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2000年代Jポップ ベスト・ソングス25+5

ミュージック・マガジン2024年8月号の特集が「2000年代 Jポップ・ベスト・ソングス100」ということで、面白く読んだのだけど正直「ズッッリイ~~~~~」という思いを抱かずにいられなかった。
選曲の範囲を2000~2009年のシングルオリコンチャート50位以内登場のシングル表題曲に絞っているけれど、それで「2000年代 Jポップ」というのは…アリかね?という。

例えば、この企画でトップ10に入った曲を道行く人100人に聞いて100人とも全部知ってるとはならないだろう。2024年からの視点で「2000年代」というものを評価したかったり、新たな歴史を作りたいから、入れたい曲を入れやすいようにするために先述の範囲で選曲をしたのだなと思った。そりゃ、選曲者それぞれのを見たりすんのはおもろいですけどね。

でもねえ~~~~、と謎にムシャクシャしたので2000~2009年の年間売り上げ50位以内から個人的に好きな曲(ストリーミング配信アリ)を25曲選びました。そして配信無いのを5曲。
売り上げが全てではないとか、売り上げがあるから「J-POP」だとは限らない、とか知っとるけども、多くの人に聞かれたということを推し量る材料にはある程度なるでしょ、少なくともこの時期までは。
雑感をしたためましたので、お時間あればどうぞ的な感じで。歌手名、曲名、リリース年、年間順位を載せてまする。


L'Arc〜en〜Ciel「NEO UNIVERSE」2000・10位

yukihiroがドラムにいるからこそなダンスチューン。2000年の元旦リリースであり、それを意識し未来への希望を乗せた歌詞がこの曲の輝きをさらに上げている。6弦ベースが用いられていたりと、ラルクの曲の中でもこれっぽい音ってあまりないような?

Dragon Ash feat. ラッパ我リヤ:「Deep Impact」2000・35位

恥ずかしながら、年間売り上げを確認する中で知った曲。こんなシブイ曲が年間売り上げ50位以内に入ってた時代スゲエな。こういう曲をチャートに入れてたドラゴンアッシュの時代の寵児感を2024年に知る。ラッパ我リヤはライムスターの客演と、Mr.QのGADOROとのラップバトルしか知らなったから、こんなオーバーグラウンドで活動してたとはっていう印象も。

椎名林檎:「罪と罰」2000・38位

米津玄師の「Flamingo」がリリースされ、ブランキ―の楽曲がストリーミング配信され始めた2024年に聞き返すと、この歌唱・このギターサウンドはかなりガツンと来るし、飲み込みやすい。以前聴いたときは、どういうところに面白みを感じていいのか分からなかった。

CHEMISTRY:「PIECES OF A DREAM」2001・3位

今、こういうボーカルデュオっていう形態で活動している人っているか?2024年現在では、ダンスアンドボーカルグループが中心で珍しい存在な気がする…って当時でもそうだったのでは…?アカペラグループはゴスペラーズなりいたけど。少な目の音数で、打ち込みで作られたトラックにちょっとスパニッシュみのあるギターが絡むのがイイ聞き心地。

桑田佳祐:「白い恋人達」2001・6位

この年、桑田佳祐は「波乗りジョニー」もリリースしていて、その年の夏冬を制覇しているという横綱ぷり…。4分辺りから新しいメロディー追加して、「涙」の高音のロングトーンで歌い上げて過剰なまでにエモくするという。そりゃ心動かされるよっていう、構成が上手過ぎる。

B'z:「ultra soul」2001・11位

聞き返すと、(世界水泳のテーマソングとして作られたんだが当然ではあるが)なんともシビアなアスリート(一つの目標に向かって懸命に励んでいる人)の心情を描いた歌詞が並ぶ曲。しかし、聴き手が残るフレーズは「ウルトラソウル!」…稲葉浩志ってホント、すさまじい作詞家…。どんだけキャッチーな一言なんだ…。しかも鳴ってる音が小難しくない打ち込みの四つ打ちで乗りやすいから辛気臭くならないという。スゲエバランスで成り立ってる曲なんだなこれは。パリ五輪が行われる2024年にも当然力強く鳴り響いている。

GLAY:「GLOBAL COMMUNICATION」2001・31位

確かにブラー「song2」といえばそうかもしれない…。異様なまでの肯定感とか、エネルギーが歌詞にも編曲にも迸っている。この曲も編曲に佐久間正英が入ってるんだなあ。四半世紀が経って、世界はもっと近く感じるようになったが、北は南は愛で繋げられたか?

