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小説「食べかすと空き瓶」

小説を書き終わると、私は揃えた原稿の前に、ウイスキーの空き瓶とフライドチキンの骨を、「供える」。なんとなくそうしている。いつの頃からか習慣になった。きっと初めは、この原稿が竜でも虎でも、とにかくそう言うゴツいものになって、天にも昇ろうし、地も馳せてくれと思って願掛けしようとした、と思う。そうしたら、花とか肉よりも、こういうアイテムを選んでしまったのだった。以来、投稿する前には、必ず酒の空き瓶と肉の食い損ないを用意して、「供える」。そうすると、なんだか自分の中の"神"とも呼べるものが慰められる様な気がするのだ。知るところの神様には二つ種類があって、常に穏やかに和んでいる方と、ところ構わず怒り心頭な方であるらしい。私はそう思わなくて。きっと、もっといろいろいらっしゃいのではないかな。そして、私に備わっている神と呼べるものがあるとするなら、それはいかにも惨めで、情けなくて、人の恩にすがりたがり、目も当てられない汚れた生りをしているんだろう。根拠はないけど、そう、思った。だから、きっとこういうお供えで満足していらっしゃるはずだ。嘆きの神は嘆いてこそを。余計をするなら祟りが来るぞ。

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