【速報レポ#6】テーマ別カンファレンス①気候変動
2021年3月26日(金)・27日(土)開催の「ジャパンSDGsアクションフェスティバル」の速報レポート第6弾。この記事では、「テーマ別カンファレンス①:気候変動」のプログラムにフォーカスして、編集部が気になったコメントと合わせてお届けします。
※こちらの記事は速報記事になります。各プログラムをチェックしたい方は、後日公開予定の「アーカイブ動画」をご視聴ください。
10年後の気象災害をへらすために、あなたにもできること。/一般社団法人FUKKO DESIGN
【日時】
3月27日(土)11:40~12:20/チャンネル2
【登壇者】※敬称略
荒木健太郎(気象庁気象研究所研究官/雲研究者/学術博士)
根本かおる(国連広報センター所長)
河瀬大作(株式会社NHKエンタープライズ 番組開発部長 エグゼクティブプロデューサー/一般社団法人FUKKO DESIGN 代表理事)
「テーマ別カンファレンス①:気候変動」のファーストプログラムは、映画「天気の子」の気象監修を担当した気象庁気象研究所研究官の荒木健太郎さん、国連広報センターの根本かおる所長、民間企業の有志で復興支援に取り組む一般社団法人FUKKO DESIGN代表理事の河瀬大作さんの3名が、10年後の気象災害をへらすためにできる具体的なアクションやアイデアを考えるセッション。専門家ならではの視点を盛り込んで語られた、日本人特有の気候変動の受け止め方や、危機はあるのに事態が一向に改善しない理由などは、私たちの意識を変えさせられるインパクトの大きなものでした。
【テーマ】
・日本人と気候変動
・天気はすでに、かなりヤバい
・危機はあるのに、事態は一向に改善しない
・わたしやあなたのSDGsターゲット13
【編集部が気になった発言】
「気候変動に関して、なんとなく感じていることが多いですけど、そのなんとなく感じていることを集めていくと、とても大変なことになってくる。だから気候変動の問題に関しては、まず一人一人がしっかりとした意識をもつことが重要。これからは、“防災”という備えがいっそう重要になってくると思いますが、楽しみながらやるということも見つけられれば良いと思います」(河瀬大作氏)
「『天気の子』の新海誠監督と対談する機会があり、試写会での海外と日本の反応の違いについてお話しを伺ったのですが、日本と海外の反応がまったく違ったそうです。海外では、異常気象に関する質問がほとんどで、日本との反応の違いに危機意識を持ったとおっしゃっていました」(根本かおる氏)
「防災においては、自分ごととして考えるということがターニングポイントになります。日本は防災意識高いとされていますけど、まだまだ足りないところも多いと思っています。気候変動への対策は、これから大きく変わっていく流れになりますが、そこでポジティブな方向の対策に舵取りをすることができれば、一気に加速して、さまざまな取り組みを進められるようになると思っています」(荒木健太郎氏)
「気候行動として何ができるのかを知り、いろいろある身の回りでできることをやってみることも重要です。例えば、バーチャル・ウォーターや温室ガスの排出効果が大きいお肉の消費を控えるという方法もあります。肉中心から野菜中心に変えるだけで、1食あたり1000リットル分の水が節約できる。これは人1人あたりの1年間の飲み水の量なんです」(根本かおる氏)
気候変動フォーラム~気候危機への挑戦とコロナ禍からのグリーンリカバリー~/気候変動イニシアティブ
【日時】
3月27日(土)14:00~16:00/チャンネル1
【登壇者】※敬称略
〈挨拶〉
小泉進次郎(環境大臣)※ビデオメッセージ
末吉竹二郎(気候変動イニシアティブ 代表)
第1部:スペシャルトーク
江守正多(国立環境研究所地球環境研究センター副センター長)
高村ゆかり(東京大学未来ビジョン研究センター 教授)
●モデレーター
国谷裕子(キャスター、慶應義塾大学大学院特任教授)
第2部:パネルディスカッション
倉石東那(持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム 事務局長)
大野輝之(公益財団法人自然エネルギー財団 常務理事)
釣流まゆみ(株式会社セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 経営推進本部 サステナビリティ推進部 シニアオフィサー)
