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心地よく他者と働くには? 『他者と働く』

 組織で働いていると、人間関係で悩むことはないだろうか。人間関係は、相手に意見を合わせたり、自分の意見を通そうとしたりする過程の中で、相手と自分の信頼関係が形成されて、信用を柱とした絆が深まり強い人間関係が形成されるイメージだ。

 しかし、一旦この人間関係にヒビが入ると信用は失われ、関係性もおぼつかなくなる。最悪、修復できない人間関係に心を悩まされうつ病になることもある。では、人間関係とは一度形成されると回復不可能だろうか。著者は対話が回復の薬になると話す。

 相手を信用できない時は、相手も私を信用できない時なのかもしれない。そのような時はお互いに分かり合えない状況になっていて、本著ではお互いの間に溝がある状況と表現している。また、私が相手に歩み寄る関係を溝に橋を架けるとし、その行動の段階を、準備、観察、解釈、介入としている。

 例えば、私にはどうしても苦手な上司がいる。一方で上司も私を怪訝に思っている。何を話しても会話が上手く繋がらない。それでも私は仕事をするために上司に報告する義務もあり、仕事を進めるには上司の伺いを立てる必要もある。お互いの間にある溝に橋を架けるには、まずお互いのナラティブを知ろうとすることだ。ナラティブとは私目線の物語であり、相手目線の物語だ。人生観や考え、悩みとも言える。そして、自分から歩み寄る=愛を与える、ことが最も大切だ。駆け引きではなく、愛情でなくてはならない。

 私達はなぜ組織を作ろうとするのだろうか。ひとつは孤独になりたくないからであり、愛情を欲しいからでは無いだろうか。人間関係で悩むのも愛情の渇望の裏返しのように感じる。愛されたいからこそ悩み、相手を思いのままにしたいと思うのでないだろうか。

 人間関係とは苦しい。しかし、相手の立場に立ってみることで分かり合える糸口があるかもしれない。主体的に糸口を見つけ、対話を通じて橋を架け、交流し強固な橋を作り上げていく。全ての人間関係がこのように上手くいくとは思っていないけれど、僕は無償の愛を与え続けられる人間になりたいと思った。

他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング) https://www.amazon.co.jp/dp/4910063013/ref=cm_sw_r_cp_apan_glt_i_BW0RRXTTDGJJD835ASQT

 

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