仕事の選択と集中と準備時間
仕事の選択と何時間仕事に費やすかという論点は、通訳者だけでなく、ライフワークやセカンドライフを考え中の方々にも関わる課題ではないでしょうか?
ということで、今日の投稿のお題に選んでみました。
昨日、クローズド・リストに関する投稿をしました。
その中で、オフ日は数時間ほど準備にかけたら、次のタスクに移ると書きました。「えー?通訳って、ずっと勉強してなくていいの?あんた、そんな余裕ぶっこいてて、大丈夫か!?」と疑わしく思われた方もいらっしゃったかもしれません。はい、確かに、私よりずっと働き者の通訳者さんは沢山いらっしゃいます。
私も、以前は、経験やお金が積みあがっていくのが楽しくて楽しくて、来た仕事はありがたく、ホイホイ(^^♪っと、いつでも、何でも、いくらでも、引き受けておりました( ´艸`)
会議通訳者になって10余年が経った今も、基本その路線は変わっていません。私はあるエージェントさんと専属契約を結んでいるため、私のことを知り尽くしているエージェントさんが割り当ててくださるお仕事をお断りする理由がないからです。よって、時間が空いていれば、いくらでもお引き受けすることは可能です。
ありがたいことに、通訳がAIに置き換わられるのではないかと戦々恐々と待ち構えている昨今も、通訳市場は活況が衰えることなく存続しています。
もちろん、その勢いが突然途絶える準備もしておかなければなりません。仮に毎日3件ずつお仕事を漫然と受け続けたとすれば、他の活動によって学びを取り入れる時間もなくなり、自分の磨くべき強みや関心事にも目がいかなくなることでしょう。それは、通訳という仕事が存続しても、そうでなくても、大きなリスクとなりえます。
ということで、数年前ぐらいから、お引き受けするタイミングと量を自分で調整するようにしています。あとは自分の興味がある(前のめりで勉強できる)テーマを繰り返しエージェントさんにお伝えするようにしています。
タイミングとは、前後に大きな仕事、自分が強い情熱を注いでいる仕事が詰まっていないかを確認すること。量とは、1か月、1週間で俯瞰した時に、自分が疲弊してしまう量を欲張ってないかどうかを、Googleカレンダーをにらめっこしながら、ダブルチェックすることです。
関心あるテーマを割り出すのにも、最初は試行錯誤が続きました。自分が何者か?にもかかわる大切な選択だからです。最初は医療?医薬?外交?安全保障?はたまた軍事?金融?IR?など、人が作った枠組みに乗っかってテーマを絞ろうとすると、考えがまとまりませんでした。
最終的に、色々な方々と対話をし、通訳者以外の友人の活躍を見ながら、また、実際に通訳の業務を通して、徐々にレンズの焦点があってきた気がします。
「命、幸福、健康が、私のテーマです」と自分軸で関心事を明言できるようになったのは、ここ最近になってのことでした。
会社の健康状態を測るPLやBS、それにまつわる鋭い質問をたくさん投げかけてくる投資家さんと事業会社さんとのやり取りも興味深く取り組めるテーマの一つです。
人々の生命や生業にかかわる会社の経営、特に夢や大義のある事業のお話を学んだり通訳したりするときのワクワク感は、言葉に尽くしがたいものがあります。
話が大分「選択と集中」に偏ってしまいましたが、この作業を行うことによって、勉強すべきテーマが絞られ、情熱が注げるものに資源を集中させると、仕事の準備時間も自然に圧縮することができています。
それは自ら絞り込んだテーマは、興味や熱量が強いだけに、普段のニュースでも注意して耳を傾け、頭に知識が入ってくるスピードが格段に速いためです。
勿論、一日数時間だけの勉強では済まないことも多くありますし、通訳業務自体が終日にわたるお仕事、出張でお客様に同行するお仕事などもありますが、極力、平時の姿は自分でコントロールしていきたいと思っています。
私の試行錯誤が、最後までお付き合い頂いた皆様に少しでもご参考になれば、うれしいです。