飛び魚
イカ釣り船は夜間に出港することが多く、沖に出ると遠くから確認できるほどの照明をつける。
イカを釣るためだが、その手順は複雑だ。
先ず、集魚灯にプランクトンが引き寄せられる。そのプランクトンを狙って小魚が集まる。
食物連鎖が働き、その小魚を狙って、イカや、大きな魚、ウミネコなどの鳥類が集まる。
魚種によって集まる棚が違うので面白い。
集魚灯はプランクトンや小魚を集めるために絶対必要なのだ。釣り船は海上で発電機を回し続け、明かりをともしているのだ。
自然の力は偉大で、人間が技術を尽くして集魚灯を発光させているのだが、月光にはかなわない。
満月の夜は明るくて、集魚灯の効果が薄れて、プランクトンは散らばったままだ。
当然小魚も散らばったままで、イカも集まらず、釣果も期待できない。
釣りに出かけるときは月齢表を参考にして、満月を避けて行くように気をつけている。
そんな釣行時に、鳥が船の周りに集まっていれば、期待ができる。鳥がインジケーターの役割を果たしてくれるのだ。小魚が集まっているからチャンスを狙っているのだ。その下にはイカがいる。
今回は上層にトビウオがたくさん集まった。
朝日に煌めく飛び魚は何者にも変えがたいほど綺麗な体色を見せてくれる。
今回のように集魚灯に集まった飛び魚はあまり綺麗ではない、白っぽく、くすんだ体色で、それを見ても感動することはない。
飛び魚は習性なのか、プランクトンをたっぷり食べると飛び上がり飛行を始める。短距離なのだが、ウミネコたちはそれを逃さない。
ウミネコたちは見事に飛び魚の着水地点を予測して、一直線に飛びかかり一瞬で咥えてしまう。
雉も鳴かずば撃たれまい、飛び魚も飛ばずば喰われまい。
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