる」確率密度関数・確率分布になる、というときには
「指数写像 ⇔ 対数写像」の双対性になっている、ということなので
「確率量(確率測度の空間)
⇅
(確率事象に対しては「自己」、確率分布に対しては「平均」)
情報量(の空間)」 ※平均情報量=シャノンエントロピーのこと
「確率統計 ⇔ 情報理論」
ということでもあり、
「肩に乗せる」 ”前” の値・関数・数式は、
「情報量を表している」
(なのでexpをとる/指数写像すると確率分布に戻る)
という解釈も可能だと思います。
※「演算子」も「作用素」も、中身は「テンソル」なので、
ある意味では「確率密度行列」と同じなので、
単なる表記上の違いに過ぎない、
ということでもあると思います。
「プロセス-状態の双対性」ですね( ˊᵕˋ )
・ニ重スリット実験: 量子力学では、意識を向けると電子は粒子になり、向けないと波になるのか?
波動関数とは「物理量の確率分布の集合をまとめて1つの数式に表したもの(物理量/確率変数ごとに、確率密度関数が異なっていて、それを集めたもののこと)」だよ、というお話。
2重スリット実験とデコヒーレンスについてもわかりやすいです(. ❛ ᴗ ❛.)
・量子力学のベリー位相と密度行列
確率分布(確率密度関数)として記述しても、
波動関数として記述しても、
状態ベクトルとして記述しても、
確率密度行列として記述しても、
単なる表記の違いに過ぎない、というお話です。とっても重要(∩ˊᵕˋ∩)
※個人的には、非可換な物理量の組み合わせ(行列の非対角項)や、干渉項を扱う都合上、確率密度行列(テンソル)表示の方が便利かな、と思っています。
また「確率事象」自体が「離散化※※ & 直交化(排他的・i.i.d.)」されているので、その点でも「連続的な」関数形式よりも、「離散的な」行列/テンソル形式の方が、イメージしやすそうです。
ただ、ブロッホ球のイメージも(ヒルベルト空間を)理解しやすいので、「状態ベクトル」形式も良いですよね(˶ˊᵕˋ˵)
※※量子速度限界や不確定性原理によって「実験的に区別/識別可能な物理量」は連続ではない。
一方で、現代測定工学の技術では、精度の桁数が足りていないので、連続として扱っても差支えない。
なので、連続でも離散でも、どっちでもいい。
・量子力学の物理量は複素数では駄目なのか?
・物理量の相関の強さと物理操作の多様性
相関は強すぎても弱すぎてもダメで、「人間原理」のように、
「可能な物理操作の ”種類が最大” になるように」
絶妙な調整をされているのが「量子力学」
というお話。
科学哲学的には、最大エントロピー原理や、自由エネルギー原理や、
変分原理などの情報理論的アルゴリズムの側面も絡めて、
非常に興味深い・奥深いお話です(*'▽')
※ここに「自然界のすべての物理量
(何らかの数学的空間・パラメータ空間中の ”座標”)には、
必ずシンプレクティック構造を成す、もう一つの対の物理量
(シンプレクティック共役な物理量:”波数”≒”座標”の物理次元の逆数)
が存在する」という条件(ルジャンドル変換による双対な空間の存在)や、
「自然界のすべての物理量の確率分布は、
必ず指数型分布族(またはそれらの混合分布)である」
という条件が加わった場合に、
相関や物理操作の多様性がどのように関係してくるのか
についても、(情報幾何学的な観点からも)興味深いと思っています(˶ˊᵕˋ˵)
※シンプレクティック構造によるシンプレクティック共役な2変数が、複素構造を持っている場合についても。
・量子テレポーテーションは、送信者から見たらモノの本当の瞬間移動である
量子テレポーテーションによって移動する量子情報は、
外部の系(環境系・世界全体など)から見れば、
異なる歴史の間の干渉(干渉項)によって転送されている、
というお話。とっても重要(. ❛ ᴗ ❛.)
そして、各観測者ごとに「(物理現象についての)描像」というものが、全く異なっているように、(局所的な、部分系でしかない、我々からは)「見かけ上は」そう見える、というお話。
・量子力学の線形性はどこから来たのか?
量子力学の線形性は、確率論的なもので、量子論固有のものではない、というお話(専門的です)。
・無限に深い量子井戸に潜む、物理学徒の数学への隷属とその開放
「純粋数学」としての性質と、
「現実・自然界」での性質(物理学)は、
(基本的には)別物だよ、というお話です。
とっても重要(. ❛ ᴗ ❛.)
