ジェンダー差別と女性の低賃金
「女性が多く働く職場は、賃金も安いの。」
そう初めて聞いたのは、いつかの労働組合の学習会でした。
保育士や介護士など もともと女性の役割とされてきたしごとは
女性の就業率が高く 低い賃金になっています。
パートの賃金が低いのも 女性の就業率が高いからです。
なぜ そうなっているのか? 今回は、この問題について
お伝えしていこうと思います。
最後まで お付き合いくださるとうれしいです。
◆労働組合で学んだこと
この時の 学習会のテーマは 「学ぼう!ディーセントワーク」
「ディーセントワーク」とは、国連が掲げたSDGsの8つ目の目標に
出てくる言葉で、一般的には「働きがいのある人間らしい仕事」と
訳されています。そして、
SDGsの中では 5番目の目標に「ジェンダー平等を実現しよう」
とあります。ジェンダーとは 社会的・文化的につくられた性差と
定義され、女らしさ・男らしさを こうあるべきと決めつける
ことです。生まれたての赤ん坊のときから衣服の色を男女で分けて
与えるおもちゃで男女の区別をつけ、男と女は違うものと刷り込み
押しつける。それがジェンダー差別です。
SDGsでは 切り離されてるような感じになってますが、
働きがいを考えたとき 差別をなくし
ジェンダー平等社会を達成することが ディーセントワークの目標の
ひとつである。という学びでした・・・。
◆エッセンシャルワーカーのしごと
この頃は まだ新型コロナウイルス感染症が起きる数年前で、
社会のシステムが そうなっていると理解しただけで
そこをどうするとか あまりピンときませんでしたが、
今日、世界中で新型コロナウイルス感染症の流行にともない
ロックダウンや緊急事態宣言などの措置が取られることで
多くの人が家から出られない生活を強いられることに。
その在宅生活を支え いわば、生活の根幹を支えるしごとが
医療、介護、清掃、保育、小売業などで
これらのしごとを担うひとびとが エッセンシャルワーカーと
呼ばれるようになりました。
そして このエッセンシャルワーカーが 女性の就業率が高いゆえに
最低賃金にはりついた低賃金であることが
コロナ禍において浮き彫りになったのです。
◆エッセンシャルワーカーの低賃金
エッセンシャルワーカーの賃金はなぜ低いのでしょうか?
それは 「エッセンシャル」だからです。
なくてはならないもの、欠いてはいけないもの・・・
水や空気のように 誰もが必要とするもの。
ほんとうは、誰もが必要とする大事なしごとなんです。
でも 「誰もが必要とする大事なしごと」から
ジェンダー差別により目をそらされ、
介護など むかしは主婦が 無償でやってた
誰にでもできるしごとだから、
安くてもいいんだよね!という不合理な差別を生んでいる。
わたしは スーパーで働いています。
小売業なので コロナ禍で緊急事態宣言が出されても、
家にこもることなどできません。
同僚が、「底辺の仕事!」と言っていました。
家族から「スーパーなんて 誰にでもできるしごと」
だと言われたそうです。
わたしは、なに言ってんだかなぁ~と。
だって、働いてくれないと困るでしょ?
働くひとがいなくなって お店が閉まったら
困るのは誰⁉
わたしたちのしごとは 社会の基盤を支えているんだよ。
◆非・同一価値労働同一賃金
世の中には 「誰にでもできるしごとは価値がない。
価値がないから 低賃金であたりまえ。」
「こんなことは、女・こどものやるしごと。
だいの男がやるもんじゃない。」
そう考える人が多くいます。
ここに、女性差別・非正規差別が存在するのです。
正社員の男性が世帯主、一家の大黒柱といわれ
女性が「家計補助的働き方」をし ゆえに低賃金を
正当化してきた日本型雇用。
女性差別・非正規差別を標準としたシステムは
正社員の年功序列賃金制度が崩壊した今も、
自身の収入だけで生活する女性の単身者やシングルマザーが
非正規で働く割合が多くいる現代であっても、
まったく変えられていません。
第2次安倍政権は、「女性活躍」をかかげ 女性の社会進出を
後押し、働き手が増えることで年金や税金の担い手が増え、
国が助かるとしていましたが、実態は調整弁としての
非正規雇用の拡大。女性が家でやってきたしごとだから低賃金の
エッセンシャルワーカーというワーキングプアを大量に
生み出しています。
◆まとめ
政府の 女性の人権をまったく重んじない女性労働力政策は、
戦前の家父長制的な家制度にルーツを持つ「世帯」「戸籍」
そして「同姓にもとづく家族」を固守しているからに
ほかなりません。
その根っこにあるのは、「男はしごと、女は家庭」という固定的
性別役割分業意識です。
いっぽう世界に目を向けると、ジェンダー平等先進国では
女性が首相に選ばれたり、国会議員も閣僚も官僚も そして
行政の各組織のリーダーなんかも女性が多く起用されています。
女性が選ばれる国は、多様な声が政治の場に届き 反映されます。
ジェンダー差別をなくすこと、ジェンダー平等社会を実現するには
ジェンダー平等政策をすすめる政治に変えることが不可欠です。
選挙で政治家を選ぶのは 主権者であるわたしたち国民です。
わたしたち女性が 声を上げ、動けば政治は変えられる!
そのことに自信をもって、ジェンダー平等社会を
めざしませんか?
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。