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小椅子のマドンナ
Madonna della Seggiola
元祖マドンナ
「マドンナ」という言葉が日本で一般的に使われるようになって久しい。
日本で最初に「マドンナ」が使われたのは、明治時代、夏目漱石が坊ちゃんに登場させてからというから、すでに100年以上の歴史がある。
漱石は「マドンナ」という言葉の着想をラファエロが描く「小椅子のマドンナ」から得たという。
本来、「マドンナ」とは、ノートル・ダムと同じく「我が貴婦人」を意味し、聖母マリアを指す。
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聖母マリアを表現した作品は数限りなくあるが、私は画家ラファエロが描く聖母マリアが好きだ。ラファエロのマドンナたちを鑑賞するために、フィレンツェのピッティ宮殿パラティーナ美術館を何度か訪れたことがある。
メディチ家のオフィスとして築かれていたウフィッツィ美術館とは対照的に、ピッティ宮殿はメディチ家の宮殿として16世紀に築かれた。
予約もままならぬウフィッツィ美術館とは違い、ピッティ宮殿パラティーナ美術館は、比較的空いていて、美術品を落ち着いて鑑賞したい人にはお勧めだ。
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パラティーナ美術館は、宮殿の2階にあり、厳かな階段を上っていくと宮殿らしい絢爛豪華な空間が広がる。そのサロンの一つがラファエロの作品の展示室にあてがわれているので、ラファエロ・ファンならば必見の美術館だ。
ラファエロの間には、お目当ての小椅子のマドンナの他、大公のマドンナ、数々のラファエロのマドンナのモデルとなった女性の肖像画ラ・ヴェラータ(ヴェール)、メディチ家からの庇護が篤かったビビエナ枢機卿も展示されている。
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小椅子のマドンナでは、マドンナが膝の上に幼児のイエスをのせ、右側にはイエスの従兄、洗礼者聖ヨハネがいる。手前に描かれた格調高い小柱が、椅子の背柱とすると、マドンナの姿勢が不自然でもある。三人の目線が三様、洗礼者聖ヨハネは二人に目線、イエスはこちら見ているようで何処となく虚ろ、マドンナは鑑賞者を見る、いわゆるカメラ目線。
私は、いつもラファエロの描くマドンナたちのカメラ目線に合うと、ひと溜まりもない。
***
ラファエロのマドンナに限らず、ヨーロッパ各地の教会、美術館には、
実に多くのマドンナがいて、各々異なった意味をもっている。
そんなマドンナたちを巡っていきたい。
Pitti Palace Palatine Gallery
Piazza de' Pitti, 1,
50125 Firenze
開館時間 火曜日―日曜日 8時15分ー19時 休館 月曜日