OH!へんろ。親子の88か所巡り(38番札所):蹉跎山金剛福寺(高知県)
わたしが、子どもたちと決めた今回のお遍路ルールは一つだけ。納経所で御朱印をいただくのは子どもたちの役割ということ。ちゃんと挨拶をして、御朱印をお願いし、最後はしっかり御礼をする、です。
今日の煩悩:
かつて、生物学者のJ・ユクスキュル(1864~1944)は生物の認知世界を「環世界」という概念で表しました。生物によって異なる環世界に生きているということを述べました。最近、インターネット情報をめぐって、再び「環世界」が注目されています。
人間も身体的制約や認知特性によって環世界の中に生きていると言います。同じ「ヒト」という生物種においても、個人個人の身体的制約や認知特性や行動様式によって環世界は異なります。
昔から「同じものを見ているようでも、見えるものが違う」と言いますね。でも、この場合は「目の付け所が違う」という意味合いかもしれませんが、環世界の場合は本当に認識できない場合もあるわけです。
環世界は字のとおり「環」なので「閉じている」わけです。それは自分にしか分からず、他者と全く同じものを共有することはできません。そもそも「私」の環世界の構成を認知することも普通には出来ないでしょう。
しかし、環世界は不変ではなく、変化します。人とのかかわりの中で変化する場合もあるし、物理的な環境の変化、自分の体調の変化によって移り変わります。
幽霊を見たりする人も、ひょっとしたらその人の環世界を捉えているセンサーでは「実際に見えている」ということも考えられます。ということは、それらが見えない「私」も体調の変化や環境の変化で見えるようになるかもしれません。
研究もそうですね。実は情報の集積と分析によって、情報が取り巻く環境が変わるのです。すると、見えなかった「線」が見えてくるのです。その線を手繰ってひとつひとつ解き明かしていく。
面白いのですが、やり過ぎると、心の病気になってしまいますので、私の場合は、時々記号の環境世界から抜け出して、子どもたちとほっぺたをスリスリしあう必要があるのです。
御詠歌:
ふだらくやここは岬の船のさを とるもすつるも法の蹉跎山
本尊:
三面千手観世音菩薩
創建:
弘仁13年(822)
真言:
おん ばざらたらま きりく
歴史:
弘仁13年、嵯峨天皇(在位809〜23)の勅願により大師は49歳の時に伽藍を建立、開創したと伝えられています。縁起によれば、大師は伽藍を建立したときに三面千手観世音像を彫造して安置し、「金剛福寺」と名づけたそうです。
所在地:
高知県土佐清水市足摺岬214-1
駐車場:
無料