史実とは
最近日本の歴史に興味が湧き、本棚から関連書を取り出して見ることがある。
ところが本によって書いている内容に統一性が無く、読めば読むほど複雑怪奇で全く辻褄が合わなくなってくる。
それぞれの本は面白いのだが、乱読をすると全く訳が分からなくなってくる。
有名な『日本書紀』と『古事記』も書いてあることが矛盾だらけだ。
どちらかが正しいのであればどちらかが嘘を書いている。
歴史学者は『史実に基づいて書いてある。』と主張されている。
学者は発掘されたり、発見されたものを細かく分析しているのだろうが、部分の辻褄あわせになっていて全体が見えない。
史実とはなんだろう?
お隣の中国に目を向けて見ると理解しやすくなる。
彼の国はよく『中国4000年の歴史』などと自称することがあるが、今の中華人民共和国は建国 75年に過ぎない。
あの広大な土地を制覇するのに征服者は前王朝を破壊する。時には墓さえも掘り返して徹底的に事物や歴史的財産、子孫等を抹消してしまう。
それを、 夏・殷(商)・西周・東周・秦・漢・三国時代・晋・十六国・南北朝時代・隋・唐・五代十国時代・宋・遼・西夏・金・元・明・後金・清・・・・
大雑把に書いてもこれくらい、前王朝を抹殺し続けてきているのだ。
史実とは『征服王朝が、自分の正当性を主張するために前王朝の都合の悪い部分だけを抹殺した歴史のこと』と仮定すると理解が早くなる。
これを日本史に当て嵌めて見ると納得できることがある。
中臣氏が藤原を名乗りまた中臣を名乗った。出生不明の人物を途中で割り込ませて正当化するための『なりすまし』と理解すれば良いのだ。
この事実を関裕二氏が誠にわかりやすく解説してくれている。この『神社が語る古代12 氏族の正体』は積年のモヤモヤを晴らしてくれた。
繰り返して読めば、統一感のなかった日本の歴史の全体像が浮かび上がって来る気配を感じる。