イタリアのタクシー
イタリアに行った時、タクシーの運転手に興味が湧いた。最近は英語が話せる運転手が増えたが前々回に行った時は、英語の話せる運転手は少なかった。また車もフィアットが主流で外国車をあまり見かけなかった。最近は外国車を多数見かけるようになった。
前回行った時の運転手は非常にフレンドリーで朗らかだった。ホテルへ向かう途中道路は歴史的石畳が敷かれているので滑らかとは言い難いが、弾みながら結構な速度で走る。その運転手が素敵なデザインのメガネをかけていた。「そのメガネ素敵ですね」と褒めたところ、彼は嬉しいらしく、コンパートメントボックスを開けて、中にある20個ほどの眼鏡を1個1個取り替えて、後ろを振り向き「これはどうだ?似合うか?」と話しかけてくる。「運転中は後ろを向くなよ」と内心思っていた。
空港へ向かうタクシーの中で、友人と車の話をしていた。アルファロメオ、マセラッティ、フェラーリ、ポルシェ等スポーツカーの名前を出して話していると、人のよい運転手は我々が空港へ急いでいると勝手に勘違いをして急加速して走り出した。石畳の道路を100km/h 近い速度で走るものだから車体が弾んでしまって、まるで飛んでいるようだった。「そんなに慌てなくていいよ」と言っても通じない。ますます目を剥いて、真剣に運転している。二人とも後ろの客席で手足を踏ん張って座席から落ちないように頑張った。予定よりも20分ほど早く着いたのだが、言葉が出ない。運転手も肩で大きく息をしながら腕時計を指差して何か言ってる。「間に合ったか?」と聞いているのだと思う。「グラッチェ」と一言言うのがやっとだった。