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会津本郷焼の強み ~民報サロン5回目~

今回は「民報サロン」5回目です。

~以下民報サロン記事~

日本国内の焼物産地は、国の指定を受けた産地が32産地と、国の指定を受けていない産地が約120産地あり、合計すると日本には全国各地に「〇〇焼」という産地が150程存在していることになります。そんな150程ある焼物産地の中でも、会津本郷焼は「小規模な産地」に分類されます。

私の仕事は「会津本郷焼の振興・発展」をさせていく事で、それには、売上を上げる事が必要不可欠だと考えていますが、その方法として会津本郷焼が150ある産地との競争に勝ち、市場シェアを奪う事が唯一の方法だと考えていましたが、会津本郷焼を実際に市場に出した時に直面したのは、他産地との規模の違いでした。現在の産地規模では、規模の大きな産地には価格や生産能力などの面で到底敵わず、シェアを奪う事など夢のまた夢です。自分のとった方法は時期尚早である事に気づきました。

私は、現段階での「会津本郷焼の振興・発展」を達成する方法をもう一度考えました。
その中で、売るものである商品を「品物」から「地域」へと変え、産地全体を売っていく事を考えてみました。

「品物」を売ろうとすると、どうしても価格や生産能力など定量的な評価が優先される事になり、規模の大きな産地には敵いません。
ですが、「地域」を売っていく事は、「品物」とは違い、定性的な評価の部分が多く、会津本郷焼の強みを活かした戦略で戦っていくことが出来ます。

では、会津本郷焼の強みとは何でしょうか?
私は、次のようなことが会津本郷焼の強みだと考えています。

1つ目は「多様な特徴」です。焼物産地には、その産地ごとに定義があります。例えば有田焼だと、「染付の磁器」でないと有田焼とは呼べないのですが、会津本郷焼はそういった定義が他産地より少ないため、1つの窯元が1つの産地と言えるほど多様な特徴がある産地となっています。このことは全国的に見ても非常に珍しい事です。
2つ目は「コンパクトな産地」です。会津本郷焼産地は、産地の中心にある陶磁器会館から半径1キロの範囲に12の窯元すべてが収まるようなコンパクトな産地です。これは1日あればすべての窯元を巡る事が出来る程の規模で、気軽に焼物産地の散策をしていただけます。
3つ目は「産地のある場所」です。会津本郷焼がある会津美里町は、毎年多くの観光客が訪れる「会津若松市」と、「下郷町」に隣接しています。隣接している市町村まで多くの観光客が来ているので、少しの工夫で会津本郷焼産地への誘客することが可能です。
最後は「産地で生活する人」です。人間は一人として同じ人間はおらず、唯一無二の存在です。それぞれの地域には、いろいろな人が生活しています。もちろん会津本郷焼産地にも色々な人が生活しています。そんな産地で生活する人と触れ合い、人柄を知っていただく事が強みになります。

このような強みが会津本郷焼にはあると考えています。この強みを活かすことが出来る戦略を立て、事業を実施していく事が現在の会津本郷焼産地が置かれている状況にとって相応しい振興・発展を目指す形だと考えています。

~6回目に続く~

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