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22 初めてのホストファミリー体験は、予想外の連続。

ホストファミリーになりたい!


娘が中学1年生の終わりの春学期(1月から6月まで)、3月頃のこと。
学校からのお便りに、
「アメリカから来る12才の女の子のホストファミリーを募集」
とありました。

以前、小学校に数年いた子で、 夏休みの1ヵ月間だけ久しぶりの日本に来て、サマースクールに参加したいとのこと。
日本語をもう一度思い出すのが目的なので、できれば同い年ぐらいの女の子がいる、日本人の家庭が望ましいということです。

「同い年だ! ホストファミリーやりたい!」
と娘は言いましたが、うちは狭くて余分な部屋なんてありません。

「もっと広い家に住んでいる人たちはたくさんいるはずだから、そういう家で受け入れた方がいいよね。」
と言って、見送ることにしていました。


ところが、しばらく経っても誰も手を挙げる人がいないようで、何度も募集の告知が出続けています。
ホストファミリーは大変、とみな敬遠してるんでしょうか。

「親のどちらかが日本人、っていう家庭が多いから、12才ぐらいの女の子がいる純日本人家庭となると限られてるかもねぇ。」
「うちに来てもらおうよ、お願い!
私のベッドを使ってもらって、私はソファーで寝ることにしてもいいから。」

と娘が言うので、学校に聞いてみることにしました。


うちはとにかく狭いマンションです。
空いている部屋はなく、5畳くらいしかない娘の部屋を一緒に使ってもらうしかない。
旅行に連れて行ったりご馳走したりなど、特別なもてなしはできないし、それでも大丈夫なら・・・。


すると、先方はOK。
他に誰も名乗り出てくれる人がいないので、ぜひお願いしたい、と学校からも言われました。

また、先方とのやりとりをする際には、バイリンガルな職員の方が英文メールの添削も助けてくれるというのです。
これは私の英語の勉強にも、絶好の機会では!?

それなら、とうちでホームステイしてもらうことになりました。


空港から想定外。


来る前に、オンラインで向こうの家族と話をしたり、メールのやりとりをしたり。
Sちゃんというその女の子は、金髪のかわいい子で、娘は

「日本に来たら何して遊ぼうか、Sちゃん何が気に入るかな?
日本らしいものを体験してもらったほうがいいよね。
夏祭りに連れて行ってあげよう〜!」
などと、ワクワクしながら準備をしていました。


ところが、いざ来てみると大変。
日本に到着したのっけから、想定外のことばかり起きたんです。

想定外1
飛行機を降りると、Sちゃんの荷物が手違いで同じ便に乗っていないことがわかり、別便で後日運ばれることになる。

想定外2
添乗員の人たちに付き添われて到着ゲートにやってきたSちゃん、身一つで日本に降り立った不安もあり、涙を浮かべている。

想定外3
その様子が珍しかったのか、日本に来る外国人をアポなしで追いかけるテレビ番組に、いきなりカメラとマイクを向けられる。


ああいう番組って、ほんとになんの断りも説明もなく取材されるんですね。
急に男の人たちに取り囲まれて、
「どうしたんですか?」
って、こっちがどうしたんですかって感じで、びっくりでした。

しかも、ある程度話が終わると放送されるともされないとも知らされず、
「ありがとうございました、お気をつけて〜。」
って。

後で、学校の方から放送しないよう申し入れてもらいました。



異文化は難しい。


たった12才の女の子。
日本に住んでいたことがあるといっても、小さい頃なのであまり記憶がなく、いきなり異文化の中に一人、ものすごく不安になってしまったようです。

電車でうちに向かう途中、アメリカンなハンバーガーショップで休憩してみたりしましたが、何も手をつけようとしません。

これは、本人もご両親にとっても、私たちも大誤算でした。
数日経っても、うちにも学校にもなかなかなじめず、娘がつきっきりで話し相手になることになりました。


娘が夏祭りなどに連れて行ったりしても、どうやら日本文化には違和感しか感じないようです。
ある程度の年齢になってからの留学なら、興味深く楽しめるかもしれないけど、この年齢では、アメリカの生活との違いが受け入れにくいよう。


Sちゃんの疑問1
「どうしてこんなに歩かなきゃいけないの?」

広いアメリカでは、車で移動が普通なんだね〜。
東京ではどこに行くにもだいたい電車に乗って、てくてく歩くんだよ。


Sちゃんの疑問2
「なんで窓を開けっぱなしにしちゃいけないの?」

アメリカは土地も広いから、隣の家に行くにも車で行くんだってね。
そんなところだと、窓を開けてても人に見られたりしないよねぇ。
東京ではレースのカーテンは、一日中閉めておかなきゃいけないんだよ。


Sちゃんが疑問や違和感を感じることは多々あって、そのつど日本の事情やアメリカとの違いを一つ一つ説明していきました。
ちなみに、ご両親には日本語のみで話すよう頼まれていたので、Sちゃんは英語で話し、私は日本語で返していましたが、だいたい理解できていたようです。

でも、無理に違いを理解させても、それでSちゃんが日本を好きになるわけじゃありません。
なんだか窮屈な生活をさせてかわいそうな、申し訳ない気持ちに・・・。


朝はコーンフレークに、ご飯はなるべく味付けに、洋食多めで・・・、などいろいろ工夫してみましたが、一向に日本にも私たちにも馴染む様子がなく、いったいどうしたらいいのか途方に暮れてしまいました。

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