・「確率0%」は、その事象が絶対起きないことを意味するのか?
「確率0%」の「測度零事象」についてのお話。
とっても興味深いです(ง'̀-'́)ง
人間のようなマクロスケールな構造
(遺伝子配列や、超マクロな分子構造など、
パリティ・キラリティ/カイラリティ・トポロジーなど、
トポロジカルな情報/位相幾何情報が存在する系や、
生体内に蓄えたネゲントロピーを消費することで、
変分原理/自由エネルギー原理/最大エントロピー原理などが規定する
「測地線」から乖離した「運動/行動」をとることができる生命系など)
については、そのユニークな性質
(【ミクロな】素粒子には【個性がない】のに対して、
位相幾何情報は【マクロな個体】ごとに【個性が存在】する)
から見て、個々の存在自体が「測度零事象」と言える場合、
個々が持っている自己情報量は「無限大」ということになり、
情報熱力学的には無限のエネルギー(のポテンシャル)
を持っていることになるので、ますます興味深いです(. ❛ ᴗ ❛.)
もちろん、そのエネルギーがポテンシャルから汲み出されるためには、
シラードエンジン(マクスウェルの悪魔)として
「具体的な物理操作」を行う必要があるので、
その「ネゲントロピー・情報量を消費して行う物理操作」に応じて
「確率分布から、ある単一の確率事象が選択される」
「その確率事象が持っている自己情報量に相当する、
ネゲントロピー・相互情報量を、確率分布/量子状態へ供給することで、
確率事象を励起している」
みたいな解釈の仕方もできるのであれば、
それもとっても興味深いと思っています(∩ˊᵕˋ∩)
〇マクロとミクロについて
・量子力学におけるミクロとマクロの境目
量子力学におけるミクロとマクロの境目は(おそらく)無いよ、というお話。
・「シュレディンガーの猫」の現代的な量子力学での理解
上の記事と同じで、マクロ系でも干渉効果はあるよ、
でも現代技術では、干渉効果が小さすぎて測定できないよ、というお話。
〇観測/測定・意識
・量子力学における「直接測定」と「間接測定」
「観測」「測定」という言葉についての「定義」のお話。
とっても重要です( ˊᵕˋ )
・擾乱の存在のために、量子力学における測定による変化は、単なる情報取得による変化とは考えられないのか?
「観測問題」など最初から無い、
単に「確率分布から、単一の確率事象が排他的に選択される」という、
確率論の基礎的なお話。
擾乱は、量子力学に限らず、古典力学にもあるよ、というお話も。
・古典確率とフォンノイマン鎖の「意識」の話
量子力学に限らず、確率論・確率統計全般において、
「確率分布から、単一の(排他的な)確率事象が選択される」
という事象/過程について、(数学的には未定義なので)
「”意識”によって引き起こされる現象」である
とする「公理」として出発する、というお話です。
とっても重要(˶ˊᵕˋ˵)
・何色でもない量子情報が作っている、この世界 -It From Qbit-
It From Qbit的な世界観と、
「意識」<私>「クオリア」を公理・原理・出発点とした、
「外部世界の情報解析」が科学であって、客観性にも限界がある、
というお話。
物理学・化学などの低物理レイヤーでもこのような主観性がある上に、
心理学・社会学・クオリア構造学のような高物理レイヤーも
「プロジェクションサイエンス」として、主観性が存在するので、
情報ベースの世界観であれば、それは必ず
「局所主観世界だけしか存在しない」ということになります(. ❛ ᴗ ❛.)
※リーマン幾何の空間や統計多様体などでの、
原点(座標系)選択の自由性とも関係しているのかも?