白井祐介(MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社 執行役員 総合企画部長)
金井司(三井住友信託銀行 フェロー役員 チーフ・サステナビリティ・オフィサー)
小西雅子(WWFジャパン 専門ディレクター(環境・エネルギー)/昭和女子大特命教授)
〈ファシリテーター〉
高瀬香絵(一般社団法人CDP Worldwide-Japan シニアマネージャー)
世界的な喫緊の課題となっている気候変動への対策や、コロナ禍からの復興のカギとして注目を集めている地球温暖化の防止や生物多様性の保全を実現し、よりよい未来を目指す「グリーンリカバリー」の実現に向けて“私たちがすべきこと”について議論された本セッション。第2部のパネルディスカッションでは、団体・企業の代表者が登壇し、具体的な取り組みを踏まえた議論が展開され、気候危機への挑戦とコロナ禍からのグリーンリカバリーの未来について、さまざまな視点からの意見交換が行われました。
【テーマ】
・気候変動が世界の喫緊の課題
・昨今のグリーンリカバリーの状況
・気候変動の現状と将来予測、気候変動への適応策
・気候変動がもたらす経済損失とグリーンリカバリーの最新動向
・気候変動の取組事例と今後の課題等について
【編集部が気になった発言】
「2050年のカーボンニュートラルを掲げていますが、時間が30年あるわけではありません。ここからの5〜10年が勝負です。技術のイノベーションが大事だが、ルールのイノベーションも重要。カーボンプライシングや法改正で推進したいと考えています」(小泉進次郎氏)
「気候危機への考えを根底から変えたのがパリ協定でした。低炭素と脱炭素は全く別の世界です。どうやって菅首相の温室効果ガスゼロ宣言を達成できるか、全てはこれからの取り組みにかかっています。日本の覚悟を世界に示すべきです」(末吉竹二郎氏)
「2050年にカーボンニュートラルを実現しようとすると、毎年7〜8%の脱炭素を実現していかなければならないという試算があるのですが、日本は過去6年間で14%しか削減していません。ハードルは極めて高いのです。経験したことのない変革に挑まなければなりません」(国谷裕子氏)
「最終的には技術のイノベーションが必要になるが、現段階でそこだけに期待するのは危険だとも思います。再生エネルギーの主力電源化の優先度を高めるべきだと考えています」(江守正多氏)
「日本のような大きな社会で脱炭素を実現しようすると、社会全体の合意が必要になります。変わることで痛みを伴う人がいる中で、『一緒に変わっていこう』と思える政策や制度を作ることができるかが問われています」(高村ゆかり氏)
「日本は、2050ゼロ宣言以来、大きく変わろうとしています。パリ協定に提出する目標を引き上げる議論もされており、エネルギーミックスをどのようにするかも話されています。今、私たちが声を上げることによって、日本と世界を大きく変えられるのです」(小西雅子氏)
「セブン&アイ・ホールディングスは、これまでの取り組みを結集させた省エネ型店舗の実現を目指しています。日本の消費者の皆様の知見をいただきながら、小売業としての役割を果たしていきたいと考えています」(釣流まゆみ氏)
「自然エネルギーは日本では高いというイメージがありますが、海外ではほとんどの国で、最も安いエネルギーになっています。日本の状況も変わりつつあります。事実を知り、行動に移すことが大事です」(大野輝之氏)
「サステナブルファイナンスにおける金融業界への期待は高まっています。これまでパフォーマンスを両立できないことが難点でした。しかしSDGsが登場した2015年頃から、ビジネスとして成立するようになってきました」(金井司氏)
「台風や豪雨などの気候変動リスクに備え、リアルタイムでの情報提供など、リスクを見つけて伝える取り組みを強化しています。これらを保険会社としての重要な役割と考え、今後も商品・サービスの開発に積極的に取り組んでいきたいと考えています」(白井祐介氏)
「若者の意見を集約した上で、政府や国連に伝える活動をしています。事実を知り、自分たちの価値観を見直すこと、一緒に声を上げる仲間をつくることが、若者世代にとって重要だと思っています」(倉石東那氏)
「(総括)気候変動対策を目指す過程で、SDGsの他の目標が犠牲になってはならない。総合的に目標を達成できる社会を、私たちは作っていくべきなのでしょう」(高瀬香絵氏)