m-flo:「come again」2001・46位

当時流行り始めてた2ステップを取り入れた曲ということで、今でいうとすぐにボルチモアクラブ?ジャージークラブ?をすぐ取り入れたヒット曲を作ったていう話なんだろうと思うと面白い。いまだにオシャレな曲だと思うけど、VERVALのラップがバースによってフロウが違うのなんなんだ?フックが強いから見過ごされてるかもだけど、当時こんなの皆リアルタイムで聞いてたのか。

宇多田ヒカル:「traveling」2002・2位

2024年にはベスト盤にリレコーディング版が収録された本曲。色んな人が評す通り、こういう曲に平家物語の一節を取り入れて無常観を潜ませてるのも面白いのだけど、個人的に聞き返して驚いたのは「胸を寄せていつもより目立っちゃおう」というフレーズ。これは女性しか書けない歌詞だなと思うし、当時18歳前後の女性であった彼女が書く言葉としても絶妙だと思う。

元ちとせ:「ワダツミの木」2002・3位

いやあとんでもない歌唱・・・。コブシというか節回しの独特さ。そして、当時はかったるいなあと思っていたレゲエ調の楽曲も聴ける歳になった。

Dragon Ash:「FANTASISTA」2002・19位

アディダスのジャージカッケ~てのは、世代的にヨンスではなくこっちになる。この曲といえば、Twitter(今では「X」と呼ばれるらしいが)のzbpt氏のツイートをどうしても思い出してしまう。

嵐:「a Day in Our Life」2002・21位

特に2000年代後半は「嵐の時代」といっていいほど年間チャートで上位独占しているのだけど、そのような状況を作る端緒になったのがこの曲では?ラップ、ヒップホップのテイストを強く取り入れてグループの色がはっきり出てきたところもあるんだろうなあ。

RIP SLYME:「楽園ベイベー」2002・31位

今聞いてもチルみがあっていいねえ。チルみのある日本語ラップて言ったら有名どころとしてスチャダラパー「サマージャム'95」とかかせきさいだぁ「じゃっ夏なんで」とか浮かぶけど、やっぱそういうの、各ディケイドで出てこないとね。ケツメイシ「夏の思い出」もその枠に入る曲だよな~なんて思ったり。

ポルノグラフィティ:「Mugen」2002・46位

ドラゴンアッシュに引き続きまたもワールドカップの曲。2000年代のポルノグラフィティは当然チャート上位にバンバンシングルを送り込んでいたけど、この曲を。ブラスを基調として煽りまくるコーラスとメロディ。デビュー5年以内のグループの勢いがバシバシ伝わってきてやられる。

キンモクセイ:「二人のアカボシ」2002・49位

彼らの楽曲を指す場合は「J-POP」よりも「ジャパニーズポップス」の方が適切かもしれない。再結成後のアルバムタイトルがまさにそれであるが。荒井由実の楽曲を引き出したくもなるような凛とした、しかし親しみのあるポップス。これで紅白出たというくらいに認知されてたんだからなあ。年間チャートには乗ってないものの『あたしンち』の曲として「さらば」の認知度も高かった。

福山雅治:「虹」2003・2位

福山雅治は90~00~10年代それぞれでヒット曲を世間に送り込んでいるミュージシャンの一人である。2000年代で言うと売り上げだけ考えるのであれば「桜坂」を挙げるべきだが、こちらを。当時ドラマ「ウォーターボーイズ」が放送されており、その記憶と結びついている。バンドメンバーに井上鑑や林立夫や鈴木茂といったメンバーがいるのを見ると、大滝詠一好きな俺はアガるものがあった。

ORANGE RANGE:「ロコローション」2004・7位

2000年代に強い存在感を見せたオレンジレンジ。当時はこういうアゲのノリ一発な曲って世間で流行ってた印象がある。それをマイルドヤンキーがどう、という言説と結びつけることもできるかもだけど。小学校高学年でも歌ってたし、中高生でも性の匂いをしっかり嗅ぎ分け口ずさんでただろうし、今思えば「セクシャルな歌詞表現をマスに届けるロックバンド」という側面ではこの世代のサザンといっても差し支え・・・あるか?

