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バカと無知
まるで自分が呼ばれているようで、思わず手に取ってみたが、なかなか心に染み渡る素晴らしい本だった。
最近は、題名だけ過激で内容のない本が多いが、橘玲氏の本は読み応えがある。
最初から
あらゆる生き物は、生存と生殖を最適化するような長大な進化の過程で「設計」されてきた。
本質論で突っ込んでくる。
生き物が進化しているかどうかは疑問の残るところだが、あらゆる生き物は、生存と生殖が最終目標でその最適化のために生きていることは、あらゆる事象が証明してくれている。
安倍元首相の殺人事件に関連し、犯人の自己正当化の言を引用して人間の行動原理を説明している。
世の中には不公平なことがたくさんあり、個人の力はあまりに弱い。「勧善懲悪」の物語に人気があるのは、現実の世界では悪がのさばって善は肩身の狭い思いをしているからだ。
これは「認知的不協和」と呼ばれる心理状態で、矛盾した二つの考えを同時に抱くと、ものすごく不快に感じられる
生存と生殖のために、あらゆる手段を講じているうちに、この矛盾した状態に陥ることがあるが、自分を善と思い込んでいる人は普通に生きていけるが、自分を悪と思い込んでしまうと重度のうつ病になってしまう。
あとがきに
自分が「絶対的な善」ならば自分を批判するものは「絶対的な悪」以外にない。
宗教発生の原理がここに示されている。
ChatGPT に注目し、利用していたが、「その質問には答えることができません」とか「専門家の意見を聞いてください」との返事が多く、少し退屈していたが、この本の、物事の本質を考える態度に巡り会えて感謝している。
再度確認するが、
あらゆる生き物は、生存と生殖が最終目標でその最適化のために生きている。