カレー
香川の人は朝、昼、晩、おやつ、夜食、酔い覚ましと、終日うどんで過ごせると書いた記憶がある。それぞれのうどんが工夫がされていて、日本人独特の鰹節等の旨味成分が使われていて飽きない味になっている。
インドに行く用事があって、ニューデリー近くのハリヤナ州に一週間ほど滞在したことがある。訪問先が厚遇してくれたので、ホテルも高級だった。客室からドアを開けて出るとすぐ側に警備員が機関銃を持って待機している。警護してくれているのは分かるが少し怖い。
食事は美味しいのだが、朝、昼、晩カレーである。各地のいろいろな食材を並べてくれているがカレー味である。ここインド北西のハリヤナ州では魚はあまり食べないらしくて、魚料理はほとんど無い。海岸端に行けば、魚は出るのかもしれないが、並んでいる料理が全てカレー味である。もちろん牛は神聖な生き物なので牛肉は出ない。アラブ系の人が出入りするので豚も出ない。ベジタリアンが多いとも聞いた。
そうすると必然的に食材は鶏肉と羊になるのだがカレー味である。毎日微妙に変化をつけてくれているのは分かる。濃い味だったり薄味だったり汁気が多かったり少なかったり。カレースープだけではなく他の料理も全てカレー風味である。365日これが続くわけだ。
インドは大きく東西南北と4つの文化圏に分かれている。南北では北は米の収穫が少ないので小麦文化圏、南が米文化圏でナンやチャパティは北の食事。東のコルカタ西のムンバイは魚が食べられるそうだ。
日本人の味覚は独特で、旨味成分を求めてしまう。大量多種のスパイスを使い目先の調理法を変えても旨味に工夫がされてないのですぐ飽きてしまう。インドに駐在する大使館、領事館の職員も赴任直後は珍しいので現地料理を食べているが、すぐに日本食が食べたくなるそうだ。
現地の職員に聞いたのだが、現地には日本食レストランは少ないし、食事に関して宗教的なタブーがたくさんあるので、なかなか自由にならない。そこでつい、日本から手軽なカップラーメンを持ち込んでしまう。カレー味の反動でカップラーメンだけの食事にハマってしまい、肝機能障害を起こしている職員が多数いるそうだ。
帰国してからインド大使館より、お礼の御招待を受けた。一等書記官がギター演奏を披露してくださり、心からのおもてなしを受けた。食事をご馳走になったのだが、カレー風味の料理だった。お茶請けのお菓子もカレー風味だったのが記憶に残った。
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