西城秀樹の孤独な「ウッドストック」
西城秀樹の1975年の全国ツアーの模様を収めたドキュメンタリー映画であり、富士山麓緑の休暇村に特製ステージを設けて日本の芸能史上初の大規模野外コンサートから始まり、大阪球場での球場コンサートで閉めている。
冒頭は海上のヨットの群れや海岸で遊ぶ子供たちや部活動をしている生徒たちの情景で西城とは全く関係ない演出から察するに、『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間(Woodstock)』(マイケル・ウォドレー監督 1970年)を意識しているようの感じるのだが、どうも西城は一人でメインを張らなければならないために、例えば、一人でスキーのジャンプ台に上っている場面などは画が弱いと思う。
それはコンサートシーンにも当てはまり、もちろん西城が初めて試みるのだから仕方がないのだが、クレーンに吊るしたゴンドラやヘリコプターなど駆使した野外コンサートの大規模さを持て余している感じだし、大阪球場の広さも持て余し気味なのである。
さらに問題だったのが、ウィキペディアに拠るならば、本作は松竹と日本テレビがそれぞれ撮影しており、2社のベストショットを編集すればより良いものができたはずだが、日本テレビは別に『西城秀樹日本縦断20歳の絶唱!』というタイトルでテレビドキュメンタリー番組として制作しており、演出がグダグダになっている感は拭えないのである。
しかし当時20歳の西城にこれ以上できることはなかったであろうし、西城のキャリアの最盛期はこの直後に訪れるのではある。