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北見薄荷の自然科学(1);知的魅力満載の北見ハッカ科学概略(水蒸気蒸留法)

 大学基礎化学実験のもつ文理融合のポテンシャルについての私の考えは後に回し、その前段階として、北見薄荷のテーマがどういう文理融合を示し得るのかをお伝えしたいと思います。その2回目は、薄荷農家が栽培した薄荷草からオイルを採った、その化学的方法についてです。

1.薄荷草から薄荷油を得る方法

 薄荷の草は丈1メートル弱の多年草で、刈り取ったあとはさ掛けという方法で天日乾燥させておく。その後、農家数軒単位で共同利用する蒸留小屋にて、昼夜運転する蒸留装置で蒸留する。

 蒸留装置は記事タイトルの写真のようなもの。下の写真は北見市端野町の歴史民俗資料館に展示されているもの。おそらくカバー写真より古いものとみられる。

端野歴史民俗資料館に展示されている蒸留装置

せいろ式は、かまどで薪を焚いてお湯を沸かし、その水蒸気がセイロ中に詰め込んだ薄荷草のオイル分を気化させる仕組みで、油分と水蒸気の混合気体が上の管をとおって右の蛇管に到達すると水で冷やされて凝縮し、水と油が溜まっていくという、水蒸気を使った、いわゆる“蒸留”法である。

 下の動画は北見ハッカ記念館で撮ってきた貴重な映像。蒸留後、蒸留窯のフタを取る瞬間の様子です。


2.化学実験実習への応用

 蒸留法は、化学実験におけるスタンダードな分離法であり、また天然物化学の世界では植物から精油を分離する手段として溶媒抽出法と共に非常に多用される手段である。
 東海大学札幌校舎では、生物学部学生の基礎実験科目『化学実験』において、薄荷草の蒸留実習を取り入れていて、それはこのハッカ記念館の実演用蒸留装置と全く同じ装置である。


北見ハッカ記念館で毎日実演している蒸留装置
(昭和の薄荷産業で行われたボイラー式蒸留装置)
化学実験の授業で実習するため組み上げた蒸留装置
(上の写真と見比べてみてください)

※画像の無断転載は禁止します。


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