・量子力学における基底選択問題とフォンノイマン鎖の終端の「意識」
フォンノイマン鎖の終端である「意識」についてのお話。
括弧付きで「意識」となっているように、
必ずしも人間の意識に限定されません。
量子力学では環境系を含めた全系では、
純粋状態(部分系のテンソル積状態・テンソルネットワーク)しかとれない
ので、部分系である私たちが日常的に感じている
「(多世界ではなく)単一の世界(デコヒーレンス)」
を説明するためには、必ず
「意識(どの部分空間・部分座標からの視点なのか、
どの量子力学的な数式の項なのか、
どの確率事象なのか、
どの並行世界の枝なのかを指定する、
「ポインター」のようなもの)」
が必要不可欠ということですね。
※個人的には「意識」という言葉は、
臨床医学や脳神経学や心理学的な側面を帯びてしまうので、
科学的な定義・ニュアンスがまだ乏しい「クオリア」という用語を使って、
【クオリアポインタ】
(自己のクオリアが
並行世界の枝/確率分布/数式上の項/情報幾何空間中のうち、
どの枝/どの確率事象/数式上のどの項/どの部分空間にいるのかを、
指定する・指し示す・ポインティングするもの)
という呼び方をしています。
・量子力学におけるウィーラーの参加型宇宙
It from Qbit/qubit、すべては情報理論的な起源を持つ、というお話。
量子情報による時空の創発についても少しだけ。
・量子的重ね合わせ状態を1回で区別できるならば、その人はユニタリー性を破る存在である。
タイトルそのまま。
量子的重ね合わせ状態を1回で区別できるならば、
その人はユニタリー性を破る存在である、というお話。
〇実在性の否定・「量子力学での」状況依存性("量子力学での"コンテクスチュアリティ)
・超選択則と隠れた変数:量子力学における「実在」の否定について
タイトルのとおり「量子力学における「実在」の否定について」のお話です。
「超選択則」と「ホログラフィ原理」についても。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpsgaiyo/74.1/0/74.1_2904/_pdf/-char/ja
・マーミンの魔法陣と量子力学での実在性の否定
GHZ状態、コッヘン=シュペッカーの定理、マーミンの魔法陣のお話。
個人的には「ベル不等式の破れ」、EPR状態よりも、
GHZ状態(※)・マーミンの魔法陣の方がわかりやすかったので、
こちらの方がオススメです( ˊᵕˋ )
※GHZ状態の名前に含まれている「ツァイリンガー」さんは、
「ベル不等式の破れ」によって「ノーベル賞」を受賞したご本人です。
・「万物は量子情報」と「万物は素粒子」との整合性について
私たちが日常的に感じている「実在」というのは、
「物理量の保存則を基にして、近似的に想起しているもの」
に過ぎない、というお話です。
・ベル不等式の破れに与えられたノーベル賞
「局所実在性」のうち、
「局所性」がおそらく重要なので(因果律・マルコフ性と関係するため)、「実在性」の方を否定して考える、というお話です。
注:「実在性」の否定といっても、
「量子状態 ≒ 確率分布自体は存在している」ので、
「無」というわけではありません。
「決定論」を否定していて、
「量子確率論」を肯定する
(「無知」を原因とする「古典確率」
{つまり本質的には決定論} ではなく、
「本質的・根源的・自然界が持つ性質としての確率性」
を持っている「量子確率」)、という趣旨です。
「測定するまで値が存在しない/決定していない」というのは、
あくまでも(古典確率ではなく)「量子確率」による確率分布
になっていて、「(古典確率的な)決定論ではない」ということです。
・物理学における「情報」と「実在」
(かなり専門的なお話です)
ホログラフィ原理や、
双対性のある空間同士での「見た目」の違い、
「見た目」上での物理量・物理現象は局所座標系の取り方
(観測者の視点・状態や、観測者にとっての環境系の状態)
ごとに異なる
(エネルギー密度は無限遠方でのみ意味を持ち、
局所的には座標変換次第でいくらでも「見た目」上の値は変化し得る)、
などの重要なお話です(∩ˊᵕˋ∩)
ホログラフィ原理については以下の書籍がオススメです。
専門書としては以下の書籍がオススメです。
pdf資料は以下がオススメですが、超本格的な資料なので、
研究者の方向けの内容です。
https://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~tadashi.takayanagi/Nambu.pdf
☆再現性については以下の著作がオススメです。
物理学などのような低物理レイヤーの「科学」は
「再現性」を確認しやすいですが、
心理学・社会学などのような高物理レイヤーの「科学」は
「再現性」がほぼ確認されず「科学ではなくフィクション」
の可能性がありえる、という趣旨の書籍です。
また、「再現性」については、確率統計・推定統計学において
標本数・サンプリング数・データ数などなど
とにかく「数」が必要になりますが、高物理レイヤーの「科学」においては
「数」を揃えるためには(実験環境を一律に揃えなければ、データとしての意味がなくなってしまうので)、非常に高額な研究費を必要としますが、現代の経済主義社会においては、実績が伴わない場合、研究費を得ることが難しく、結果として「統計学的な再現性のある実験」を行うことが、そもそも不可能という「科学 vs 経済性」のジレンマが存在する、という背景です。