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災害発生後最初の大型連休

先日、5月18日に前・現所有者を相手取った損害賠償訴訟の第一回口頭弁論がありましたね。
自分自身、復興・復旧と原因追求のどちらに重きを置いているかと言えば復興・復旧です。
でも、あんなもの(盛り土)がなければこんなことにはならなかったし、原因究明と追求は絶対に必要です。
市と県、現所有者と元所有者、行政と所有者での責任の押し付け合いは正直うんざりだし怒りもこみ上げます。
その中で難波副知事は非を認めてくれました。もし難波副知事がいなかったら…と思うと感謝せずにはいられません。
責任の押し付け合いに注目が集まるがあまり、災害があって、そこに被災者がいる。ということが忘れられているように感じます。
被災者が業者に対して裁判を起こす。これがどれだけ苦しいことか…その苦しみの1%でも5%でも多くの人に知ってほしいと思います。知ってほしい、というか想像して欲しいです。私も瀬下会長や太田副会長の苦労の一端しか見ていないと思います。私はお二人にお会いしようと思えば会うことは出来ますし、他の被災者の方とも会って話を聞くことが出来ます。
でもその人たちの体験を追体験することは出来ない。読んでいただけている方々も同様です(決して否定、非難しているわけではありません。その人の体験はその人のもの。と言うことを言いたいだけです)。
だから、想像してください。自分の身に降り掛かったとして、家族、友人、大切な仲間を失い、それでもなお戦わなければならないことを…
それを少しでも想像してほしいな、と思って発災から約3週間後にあった4連休のこと書こうと思います。

・熱海市とその市民の生活

御存知の通り熱海市を含め伊豆半島は都心から程よく近い観光地です。
ルートにもよりますが、熱海に寄らずとも首都圏から東伊豆、南伊豆方面に向かうには熱海を通ることになります。
熱海は全国でも有数の観光地である上に、首都圏から見れば伊豆の玄関口でもあります。
そして狭い土地で観光に特化していることから、市民が買い物をするには不便で市外へと(特に伊豆山の人間は湯河原へ)出ることが多いです。
土日や連休は車で出かけるもんじゃない。そう思っている市民は多いと思います。
この前提を忘れないでください。

・災害とコロナ禍での大型連休

7月22日~25日は災害後初の大型連休でした。
このときはまだ国道の通行止めが続いており、ビーチライン、伊豆スカイラインが無料開放されていました。
記憶が曖昧ですが、市や県から観光の方は伊豆スカイラインを使用するお願いがアナウンスがされていたと思います。
伊豆山神社線、国道135号線が通行止めされている中、ビーチラインはほぼ唯一の湯河原との連絡道路になっていました。熱海から湯河原へ、また湯河原から熱海へ通勤、移動する人は多いです(コロナ禍で県をまたぐ移動は自粛を。と言われても、この県境を跨いだ移動が制限されると生活が立ちいかなくなることをご理解ください)。
ですが多くの観光客の方がビーチラインを使って訪れました。帰りも同様でした。
私が見たのは上り線の渋滞ですが、国道は中央町交差点より手前から大渋滞。この渋滞で仕事や住民が湯河原に抜けるのは辛いなぁ。と思いました。
先に書いた通り、あのときのビーチラインはほぼ唯一の生活道路です。それが大渋滞で市民が使えなかったら…
市民がわざわざ伊豆スカイラインを使ったり、箱根経由で小田原に向かったりしていたら生活が苦しくなります。あのときの観光客の方々にはその苦しみを想像してほしかったです。

・ボランティアからの苦言

熱海市はコロナ禍を理由に県内東部地域外からのボランティアの受付を断っていました。
スーパーボランティアの尾畠さんの件を覚えている方もいると思います。

【朝日新聞デジタル スーパーボランティア尾畠さん、熱海に 受け入れはまだ」(2021/7/8)】

ボンジャスのメンバーの一人は平塚から来ていました。彼が言った言葉です。
「ボランティアは駄目で観光客は受け入れるってどういうこと?」
熱海市の立場として非常に難しい立ち位置だったことは理解しています。
それであればワクチン接種済みであるとか、検査で陰性が証明されているとか条件をつけるべきだったと思います。
ちなみにボンジャスのメンバーは熱海に入る際、他の被災地に入る際もですが検査を実施し、陰性が確認できてから行動しています。

・葛藤

災害後も観光客の方々は熱海に訪れていました。今ももちろんです。
観光で食っている街としては熱海に来てもらわないと困る。私もそう思います。
でも、そうやって無理やり割り切っている事も事実です。
コロナで旅行を我慢していた中で被災して旅行に行く余裕を更になくし、楽しい気持ちが減っている中で市内の楽しそうな観光客を見かけるのは辛いです。

想像してほしい。もしあなたが災害で家族を亡くし、友を亡くし、家を失くし、その数週間後に観光客が押し寄せてきた時、どんな気持ちになるのかを。
被害者意識高すぎ。とか、フザケたこと言ってんじゃねぇ。と思う人もいるかもしれない。
でもまだ1年も経っていないんです。
どうか、どうか観光に来る際にはその事をほんの少しでも想像してほしいと思います。

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