DREAMS COME TRUE:「やさしいキスをして」2004・21位

個人的にドリカムの曲の中でダントツで好きな曲。当時ドラマ『砂の器』の主題歌だったということもあり、大人ぽいシックなたたずまいの曲になっている。アウトロが長いのはドラマを意識しているのか?2024年から見るとカバーが多い曲という印象もある。

Mr.Children:「四次元 Four Dimensions(未来)」2005・3位

デビューの90年代から変わらずその存在感をシーンに示し続けているミスチル。その中でも年間3位に送り込んだこのシングルの収録曲。当時はサビの爽やかさに惑わされていたが、今聞くと何ともミドルクライシスの入り口のような歌詞が散見される。「生きてる理由もない/だけど死にたくもない/こうして今日をやり過ごしている」「今僕の目の前に横たわる/先の知れた未来を/信じたくなくて目を閉じて過ごしている」。しかし、最後に「すこしだけあがいてみる」「先の知れた未来を/変えてみせると この胸に刻み付けるよ」と前向きな姿勢を見せている・・・にしても、ポカリスエットタイアップ曲の歌詞がこんなにシビアだったとは。

NANA starring MIKA NAKASHIMA:「GLAMOROUS SKY」2005・10位

HYDEのメロディセンスと、矢沢あいの(正直に言うと)クサみある歌詞とが上手くマッチしたロックチューン。編曲はHYDEとKAZなのか。VAMPSの助走になってるんだな。そういや、2020年代ってこういう劇中の登場人物の歌った曲ってヒット曲であるだろうか?

Janne Da Arc:「月光花」2005・22位

ラルクやグレイを置いておいて、チャートの状況としてはヴィジュアル系にとって苦戦を強いられた時期が2000年代といえるだろう。その中でも一つ光るのはこの曲の存在。当時アニメ『ブラックジャック』の主題歌として起用されていた。そういったアニメタイアップによって人口に膾炙する様というのは、2020年でも変わらんなあ。

サザンオールスターズ:「DIRTY OLD MAN 〜さらば夏よ〜」2006・38位

チャートアクションだけ考えると、「TSUNAMI」に触れなくてはならないのだけど、好みでこの曲を。「老い」というものに真正面から向き合った曲って、年間チャートに入る曲としてはかなり珍しいのでは。「あの日の熱い僕はもういない」「『いい人だね』と皆に言わせて/無邪気に道化を演じてる」「泣き濡れた僕は惨めなDirty old man」と老いた自身を卑下する前半部分から、「大事なものは若さじゃなくて素顔のままのしなやかな日々」「嗚呼 人生 大逆転へ」という鼓舞するフレーズへの転換。70歳目前でも日本トップの存在に居座り続けてるのには畏怖すら覚える。

YUI:「CHE.R.RY」2007・36位

この人の存在が以後の「ギタ女」というものを作ってしまった…もちろんYUIが悪いとかいう話ではないのだけど。サビの「恋しちゃったんだ たぶん」という入り方キャッチーだよなあ。そしてラストサビ前の「恋のはじまり/胸がキュンとせまくなる」「キュン」の歌い方!ズルい!!そして2024年の今ではこの曲といえばYUIより向井秀徳なのでは・・・?と思ったりもする。

Perfume:「love the world」2008・47位

Perfumeが年間50位以内にシングルで送り込めたのはこの曲だけなんですよォ~~~~ッッッ!!!!(街裏ぴんくばりに)そりゃ、テクノポップやアイドルポップが再興する大きな存在として、彼女たちは論ずるに不可欠な存在であることは間違いないが、それが一つの事実なんですよ。でもテクノポップアーティストとして初めてシングルチャート1位を獲得した作品らしくその意味でも時代に名を遺した一曲として挙げるべきではないでしょうか。

桜高軽音部:「Don't say "lazy"」2009・33位

2000年代のアニソンからも一曲。年間チャートを飛ばした曲だと「もってけ~」もわかるし、「God knows..」もねとか思うけど、俺はこの曲かなと。今聞くと「大事なのは自分かわいがること」「大事なのは自分認めてくこと」とセルフケアを語る部分があるのが、2020年代ぽいなと思ったりする。少し時代先取った歌詞だったと言えるのかもなあ。

[ストリーミング配信無し]

モーニング娘。:「恋のダンスサイト」2000
KinKi Kids:「永遠のBLOODS」2003
KAT-TUN:「SIGNAL」2008
NEWS:「SUMMER TIME」2009
マキシマム ザ ホルモン:「爪爪爪/「F」」2008

上記の中でもホルモンの存在は異質だった。こんなにハードでギトギトなものがチャート上位にいる異様さよ。俺は『ぶっ生き返す』を聴いて、やっと「爪爪爪」をキャッチーなものとして聞くことができるようになりました。

下のExcelファイルは2000~2009年の年間チャート50位までをまとめたものです。黄色が筆者の好きな曲で、その中でもストリーミング配信されていないのが赤いセルのものになります。


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